風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

言葉

2004-10-31 | 風屋日記
「イラクの人たちの1日も早い平和を願っています」
のひと言に泣けた。
首を落とされた自分の息子のことだけで心の中は精一杯のはずなのに、
なぜ他の国の人達のことを思いやれるんだろう。
犠牲になった彼を非難し続けた人達は、このひと言をどう聞いたのだろう。

「暗いニュースがあいつぐのに、世の中どこかおかしいという声は一向に聞こえてこない。
 そんな話よりオリンピックで金メダルをとった記事を読みたがる。
 おそらく人は、自分の暮しに不満があり、将来への不安を抱えていると、
 いやな話など聞きたくないのだ」
今は大学の講議も行っている赤川次郎は、大衆の薄ら寒い楽観さの裏を洞察している。
ポジティブなのではなく、現実から逃げているのだ。
そして、逃げない人達に対して、群集の後ろから石を投げることになる。
「自分勝手なことをして、オレたちを巻き込むな」と。

「新渡戸稲造はじめ、明治になって唱えられた武士道はみなニセモノだと言う。
 本物の武士道は、負け戦で大将が死ねば、額から縦に切りつけ、
 小便をかけ踏みつけて顔の皮を剥ぐといった、血みどろの作法だった。
 敵に首実検をさせないためだ。
 こんな武士道がどう変形して、国民道徳としての明治武士道が成立したのか」
社会学者の橋爪大三郎さんが、講談社現代新書の「武士道の逆襲」を書評に取り上げていた。
死を美学化することは、死という存在の絶対性によって透明に美しく感じる。
・・・が、しかし想像してみてほしい。
「死」とは「生命」が「物」と化すことだ。
ドラマや映画のような美しい死などあり得ない。
自らの命に手をかけようとする人達や、
自分の命を盾に、国を守ることに美意識をもつ人達に言いたい。
死は美しいものではない。
そして命は何ものにも代えられない、最も美しいものなのだ。
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Love

2004-10-30 | 風屋日記
Q:What is your favorite word?
A:My favorite word is "love".
  Because it has wider meaning than Japanese one.
  I usually can't say "愛してる", but "Love" is useful.

Q:What is your least favorite word?
A:My least favorite word is "war".
  I don't want to hear that someone dies.

Q:What turns you on?
A:Seeing many children's smiles always turns me on.
  I love their happy expression!!

Q:What turns you off?
A:Hearing the news of the war starting.
  No reason......

(11/3 corrected I appreciate bert.)
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蜘蛛の巣

2004-10-29 | 風屋日記
蜘蛛が巣を張るのは、
食料になる虫を捕まえるためだ。
網を張り、獲物がかかるのをまん中でじっと待つ。

ふと上を見上げると、
見事に網の目に張った蜘蛛の巣に
蜻蛉のような羽虫がかかり、しきりにもがいていた。
大きな巣のまん中には、
これまた少し大きめの家主。
次の瞬間、するすると羽虫に近寄って
動けないように絡め捕る・・・と思ったが、
蜘蛛は微動だにしない。
蜘蛛の体色が薄くなっている。
・・・蜘蛛は死んでいた。

蜘蛛の巣にひっかかった羽虫は暴れる。
暴れれば暴れる程、
粘り気のある糸が絡まり動けなくなっていく。
しかし蜘蛛は来ない。
暴れる羽虫は少しずつ少しずつ弱っていく。
やがては死に至る。

羽虫は何のために死んでいくのだろう。
蜘蛛に食べられるのであれば、それは自然の摂理。
食物連鎖のささやかな一場面だったはずだ。
蜘蛛は自らが生きていくために巣を張る。
しかし当の蜘蛛が死んでしまったら?
羽虫の死は、全く意味をなさない。

ふと、平和が訪れた国に残る地雷を思った。
国が新しくなり、皆が希望に燃えている。
銃を持つものもいなくなり、
全国で国づくりが始まっている。
しかし地雷は国土のあちこちにまだ残っている。
目的を失った地雷を運悪く踏んでしまった人達は
いったい何のために傷つくのだ?

