風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

往きて還らず

2011-08-31 | 読書
団鬼六氏は
性愛小説、SM小説家として有名な作家。
(らしい。今まで読んだことがないので、著者略歴より)
今年80歳で亡くなるまで
どれだけの作品を世に出したかわからないが、
愛好者だけではなく、作家論まで語られるほど、
ひとつの道を極めた方だったようだ。

この本は別な本に挟まってきた広告で知り興味を持った。
3人の特攻隊員の生き様と思い。
その核にいて3人を見送り、自らも空襲で散ったひとりの女性。
特攻の愚かしさと、身を以ってその愚かしさを糾弾する隊員。
戦うことより死ぬことの方に目的がズレていってしまう
軍隊、国家というものの恐ろしさ。
つかの間の青春。
氏の作品初読者としては、
これが彼の世界で有名な作家の小説とは思えなかった。
別作品になっている併載の続編も面白かった。
戦後、何でもアリの時代の混乱する社会の中にいて
生に執着し、手探りで生きる人々。
登場人物たちを描く作者の目はとにかく優しい。

これは氏の最晩年の作品になるのだろうか。
ほとんど自伝と言ってもいいと思われる
静謐な私小説。

「往きて還らず」団鬼六 著 新潮文庫
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Standard震災特別号

2011-08-30 | 読書
全国発売。
岩手の地域スポーツグラフィック誌Standardが
初めて岩手を越えて全国に向け発行された。
内容はいつもの岩手県内スポーツ記事ではなく、
津波で被災した岩手・宮城の高校生たちのドキュメント。
全国トップクラスの実力を持ちながら
インターハイ前に艇を流された宮古高校をはじめ、
高田高校バレーボール部、宮城水産野球部など、
困難を乗り越えて競技に取り組む彼らの真摯な姿を
13の物語として掲載している。
題して「絆」。
その懸命な姿は涙なくしては読めない。
全員を応援したくなる。

Standard震災特別号「絆」
制作・編集:Standard編集部
発行元:デジスタ
発売元:サンクチュアリ出版
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花巻の夕焼け

2011-08-29 | 散歩
秋の雲に
紅色が映えて。
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収穫開始

2011-08-28 | 生活の風景
「何だがな
 放射能ちゃんと調べるまでは
 採ってわがね(ダメだ)ってそわいで(言われて)よ。
 昨日ナようやぐ良いつーごどになったがら
 今日がらいっそ(ずっと)毎日収穫だぁ。
 リンゴぁいっつもど同じに成ってるんども
 何だが面倒くしぇ世の中だなハ(笑)
 これがら一体何じょになるんだが(どうなるのか)、
 オラ想像もつかねステぁ。
 米はまだ検査してらどごだから採らいね(採られない)のよ」
向かいのリンゴ畑のおじいさんが
困ったような笑顔で採ったばかりのリンゴを3個くれた。
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秋の気配

2011-08-27 | 散歩
トンボがとまった。
昼間はセミの声、
夜は虫の声。
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インターセックス

2011-08-26 | 読書
まだ読んでる途中だが、
この段階ですでにここ数年読んだ中でNo.1。
医療サスペンスという形は取っているものの、
この本が訴えるテーマは重い。

「男」と「女」はどこで分けられるのだろうか。
体の形? 遺伝子? 脳? ・・・どれも正解ではなさそうだ。
生物学的な性差や社会的な性差もまた違う。
そう考えると自分が果たして本当に「男」と定義できるのか
だんだん曖昧模糊として思えるのだ。

「ノーマルではない」状態の人を「ノーマル」にすることが
医師の仕事なのかという問いがこの本の中にある。
「それでは『ノーマル』とはどういうことだ」と。
怪我や病ならわかり易い。
「それまでの形(状態)に戻す」ことが医療だから。
それでは先天的なものは? 障がいと個体差はどこがどう違う?
「病気自体はいわばマイノリティでしょう。
 治療は、病気というマイノリティを、
 健常であるというマジョリティに近づける行為に他ならない
 それが医学を貫く大前提だから、
 医師はマイノリティの存在には生理的な嫌悪を覚えやすいの。
 インターセックスの人たちも極端なマイノリティとして
 医学・医療から排除されてきた。
 医学はもっと多様性を大事にしないといけないのに」(本文より)

