前の会社に入った頃のこと。
一応ヘッドハンティングのような形だったので
入社早々大きな業務改革を期待されていた。
もちろんそれなりに張り切って
現在の流れを調べ、システマチックに企画設計し、
システム改編を行なってマニュアルを作る。
その上で社内発表と施行・・・したのだったが、
残念ながらそれに没頭するあまり
社内の根回しやコミュニケーションづくりは疎かになっていた。
当然のことながら猛烈なバッシングが始まった。
今考えれば、そりゃそうだよね。
いきなり外から入ってきて社内を引っ掻き回したんだから。
ともあれそれはかなり猛烈なものだった。
しかもその先鋒となっていたのはほぼ全部課長クラス。
ある日、急に握力が無くなりペンが持てなくなった。
懇意にしていた産業医の先生に相談に行ったら、診察の後
「医大の神経科に紹介状書いてあげるけど、行く?」
と聞かれ、「様子見ます」と答えたのだった。
総務課長の頃
ある日、唯一の上司だった部長が会社に来なくなった。
社長との意見に食い違いがあり、突然の退職だった。
それまでは総務系と人事系、システム系の担当だったが
その日から給与計算を含む労務や売上管理も担当となった。
部長は全て手計算だったのだが、誰もやり方を知らない。
仕方なく、毎晩午前様になるまで机に向かった。
花巻から盛岡へ通っていたし、冬の雪道車通勤だったから
朝も6時前には家を出る。
頭痛が慢性化し、バファリンが主食となった。
そんなある日、全身に発疹が・・・。
件の産業医から「薬中毒だね。しばらく寝てなさい」と言われ
入院病棟で半日寝て過ごし、なんとか回復できた。
総務部長の頃、これまた毎朝早く、毎晩遅い日が続いた。
その頃には財務も担当し、資金繰りや経営施策にも当たっていた。
帰る頃には腹が減っている。
帰りはコンビニに立ち寄って菓子パンを食べながら運転する日々。
帰ったら冷えた晩飯が待っていた。
みるみるうちに太り、健康診断で肝臓値がひっかかる。
同級生の医師に超音波で見てもらったら
「おー!見事なフォアグラが育ってる」と。
血圧も尋常な高さではなく、ひどい時は下が120を超えていた。
(さすがにそんな時はめまいがひどかった)
意を決して、昼メシをカロリーメイト2本だけにしてみた。
もちろん菓子パンは止め、晩メシのご飯も軽く1杯だけ。
1ヶ月で5Kg、2ヶ月で12kg落とし、
それ以来血圧も正常値に落ち着くようになった。
それ以上の大病はしたことがないから、おおむね健康。
しかし引っかかったのはすべてストレスが原因だ。
「フォアグラ」時には蕁麻疹もひどかったから
今思えばけっこう綱渡りだったのかも。
それでも「仕事しすぎて血を吐いたことがある」とか
「健康診断では2桁項目が引っかかりまくり」とかいうことが
ある意味自慢話のように語られていた環境だったから
もしかしたら、そのままあの生活を続けていたら
生命の危険に陥ったかもしれない。
幸い、今は好きな仕事してるからノンストレス。
毎晩筋肉トレーニングもしていて、至って健康体だ。
あの頃のストレスは、もしかしたら仕事量や稼働時間よりも
社員の生活を担う責任の重さが一番だったのかもしれないから
今がノンストレスなのは、
本業をほぼひとりでこなしているからなのかもしれない。