私は羽虫を捕まえて逃がしてやったが、
似たようなことは世界中で起きている。
目に見えないところで。
気がつかないところで。
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被害者の不幸、加害者の不幸

2004-10-28 | 風屋日記
イラクで新たな人質事件がおきている。
真の敵ではない無抵抗な一般市民を人質にとるのは卑劣な行為には違いない。
だが私は、行為自体は憎むものの、
行為を行う彼ら自身を心から憎むことができない。
なぜなら彼らも、自分達自身を守ろうとする迷える一般市民だからだ。
4月に人質となり、解放された今井紀明さんの手記「人質となって」を読み、
それは特に考えさせられた。
「私達はどういうやり方をすればいいのだ!?」という
ムスリム達の叫びが聞こえるような気がする。

イラクの人達を助けよう、あるいは非道を報じようとした4月の3人とは違い、
今回人質となった香田さんはバックパッカーだったとのこと。
前回は3人のイラク入国を責めることに呵責を感じていた人達も、
今回は「正々堂々」と香田さんを責めるのだろうか。
確かに軽率な行動であることは確かだが、
だからといって犠牲になるべきだとは誰にも言えない。
彼の生命はもちろん、ムジャヒディン達にも「加害者」になって欲しくない。
彼らの行動も、自分の利益のために悪意を持って行っているわけではないのだから。
戦闘、爆撃、テロによる数カ国間の殺しあい(それは兵士だけではない)、
人質という犠牲者とその「加害者」、
どちらにとっても本当に不幸なことだ。
宮沢賢治ではないが、私にはオロオロ歩くことしかできない。

ひとつ心配なことがある。
今井さんの主催するNPO「NO!!小型核兵器サッポロ・プロジェクト」
今井さんからのメッセージメールが寄せられていた。
そこには「右と左とのコミュニケーションの不足がバランスを欠いている」
と書かれてあった。それはその通りだと思う。
問答無用の力によって相手の口を塞ごうとするのは、
「右」だろうが「左」だろうが許されることではない。
自分とは違う考え、意見に耳を傾け、相手を認めながら違いを議論すること。
何度もここに書いているが、それが今の世界に最も大切なことだ。
ただ、「20・30代と40・50代とのコミュニケーションの断絶」とも書いているが、
世代間のコミュニケーション不足との今井さんの認識はどうなんだろう。
私も若い頃には似たようなことを感じていたこともあったが、
今、自分が40代になり気がついたことがある。
それぞれの人達のバックグランドの変化がその時々の考え方を生む。
しかしそれは、年代によって区分されるような違いではない。
今井さんのいう、極めて一方的な年代的カテゴリー化が
逆に「右傾化を生む」ような気がするが。
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2004-10-27 | 風屋日記
今朝、西の山々の特に頂きが高くなっている所が白かった。
この季節、ある日突然そういう日が来る。
夜にしとしと雨が降り、段々冷え込んできて、
朝になると雲が切れて陽が差し込んでくるような日、
山の中腹あたりで白と緑の境界線ができている。
まるで雲の間からそこだけに陽光が射し込んでいるように、
白くキラキラ光る山。
こうやって、季節はまた遷る。

暑い夏が続こうと、台風が来ようと、
突然の大きな地震が来ようと、
それは自然がなせるわざ。
「It is written」だ。
例え、そのうちのいくつかに
幾許かの人為的な要素が原因のひとつに考えられようとも・・・。

力を持つものが正義をふりかざし、
力の弱いものがテロを働き、
人が傷つき、倒れ、泣き叫んでも、
食べるものや水がなくて倒れ伏しても、
やっぱり雨が降り、風が吹き、
季節はいつものように移り変わる。
「It is written」

西山の冠雪に感激しつつ家に入ったら、
またイラクで日本人の人質のニュースが流れていた。
ムスリム達よ。
君たちが、君たちの真の敵とは限らない人間の命を、
君たち自身の手で殺害することを、
君たちの神は「書き記して」いたのだろうか。