「インターセックス」とは
あえて嫌いな言葉でいうと、いわゆる「真性半陰陽」のこと。
男女分けられない性を持つ人達のことだ。
彼らor彼女ら(代名詞ですらどちらかにしなければならない)は
物心ついた頃から自分のアイデンティティーに苦しむが、
誰にも相談できないという二重の苦しみをも持つ。
両親や医師により生まれた時から手術で無理矢理性を押し付けられたり
思春期になってから初めて他人との違いに気づいたり、
それぞれの立場で、人知れず悩むことになる。
それはその人の人生すべてを決定づけるほどの悩み。
なぜかというと、この世の中は仕事や家庭などの場において
それほどまでに社会的性差が求められるからだ。
「どちらなのか」という疑問に加え、
マイノリティーであることの苦しみも相当なものだ。
(実は症例としてはどちらでも「ある」より
 機能不全によりどちらでも「ない」場合が多いらしい)

でもふと思う。
もしかしたらマジョリティーなんてものは幻想じゃないのか。
人間ひとりひとりが、大なり小なりマイノリティーなんじゃないか。
形も心もすべてが全く同じ人間がこの世に存在しない以上、
カテゴリーなんてものはすごく曖昧なものじゃないのか。
家族でも、友人関係でも、社会の中でも
我々は接する他人の個性を受け入れてコミュニケートする。
その許容範囲ってのをみんな自分で狭めちゃってるんじゃないか。
自分の存在すら自分自身で許容範囲から外しちゃってるんじゃないか。

本質に迫るセリフを主人公は言っている。引用しよう。
「人と人とはよく争いをします。
 その最たるものが戦争です。
 原因は、国の違い、民族の違い、宗教の違い、
 思想信条の違いによるものがほとんどです。
 違っていてどこが悪いのでしょう。
 そうした差異化の根源は、
 人間を2つの性でしか認めようとしなかった
 人の文化のあるような気がします。
 人間を男か女かの2つに分け、
 それ以外は認めず、排除してしまう文化を
 人類は文明の夜明けとともに堅牢にし、
 今日まで発展させてきたと言えます」

著者の帚木蓬生氏は吉川英治文学新人賞をはじめ、
山本周五郎賞、柴田錬三郎賞、新田次郎賞などを総なめにして来た
正統派の実力を持つ作家。
しかも東大文学部を出たあと九州大医学部を出た医師であるという
とんでもないキャリアの持ち主だ。
その頭脳で、持っている医学知識を駆使しながら、
インターセックスやジェンダーに関する自分の信念を理論的に、
主人公の「性差医療」を専門とする女性医師に語らせている。
(あえてサスペンス仕立てにしているが、その必要がないぐらい)
患者(とあえて言うが)の悩みや
医師仲間の女性達の心情も自分のことのように描く。
帚木氏の作品を読むのは2作目だが、
この人はすごい。

「インターセックス」帚木蓬生(ははきぎほうせい) 著 集英社文庫
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Cafe Souer

2011-08-25 | 食べ物・お店
まったり空間。
コーヒーの香りがうれしい。
押上にて。
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夏の雲

2011-08-24 | 生活の風景
蒸し暑い日。
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逢はなくも あやし

2011-08-23 | 読書
文庫版書き下ろしってのは
普通は作家の手慰み仕事なんだと勝手に思ってた。
(上から目線ゴメンナサイ(^^;)
でもこの作品は違うなぁ。
すごくいい意味で予想を裏切られた。

坂東作品といえば
「猿嫁」はじめ、おどろおどろしいのが定番だったが
この作品は「待つ」というキーワードで
男女間の愛情を切なく(でも男は相変わらず情けなく)描く。
古代と戦時中と現代と、
3つの時代を「待つ」という言葉と行動が繋ぎ、
多層的にそれぞれの時代の人々の思いが重なる。
そして・・・やはり女性は強いのだ。

それにしても、
東日本大震災が物語に織り込まれるほど新しく、
主人公の女性は24歳。
ウチの息子と同い歳が主人公だなぁ(-"-;

