語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【メディア】危ういテレビの将来 ~4K8Kどころか、開発メーカー激減~

2016年03月31日 | 社会
 (1)テレビが危ない。
 安倍政権のテレビ干渉の話ではない。
 テレビ受信機の開発メーカーが激減しているのだ。
 4K8K(現行よりも解像度/画素数が高い映像放送)のテレビの将来が語られる中、足下のテレビメーカーが崩壊している。
 1990年代、米国のテレビメーカーが次々と開発を中止し、韓国などに買収された歴史が思い出される。

 (2)日本のテレビ開発を支えてきたのは、TMSHといわれる。(a)東芝、(b)松下電器(パナソニック)、(c)ソニー、(d)日立製作所の4社だ。
 (d)は、テレビ事業からすでに撤退。
 テレビ事業の赤字が続き、分社化された(c)、そして経営問題で混乱が続く(a)は、テレビ部門の売却が噂されている。このままでは(b)の1社状況になりかねない。

 (3)地デジを支えた車の両輪は、間違いなくテレビ局とテレビメーカーだった。
 しかし、その地デジ化がメーカーの首をしめた、という。
 テレビの生産、開発には膨大なヒト、モノ、カネがかかる。デジタルテレビの受信機開発にかけた経費を回収する前に、2011年の期限が迫り、低価格競争の結果、開発費をリクープ(回収)することができなかった。
 さらにデジタル化を契機に、多額の開発経費をかけなくても部品を購入し、組み立てればテレビの塩梅が可能になったことも開発メーカーの苦境に拍車をかけた。

 (4)次世代テレビという4K8K。
 2016年はリオデジャネイロ・オリンピックに期待を寄せ、8Kの試験放送が始まる。しかし、いまだ地上での4K(いわんや8K)の実施計画はない。地上での実施が見えないかぎり、本格的な普及はあり得ない。オリンピックを契機に普及させる、という総務省の計画も効果は疑問だ。

 (5)地デジ受信機に必ずついてくるB-CASカードは暗号化の塊だが、その技術は東芝、パナソニックが中核技術を担い、日立も関わるメーカー3社が鍵を握る。
 4K8Kの暗号・スクランブル技術の検討も進められているが、その体制に影響尾与える恐れもある。

 (6)インターネット上の動画配信がますます増えていく中、テレビ番組をテレビ受信機で見る機会は減少する。そのことに間違いはない。
 だからといって、テレビメーカーが減少していくのでは、日本の技術開発お点から問題が多い。
 4月1日、デジタル放送推進協会(Dpa)と次世代放送推進フォーラム(Next-TV-F)が合併し、放送サービス高度化推進協会(A-PAB)となる。テレビ局とテレビメーカーも会員の組織がどんな活動を行うのか。
 
 (7)日本のテレビ技術の規格は、テレビ局とメーカーが侃々諤々の議論の末、策定し、それが高品質かつ低廉なテレビを可能とした。
 外国メーカーばかりでは、視聴者もメリットはない。

□砂川浩慶「4K8Kどころか開発メーカー激減で危ういテレビの将来」(「週刊金曜日」2016年3月25日号)
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