地上でどんなことが起きようと、
季節は巡り、雪は降る。
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メッセージ

2004-10-26 | 風屋日記
世の中には色々な考え方がある。
ひとりひとり少しずつでも考え方が違うといっても過言ではない。
私は各々の人達の考え方について、良い悪いを決めつけるつもりもないし、
私と違う考え方をもつ人達を非難するつもりもない。
平和を求める人も、対話の道を模索する人も、力に訴える人もそれなりの理由があり、
バックグラウンドがあり、ポリシーがあるのだと思う。
相手を尊重し、自分と相手との違いを認めることこそ、
争いを無くすためにもっとも必要な考え方だと思うからだ。

ただし全く関係ない人達(それは往々にして老人や女性、子ども等の弱者が多い)の命を奪ったり、
身体を傷つけたり、悲しい思いをさせたりすることは間違っていると思う。
彼らにも自分の考えに沿って幸せな生活を営む権利がある。
そしてそれは国家だとか、民族だとかを超えた、もっと根源的なものだと思う。
国家や民族のために自分や家族や自分の知人達が犠牲になってしまうというのは
本末転倒ではないかと思う。
自ら国家や民族のために生きるという考え方は否定しない。
それもひとつの考え方であると思う。
しかし、そうは思わない他の人間を巻き込むことは、
同じ星に住むものとして許されることではないと思う。

私は純粋に、子供達の笑顔が見たい。
自分なりの大きな夢をもって欲しい。
違う生活環境や価値観や文化をもつ人達を知り、尊重し、認めあって欲しい。
そして自分達の生活や、自分達がもつ文化を大切にして欲しい。
そのためにはその親や家族や知人達に、
生命の危険を感じるような不安を与えてはいけないと思う。
ささやかでも日常の生活に幸福を、全ての人達が感じることのできる世界を、私は強く願う。

もう一度くり返すが、様々な考え方の違いを私は否定しない。
反論はあるが、それはあくまで相手との違いを認めているからであって、
相手を全面的に否定するつもりは全くない。
できることなら世界中の人達が(考え方や価値観の違いはあっても)、
自分と相手との違いを認めるという考え方をもって欲しいと願う。
アメリカの人達も、ロシアの人達も、イスラエルの人達も、パレスチナの人達も、
アフガニスタンの人達も、ソマリアの人達も、コロンビアの人達も、チェチェンの人達も、
そして、日本の人達も。

(1993.12.21に開催された自衛隊のイラク派遣に反対する平和集会にて読んでもらった私のメッセージ)
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ギター

2004-10-25 | 風屋日記
たまにギターを弾く。
Bluesが好きなので、ほとんどスリーコードだが、
ピッキングが決まると嬉しい。
・・・と書くとうまい人のように見えるかも知れない。
実はヘタの横好き、ヘボいギター弾きだ。
一人で楽しむ分には全く構わないし・・・(笑)
(写真は私のギターたち)

日本のギタリストの第一人者であるChar(竹中尚人)氏もよく聴く。
ギターソロもさることながら、彼の曲のコードボイシングが美しい。
例えば「So much in love」という、アコギ1本のバラードがある。
そのコード進行は
「D9 → D9/C♯ → Bm7/A → G → D/F♯ → Em → Em7 → D/F♯」
が基本。
当然彼は単純なコードストロークなどしないし、まねもできないが、
このコード進行をつま弾いてみるだけでもかっこいい曲だと分かる。
代表曲「Smokey」もイントロのコードボイシングがかっこいい。
彼の場合は、オーソドックスなコードなど弾かないらしい。
ギター1本でも音に厚みが出るように、
解放弦を有効に使ったコードを自分で作っているとのこと。
すげぇ。

