一時、小池真理子さんの作品ばかり読んでいた時期がある。
若い頃に直木賞受賞作品「恋」を読んだが
その後しばらくして、1970年前後が舞台の作品を中心に
文庫本を片端から読み漁った。
ストーリーや耽美な文体もさることながら
自分が学生時代だった頃もまだ大学や社会に残っていた
1970年頃の残滓をもう一度感じたかったからかも知れない。
無伴奏は小池さんの半自伝作品と言われるが
こんな衝撃的なことが本当にあったことなのかどうかはわからない。
それでも主人公の女子高校生が
1969年の小池さんに思えてしかたなかった。
映画化されていたことは知っていたが
劇場公開時は見逃してしまっていた。
例によって、自宅にこもる週末、Netflixで鑑賞。
せっかく背景や風景が当時を忠実に再現し、
なおかつストーリーも原作をスポイルすることなく
忠実に映像化していて面白かったのだが
少し残念だったのは中心となる3人の俳優陣がぎこちなかったこと。
若い俳優さんたちが演じていたが、彼らは当時のことを知らない。
当時の若者が持っていたアンニュイやニヒルさは
仏頂面するだけでは表現できない。
もっと深いところで彼らは悩み、虚無を抱えていたはず。
若いからこその青い悩みは、今の若者にはイメージできないかも。
それでも悪い映画ではなかった。
自分の学生時代を思い出し、胸キュンする作品だった。