「逢はなくも あやし」坂東眞砂子 集英社文庫
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雨が空から降れば

2011-08-22 | 音楽
 雨が空から降れば
 オモイデは地面にしみこむ
 雨がシトシト降れば
 オモイデはシトシトにじむ
 黒いコーモリ傘を指して 街を歩けば
 あの街は雨の中
 この街も雨の中
 電信柱もポストも
 フルサトも雨の中
 しょうがない 雨の日にはしょうがない
 公園のベンチでひとり おさかなをつれば
 おさかなもまた 雨の中
 しょうがない 雨の日にはしょうがない
 しょうがない 雨の日にはしょうがない
 しょうがない 雨の日にはしょうがない

(詞:別役実 曲:小室等)



思い出の中にある
別役実さんの芝居「スパイ物語」の劇中歌。
誰でもその世界の中に吸い込まれてしまいそうな
不思議な、でも忘れられない歌。

今日は雨。
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三島

2011-08-21 | 

伊豆の根本。
きれいな水の街なんだよね。
確か町の鳥はカワセミだったはず。
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Can't Find My Way Home.

2011-08-20 | 音楽
Eric Claptonには様々なタイプのファンがいる。
Cream時代の派手なギタープレイやインプロビゼイションの熱狂的なファン。
ソロアルバムから「Lyla」に至るサザンロックやスワンプのファン。
「There's One In Every Crowd」や「461 Ocean Boulevard」の頃の
レイドバックしレゲエに傾倒していたころのファン。
しばらく間をおいて「Unplugged」以降の若いファン。
その中にはコンテンポラリーなポップアーティストとしてのECファンもいる。

自分はといえば、
Derek and Dominos時代から「No Reason To Cry」あたりまでが
自分自身も青春時代でよく聴いていたし、
その泥臭さとかネイティブな香りが好きだった。
ジャジーで、ブルージーで、レゲエも含む広い意味のアメリカンな音楽。
彼がイギリス人であることがウソみたいだった。
枯れつつ粘るストラト(ブラッキーorブラウニー)の音。
小ぶりながらよく鳴るボディのマーチン000シリーズのアコな音。
うまくはないけど渋い味わいの歌。
何よりも楽しそうな演奏。

持っているEric Claptonのアルバムは
レコード、CDを合わせて14~5枚。
その中に入っている曲で一番好きな曲が
ライブアルバム「EC was here」の中に入っている
「Can't Find My Way Home. 」だ。
不思議なベースラインのイントロから始まり、
Yvonne Ellimanと絡みながらのうねるような歌も魅力。
ECによるアコギでのギターソロもいいんだなぁ。

ところで、
実はこれはBlind Faith時代の仲間Steve Winwood.が作った曲。
他にもECの代表曲は
patty boydへの恋心を歌った「Lyla」はJim Gordonとの共作だし
「Tears In Heaven」は事故で亡くなった自分の息子を歌った曲ながら
これもまたWill Jenningsとの共作。
他には
「Knockin' On Heaven's Door」は Bob Dylan、
「I Shot the Sheriff」は Bob Marley、
「Change the World」はTommy Sims,Gordon Kenney,Wayne Kirkpatrickの共作と
これらは自分が関わって作った曲ですらない。
ECがひとりで作り、有名になった曲は「Wonderful tonight」ぐらいかな。
ということで、
彼は他のアーティストとは違ってコンポーザーではない。
また味はあるもののシンガーというほど歌もうまくない。
かつて「神様」と称された頃ほどバリバリにギターも弾いていない。
何だろうね、彼の魅力は。

ただひとつ言えるのは
「神様」という称号が似合わないほど悩める弱い人間であり、
様々な辛い経験も経て、いまカッコいいおっさんになったということ。
それでいてニコニコ少年のように
Robert Johnsonの曲などコピってる姿は可愛くもあるのだ。
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2011-08-19 | 生活の風景
低い雲。
浜離宮や築地、勝どき方面が見える。
汐留のビル24階より。
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土砂降り

2011-08-18 | 生活の風景
本格的な雨
遭ったのは久しぶりだな

盛岡にて
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夏の色彩

2011-08-17 | 生活の風景

北上市さん直長屋にて。
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