コードボイシングといえば、大好きなEric Claptonの「庭の木」という曲。
かの有名な「レイラ」のアルバムのタイトル曲の次、
熱く歌った後の熱気をさます静かなラスト曲だ。
全く有名ではない曲だが、
「Emaj7 → F#m/E → Emaj7 → F#m/E → Emaj7 → F#m/E → Emaj7 → F#m/E」
というコードの流れがとても美しい。
これをアルペジオで弾くわけだが、
ひとつひとつの音をきれいに出そうとすると力がいる。
何しろほとんどがバレーコード(私はバレーコードでしか弾けません)
指がつりそうになる。
仕方がなく2フレットにカポタストをつける。
これで少なくとも「Emaj7 → F#m/E」は楽になるわけだ。
情けないが、べつにいいや。
たくさんの客に聞かせるわけじゃない。
きれいなコードの流れを体感できるだけでいい。

でも、2人ともこれ弾きながら歌うんだよねー(呆)
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運命

2004-10-24 | 風屋日記
「It is written.」・・・直訳すると「書いてある」。
これは「それは定めだ」という意味だそうだ。
「かつて神が書いたこと」という意味だろうか。
イスラ-ムの教えでは、
全知全能の神は、この世を造る前にすべての定めを書き記したとのこと。
だから「書いてある」が「運命」という意味につながる。
族長からのそのことばに、ロレンスは
「Nothing is written!!」と答えた。

今朝の朝日新聞赤Be「アラビアのロレンス」より
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東京物語

2004-10-23 | 風屋日記
時折コメントをいただいているshuichi1977さんのblog「Dead stock」
この本を読んだという記述があった。
確かに1ヶ月程前の朝日新聞書評欄に文庫版発行の記事を見ている。
私は数年前に単行本で購入、甘酸っぱい気持ちで読んだ記憶がある。
shuichi1977さんに感化され、また書棚から引っぱり出してみた。

主人公の田村久雄は1959年生まれ、名古屋出身のロック少年。
私より1歳年上だが、高校を卒業して家を離れたというのは私と同じだ。
初めての東京、これから始まる一人暮らしへの期待と寂しさ、
都会の人や文化に負けまいとする気負い・・・とても懐かしく思い出される。
田村少年が上京したのは、くしくもキャンディーズの後楽園解散コンサートの日。
実はその日、私も東京は中央線武蔵境近くの寮にいた。
高校3年に上がる前の春休み、予備校の春期講座のために上京していたのだ。
もちろん受験対策というのは名ばかりで、2週間の東京生活を体験に行ったようなものだ。
春休みで空いているため地方からの春期講座生に解放された寮の1室で、
一緒に行った親友や、寮で知り合った茨城・秋田の高校生達と、
ラジオの解散コンサートルポを聞きながら、ビールの栓を抜いていた。
たった2週間の滞在ながら、心境は田村少年と同じだった。
紺のブレザーにBDシャツ、尾錠のついたコットンパンツで裸足にローファー。
雑誌「メンズクラブ」の写真そのままのプレッピーだ。
違うのは田舎臭い顔と、足の短い体型だけだった(笑)

大学に入学した田村くんは演劇サークルに入り、
先輩達の観念的な演劇論に辟易しながらも毎日飲んだくれ、
同級生の女の子と甘く淡い経験をすることになる。
この辺は全く同じなんだなー(笑)
あえて詳しくは語らないけど・・・(苦笑)
もしかしてYさん、今読んでる?
だとしたら、ちと恥ずかしい。・・・飛ばして読んでね(笑)

大学を中退した主人公が小さな広告代理店でいっぱしのコピーライターをしていた1982年。
私は大学に席を置きながらも、とあるTVキー局でADとして走り回っていた。
ちょっとした業界人気取りで、「学生はいいよなー」などと偉そうに言っていた。
そこそこ給料も稼いでいたので、週末の度に六本木で遊び、
サーファールック(あくまでルック)の女の子達と騒いでいた。
この辺の風俗もこの本には細かく載っている。
周囲にはボートハウスのトレーナーを着たハマトラやニュートラの女の子がたくさんいた。
都会に溶け込み、流行に乗り、それなりの男になったつもりでいた。

