またまた言語学的考察。
「煮る」「炊く」「茹でる」は
どれも水(湯)を使った調理法だが、ニュアンスが若干違う。
「煮る」は食材を味のついたスープの中に入れて火にかけ、
スープの味を浸み込ませながら熱することだが、
出来上がりは水分(スープ)がまだある。
「炊く」は水だったり、味のついたスープだったりで食材を熱し、
調理後は水分が食材にすべて染み込んだ状態のイメージ。
「茹でる」は単純に水で食材を熱することという感じだと思う。
うまく状態を言葉にできないけれど。
東日本全体のことなのか、当地だけなのかわからないけど
「炊く」は今はほぼご飯にしか使わない表現だ。
一方で、これは西日本全般の印象が強いが、
芋や豆など、当地では「煮る」と表現する行為を「炊く」という。
確かに考えてみれば、芋や豆は火にかけて水分を浸み込ませる。
(シチューやカレーなどスープものに近い調理は「炊く」と言わない?)
だからご飯と同様「炊く」という表現も分からなくはないが
「煮る」文化が染み付いた地域の人間にとって新鮮に思う表現だ。
細かく考えてみれば、水分そのまま残すのと浸み込ませるのとでは
調理の目指すところが違うのだから、表現も違って当然。
元来日本語では、熱して浸み込ませ流調理を「炊く」というのかも。
・・・と西日本の人たちの表現を聞いてふと思う。
ちなみに、もう知る人も少なくなったかもしれないが
当地では昔、
なかなか寝ないこどものことを「古小豆(ふるあずき)」と言った。
古い小豆はなかなか「煮えない」→「にぇない」→「寝ない」。
うまいこと言うものだ。
私がこどもの頃、よく親から言われた(笑)