風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

風屋の「正しい岩手弁講座」省略語編

2007-10-24 | 風屋日記
半年に一度のペース(?)で続いているこのシリーズ。
本シリーズの過去ログは、左の検索欄を使い
「岩手弁」のワードで検索をかけるとすべて出てくる。
今日は省略した使い方のおベンキョー。

●「どサ」「えサ」
ある意味、東北弁のスタンダード。
「どこに?(行くの?)」「家に(帰るところ)」という会話。
でもこれは誇張表現でも何でもなく日常的なデフォルト。
特に「どサ?」は挨拶代わりによく使われる。
挨拶代わりだから「いやちょっと市役所に行って・・・」などと
真剣に答える必要はない。
ま、せいぜい「ぺっこ用足しサ」ぐらいでOK。
相手もあなたの行動をそんなに逐一知りたいとは思っていない(笑)
例題としては「家サ」Ver.と「湯サ(温泉に)」Ver.がある。
ちなみに一番短い会話例は「け」「く」。
「食え」「食う」であることは言うまでもない。

●そんで
意味は「Good bye」。
「そんで、まんつ(それでは、まず)」と言うこともある。
直訳すると「それでは」になるが、言い方を変えると「左様なら」。
そのままズバリ「さようなら」だ。
「そんで」の後に「元気で」と続くとすれば
もしかしたら「Good bye」より「Good luck」の方がピッタリ?
タイ語で言うところの「チョークディ(幸運を)」という感じかな。
ちなみにこの言葉、私が高校の頃なぜかやたらと流行った。

●なんも
実は今日この話題にしようと思ったのは、
「なんも」が朝日新聞の声の欄に載っていたのを読んだからだ。
例えば一人暮らしのお年寄りの家の雪かきをしてあげると
「あんやー、どもありがどがんしたー」とお礼を言われる。
返す言葉は「なんも」あるいは「なんもね」。
「何ともない」とか「たいしたことじゃない」とでも訳そうか。
こればかりは英語の「You're welcome」とは意味が違う。
やっぱりタイ語の「マイ・ペン・ライ(気にすんな)」がぴったり。
声の欄に投書していた岩手出身の看護士さんも書いてたけど
本当にいい言葉だと思うよ。

●番外編
 ・「ありがどあんした」
  なんとこれが「こんにちは」代わりに使われる。
  「いつもありがとう」を略したものだと思われるが、
  朝バッタリ出会った近所のお婆さんに「あヤ、ありがどがんしたー」と
  突然言われると「え!?何かしたっけ?」と戸惑うこともしばしば。
 ・「いだっか?」
  これまた挨拶だが、こっちはよその家を訪ねた時のかけ声。
  「誰かいますか?」ではなく、よく知っている人、例えば
  「とぉさん(ご主人)いだっか?(いますか?)」みたいなニュアンス。
  何しろ「外出時には鍵をかけようキャンペーン」が行われる土地柄(笑)
  「こんにちは」でもなく「お邪魔します」でもなく
  ひとこと「いだっか?」で済むコミュニティーは心地いい。

さて岩手では今「芋の子汁(イモノゴズル)」の季節真っ最中。
(「芋の子」とは里芋のこと)
北上市二子地区で取れる粘り気の強い里芋(二子芋)と
ささがき牛蒡と銀杏切り人参にネギが入り、
ボリ(ナラタケ)またはアミノメ(アミタケ)でダシを取る。
鶏肉に醤油味もよし。豚汁のように豚肉に味噌味もよし。
芋の子もさることながらキノコの季節でもあるからこそなのだが、
キノコ取りに行く時は「どサ?」と問われても
「キノゴ取りサ」なーんて答える人はまずいない。
取りに行く場所は人それぞれ穴場を持っているからね(^-^)
コメント (10)
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