要するに、この本の主人公田村久雄は私自身なのだ。
経験やシチュエーションは少しずつ違うけれど、
その時々で抱いている気持ちや感情は全く変わらない。
恐らく目に見えていたものも。

この本は短編集で、
18歳、21歳、23歳、25歳、29歳の田村くんの日常がそれぞれ切り取られている。
最後の話で、もうすぐ30歳になろうとしている田村くんは
既に家庭を持っていたり、それなりの仕事をしている仲間達と
自分の夢を諦めた友人の結婚のお祝いパーティーで飲んでいる。
その時に、ある友人が田村くんのことを
「こいつはまだ何ものかになろうとしてるんだよ」と言うシーンがある。
私に向けて言われたようで、ズキッときた。
一定の年齢を越えたら、何ものかになろうとしちゃいけないのか!?
たぶんいけないのだろう・・・一般的には。
でも私はまだ、何ものかになりたいと思っている。
仕事の顔、家庭の顔だけが私の顔じゃない。
それだけで人生を終えてたまるか・・・という思いがある。
田村くんも恐らくそう思ったのだろう。
フリーランスのコピーライターながら小説を書き始め、
自分の青春時代のレクイエムとしてこの本を書いたんじゃないか?
ね、奥田英朗さん。
あなた自身が田村久雄くんでしょ?

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音楽の話

2004-10-22 | 風屋日記
私の車に乗ると、いつもヘンな音楽がかかっていると家人に言われる。
なにしろ今流行っている曲がかかっていることはまずないし、
ジャンルも多岐にわたっているからだ。

古いブルースは、コアなファン以外に評価されることがまずない。
1930年代から1960年代頃の曲になると録音品質も悪く、
家人でなくとも「何これ!?」ということになる。
サスティーンの効かない古いギター1本の伴奏で
バリバリ鳴る針音の底から素朴な歌声が聞こえる。
私にはギターのテクニックはもちろんのこと
やるせない哀しさやその時代の心の声が聞こえてくるのだが、
ファンでない人には聞こえないらしい。

日本の伝説のロックグループ「はっぴいえんど」は中学生の頃から好きだった。
CSN&Yの前身であるバッファロースプリングフィールドや
カントリーミュージックの香りを内包するポコなど
ウエストコーストロックの影響を受けた曲や演奏もさることながら
松本隆の現代詩のような前衛的で
それでいて懐かしさを感じさせる歌詞が今でも好きだ。
はっぴいえんどの後裔であるティン・パン・アレーや
その周辺にいた若いミュージシャン達を含め、
復刻CDを手に入れて今でも聴いている。
同じ頃関西で活躍した日本のブルースバンドである
上田正樹とサウス・トゥ・サウス、ソー・バッド・レビュー、
ディラン?などもCDを買ってみた。
ただし、これらはすべて約30年前の曲。
当時を知らない、あるいはブルースに興味のない人にとっては奇異だろう。

民族音楽や民俗音楽も好きだ。
タイ東北部の民族音楽であるポンラーンもCDを買ったし、アフリカのリズムも欲しい。
今朝はキューバの民俗音楽をメインテーマにして流行った
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のサントラを聴きながら出勤した。
ルンバやサンバ、フォルクローレのような南米の音楽も好きだし、
ボサノバは、よりブラジル的なものを求めて
アントニオ・カルロス・ジョビンやジョアン・ジルベルトのCDを買った。
哲学的、観念的なものよりも、生活に根付いた心の歌が好きだ。

ジャズはかつて色々聴いたが、モダンジャズはわからなかった(^^;
友人達の間で流行ったキース・ジャレットなどのピアノ曲も
どうやら私には難しすぎたようだ。
明るいエラ・フィッツジェラルドやビリー・ホリディの心の叫びなど
ボーカルものと、MJQなどの分かりやすいものは聴いたが、
どちらかというとスタッフやクルセイダーズのような
リズムとソウルが感じられるブラックフュージョン系が好きだった。
それにしても皆古いな(笑)

