暴力は絶対にいけない。
まして人が人を殺めるというのは
人間として最大の罪であり、理屈抜きで犯してはいけないことだ。
今回の事件も、宗教やイデオロギーの違いを問うまでもなく
絶対に許すべからざることだと糾弾したい。
これ以上の犠牲を出すこと無く、後藤さんの無事帰国を願う。
一方で、元々アルカイダもイスラム国も
その成り立ちを考えれば欧米各国が作りだしたもの。
植民地だった中東諸国が独立した際
あちこちに適当な約束をして紛争を招いたイギリス、フランス。
アフガンでのソ連侵攻に対抗して現地武装勢力に手を貸し
ソ連撤退後は彼らを放り出したばかりか圧力すらかけたアメリカ。
そこから反アメリカのアルカイダは生まれた。
そしてそのアルカイダによる9.11テロの後
ありもしない大量破壊兵器所持の罪を着せて
アメリカがイラク戦争に踏み切りフセインを倒した結果
掃討されたスンニ派が鬱屈を溜め、アルカイダ勢力と結びついた。
シリアではアサド独裁政権打倒を目指す反政府勢力に対し
自国の利益にはならないと手を貸さなかったアメリカ。
その反政府勢力とスンニ派が結びついたのがイスラム国の母体となった。
自国の利益しか考えずに嘘ついたり、暴力を振るったり、無視したり
そんな欧米大国に翻弄された人々が怒りを爆発させた
その気持ちもわからないではない。
イスラム国の指導者や自爆テロ犯には
イラク戦争において家族や友人をアメリカの空爆により亡くした人々が
たくさんいるという話も耳にした。
彼らの気持ちもわかるだけに、これ以上彼らに罪を重ねて欲しくもない。
そういう意味からも、後藤さんの無事帰国を心から願う。
もうひとつ。
ネット上の自己責任論もおかしい。
かつては沢田教一さんや一ノ瀬泰造さん、最近では橋田信介さんなど
戦場に倒れるジャーナリストはたくさんいる。
彼らの犠牲により、私たちはより正しい、たくさんのことを知った。
同じ地球上に住むもの同士、どうすれば悲惨な事態を回避できるのか。
人の幸福とは、人として大切なことは何なのか、
少なくともワタシは彼らの報道によって学んできた。
彼らの行動はそういう使命感から生まれるのであって
私達は彼らを見捨てては絶対にいけないと思う。
自分だけ良ければ・・・という考え方はまた新たなアルカイダを生む。
ところで今回の事件が、日本の為政者達の
「やっぱり武力は必要だ」の言い訳にされることを危惧する。
それは「日本が良ければ」に繋がる。
そしてこれまでと同じように、暴力がまた新たな暴力を生む。
日本人のことだけ考えるのは
結果として「
国を愛せ」に繋がっていく危険があると思うのだ。