いぶろぐ

3割打者の凡打率は7割。そんなブログ。

終の棲家か

2023-09-20 23:10:22 | 超・いぶたろう日記
古い家である。広い家である。
この地は僕で八代目、僕が生まれる前に祖父が建てた家である。

かつては古井戸があり、汲み取り便所があり、
敷地の至る所に畑があり、包帯工場まであった家である。
僕の人生の思い出深い一コマたちが、
定点観測のように刻み込まれ、染み付いている家である。

若き日の祖父母や父母や叔父母、幼き日の弟妹や従兄弟たち、
さらには僕の妻や愛息・愛娘、甥っ子たち、愛犬たちに至るまで、
様々な残像があちこちに浮かぶような家である。
情の深い我が一族が、懐の寛い祖父母を慕って休みのたびに集い、
賑やかな時を過ごしてきた家である。

息子と娘を連れて1週間。
御歳九十七の祖母が急に入院となった。
帰ってこられるかどうかは、わからない。
大好きなこの家に、祖母の姿がないことだけが、とても寂しい。
あって当たり前のものが、そこにいないということは、こんなにも寂しい。

主人が不在となった家は、変わらず広々として、
それだけに寒々として、真っ暗になりそうだ。
でもいま、何も知らずに明るく元気に走り回る子供たちが、
眩しいほどの光で照らしている。

まもなく4歳になる息子が、問わず語りに僕にこう言った。
「大ばあばのおうち、だいすきなんだー、このおうちに住みたいな〜」
いつかは、いずれは、と考えたことなら何度もある。
とうとうその日がやって来たのかな。
あとは僕が肚を決めるだけ、なのだろうな。

最新の画像もっと見る

post a comment