もちろん、割と最近の曲も聴くことはある。
それでもやはり、日本の民俗音楽やブルースに近いものが多い。
ビギン、BOOM、元ちとせ、一青窈などはCDやMDを車に積んでいる。
あ、もちろんサザンもブルースだ。
家人から評価されるのはこの辺りだけかな!?(笑)

こうやって並べてみると、
私の好きな音楽はリズムのあるもの、単純なものという他に
歴史と魂が感じられるもの、生活の匂いがするものなのかも知れない。
無機質なものよりも生。都会よりも土の香り。
技術的な組み立てよりも感情。
論理より心。
なんだ、音楽に限ったベクトルじゃないじゃないか。
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高校時代2

2004-10-21 | 風屋日記
ちょっとだけ昨日の補足。
ビール、日本酒、ワイン等の醸造酒を飲むとなぜか頭痛の元となる。
せいぜい各1杯(日本酒は1猪口)が限度。
すぐに焼酎やウイスキー(バーボンが好み)に切り替えたくなる。
そして、何を飲んでいても頭の回転は極端に悪くなる。
気を遣う接待や飲みながらの打ち合わせができる人を尊敬してしまう。
でも気を遣わず、楽しい飲み会はいつでもOK。
遠慮なく誘って欲しい(笑)

テキーラのことばかり書いたが、
昨年ベトナムの方からもらった焼酎(?)もうまかった。
香ばしさが忘れられず、もう一度飲みたいと思う。

゜・*:.。. ゜・*:.。.゜・*:.。. ゜・*:.。.゜・*:・ .。.:*・゜.。.:*・゜ .。.:*・゜.。.:*・゜

高校時代、友人達とガリ切りの文芸同人誌を作ったことがある。
当時私はボードレールやランボーから卒業し、カミュにはまっていた。
彼の「シジフォスの神話」的な短文に深さを感じていた。
日本でも三好達治や萩原朔太郎のような巨匠に背を向け、
ひらがな短文詩の川崎洋をしきりに読んでいた。
地元出身で早世した無名の詩人加賀谷宏にも憧れがあった。
その詩人達の影響をモロに受けながら、
当時抱いていた都会への憧れを、高校生の私はこう歌った。

    「ブルウス」

   俺が
   一人で酒を飲む夜に
   遠くから
   古いブルウスが聴こえてくる
   黄ばんだ鍵盤が
   踊り出す時
   その旋律は
   空を
    駆けて
     行くのだ

稚拙だが仕方がない。当時の自分もそう思っていたし・・・。
あえて解説すると、どこからか聴こえてくる「古いブルウス」は漏れ聞く都会の文化、
「黄ばんだ鍵盤」や「旋律」はそれとシンクロした憧れを表す。

一緒に同人誌をやっていた友人達には
ヴァレリーやマラルメなど、私が切り捨てたフランスの観念的な詩人を追っていた親友や
与謝野晶子ばりの艶やかな短歌を作る女の子もいた。
私を除き(笑)、今考えてもすごい感性を持った奴らだったと思う。
その「若い伸びやかな感性」達と付き合いながら、多少の嫉妬も感じていた。
そんな時、私はいつものように学校帰りに行きつけの喫茶店に立ち寄り、
レースのカーテンがかかった白い木枠の窓越しに
一人で通りを眺めながらぼんやりコーヒーを飲んだものだった。

今日みたいな日は、あの頃のようにひとりコーヒーを飲みに行きたい。
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テキーラ

2004-10-20 | 風屋日記
アルコールはあまり飲まない。
特に家では全く飲むことがない。
高校卒業の頃に体調を崩した親父が、
その後10年にわたって病院に出たり入ったりし、
家にいても、いつ何時病院まで
車に乗せていかなければならなくなるかわからなかったので、
夜家で酒を飲む習慣を身につけずに今日まできたせいかも知れない。
親父が死んだ後も、息子が小さい頃病弱だったので、
やはり夜はいつでも車を出せる体制をとっていた。

そんなことより、私の両親とも全く飲まないので、
家で酒を飲む習慣がどのようなものなのか、
知らずに育った・・・という方が正解か?
ちなみに妻も全く飲めない。
一人で飲むのもつまらないので、
正月だろうが、盆だろうが
アルコールもなく過ごすことになる。
お陰で、寝る前に突然思いつき、
パジャマ姿の家族4人で車で螢を見に出かけることもできた(笑)

外では飲む。
味は嫌いじゃない。
私の場合、酔うと頭が極端に回らなくなるので、
そういう状態が嫌なだけだ。
だから量はいらない。
それでも飲みに出ると、その日のうちに帰らないので
それはそれで困ったもんだ(笑)

これまで飲んだうちで、一番うまかったのはメキシカンビール。
少し甘めのビールが入ったジョッキに、
テキーラが入ったミルクピッチャーのような容器を沈めて飲む。
テキーラが入った分、度数は高くなるが、
これがうまかった。
本当はビール、日本酒、ワインのような醸造酒が苦手で、
ウイスキーや焼酎、ウオッカのような蒸留酒が好きなのだが・・・。

テキーラも好きだ。
ロックで飲んだり、テキーラベースのカクテル飲んだりもする。
「テキーラ・サンライズ」や「サンセット」もいいが、
かなり強い酒ながら口当たりがやたらといい
「スロー・テキーラ」がイチ押し。
テキーラをスロージンで割る。
酒を酒で割るわけだ。
これは1杯で充分だ。
2杯目を飲むと腰が立たなくなる。
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一杯のメシ

2004-10-19 | 風屋日記
ここ何日かの文章を読み返してみた。
掴みを狙った導入からテーマの説明に至り、
思いを熱く語った後に、2・3行の決めゼリフ・・・。
みんな同じパターンの展開だ。
ちょっと思い出したことがあり、とてつもなく恥ずかしくなった。

小学2年の時、「せんせいのこえ」という詩で市だったか県の表彰を受けた。
授業で書いたものだったが、大人達からのウケがめちゃ良かった。

   「○○くん!!」せんせいのおおきなこえ
   ぼくはどきっとした

という導入から始まる詩は、級友達の「ぼくは」から始まる詩とは一線を画していた。
その後、先生の声がいかに恐く大きいかについて何行か書き、最後は

   せんせいのこえは おかあさんのこえににている

・・・この決めゼリフ、実は「狙った」(笑)
賞を狙ったわけじゃない。
こう書けば大人達にウケるんじゃないかと子どもながら考えたわけだ。
導入部分はもちろんのこと、
マイナス展開から最後に「おとす」というのも狙いだった。
見事に「はまった」快感に、文章表現の面白さを知った。

中学・高校と、様々なシチュエーションで表現を試し、
大学も文学部を選んで、文章表現を学んだつもりだった。
しかし、ここ数日の文章構成・・・。
小学2年の頃と全く変わってないじゃないか(呆


今日のテーマはそんなことじゃなかった( ;^^)ヘ..
ちょっとショックが大きかったもので・・・(笑)
閑話休題。


永島慎二氏の漫画「フーテン」の中にこんな詩があった。

     「一杯のメシ」

   オレは一杯のメシを食えなかったことがない
   でも世の中には、一杯のメシが食えない人達がいる
   ちょうどオレが食った分だ
   だからオレはいつもひもじいのだ

永島慎二氏の漫画は、高校時代の私のバイブルだった。
あれだけ熱中したカミュもランボーもドーデも
そして中也や賢治も彼にはかなわなかった。
東京の大学を目指したのも彼の漫画の影響が大きかった。

氏が描いたものの中で、私がはまったのがこの詩の哲学だ。
アジアやアフリカの子供達に対する思い(この場合の「メシ」は教育だったりする)
イラクやアフガン、ソマリアに対する思い(この場合は平和)
私の持つ基本的な哲学は、ほとんどこの詩の中にある。
私は特別なイデオロギーを持っているわけじゃない。
純粋に争いを嫌うし、子供達や普通の市民の笑顔が見たいだけだ。
みんなで「メシ」を分け合いたいだけだ。

長くもなったし、今日は決めゼリフ無し(笑)
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日記

2004-10-18 | 風屋日記
今朝の散歩時、この秋初めて霜を見た。
まだ全面に降りたわけではないが、
ところどころ、小さな遺跡のように
白く丸く夜露が凍っていた。
よく見ると霜になっているのはすべて藁か、枯葉のところ。
緑色の草は夜露に濡れているだけで凍ってはいない。
生命は暖かい・・・ということを改めて認識した。

散歩中の犬が唸った。
横の薄暗い林に向かって、足を突っ張りリードを張って唸っている。
「熊か!?」と一瞬身構えた・・・が、気がつくと尾を振っている。
よくみると木の枝に野生のリス。
少しの間黙ってこっちを見ていたが、
すぐにするする木を登って見えなくなった。
冬に備えて忙しそうだ。

゜・*:.。. ゜・*:.。. ゜・*:.。. ゜・*:.。. .。.:*・゜.。.:*・゜.。.:*・゜.。.:*・゜

BLOGを始めて、今日で2ヶ月。
2・3日休んだだけで、後は毎日更新を続けることができている。
ここに書くために、最近は身の回りの小さなことに目が向くようになった。
何気なく見過ごしていたことに気付くようになり、
ささやかに思いをはせることができる。
こんな田舎の、何気ない平凡な毎日に、
実はたくさんの小さな感動が潜んでいる。

BLOGを始めた最初のきっかけは、イラクの日本人人質事件だった。
政府関係者の発言やマスコミの論調が「自己責任論」に傾き、
「ちょっと待てよ」と思った。
世論が次から次へと自己責任論に流れていく。
NetでNGO支持の団体や人質支援団体を知り、
署名や救出に向けたチェーンメールにも参加した。
集会ではメッセージを読み上げてももらった。
でも、実際どれだけのことができたのだろう。
人質事件に限らず、自分が納得できずに「おかしい」と思うことも、
一人で声をあげようとしてすぐかき消されてしまう。
不特定多数の人達に、自分の様々な思いを伝えたいという気持ちがあった。
その時、BLOGという存在を知った。

自分の考えを押し付けるつもりはない。
こんな考えの人間もいる・・・ということを知ってもらうだけでいい。
書くだけでカタルシスを得られるという、
基本的にはマスターベーションのようなものだとも思う。
しかしBLOGの更新を続けていく中で、
毎日の生活の中に小さな灯を発見することができるというのは、
当初思っても見なかった。

今私は、自分のために更新を続けている。
ここはいつの間にか、私の本当の日記になりつつある。
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2004-10-17 | 風屋日記
毎週書いているような気がするが、
日曜日の朝日新聞に載っている書評欄が楽しみ。
他のページを先にすべて読んだ上で、
おもむろに書評欄のページを開く。
そう、私は寿司でもウニを最後に取っとくタイプ(笑)

「今日は興味の持てる本の紹介あるかな~!?」というのは
毎週日曜の大きな楽しみだ。
ちらりと覗いてみて、良さ気なタイトル見つけると、
もう居ても立ってもいられなくなり、書評をじっくり読んでしまう。
先週に続き、今日もヒット。

興味を持ったのは
●「アルカイダ」ジエイソン・バーク著 講談社
●「The Wrong Goodbye」矢作俊彦著 角川書店・・・このタイトルに笑った
●「安息日の前に」エリック・ホッファー著 作品社
●「ニューヨーク」ベヴァリー・スワーリング著 集英社
●「ロバート・キャパ最期の日」横木安良夫著 東京書籍
●「シベリア鎮魂歌-香月泰男の世界」立花隆著 文芸春秋

の他、広告欄の
●「代筆屋」辻仁成 海竜社
など・・・。

興味を持った本はすべて手帳にリスト化してある。
全部読むなんてことはムリなんだけど(笑)
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