語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【古賀茂明】宮沢経産相は「官僚の守護神」 ~原発再稼働~

2014年11月07日 | 社会
 経産相に就いた小渕優子は、官僚に従順だったし、官僚は暴走した。最悪の組み合わせだった【注】。
 その小渕は、あっという間に辞任してした。

 安倍首相が後任として投入したのが宮沢洋一だが、この人もまた就任直後から
  ・SMバーへの政治資金支出
  ・外国人株主が過半を占める企業から受けた献金
の問題などで追究を受けている。
 一方、安倍政権や自民党はもとより、マスコミ政治部の記者たちの中に、こんな下らないことにエネルギーを割かないで政策論議をすべきだ、という声も出ている。
 ところが、安倍内閣の最大の問題は、カネの問題ではない。実は、行政を適切に執行する能力に大きな疑いがある閣僚が多数いる点にある。

 経産相の前後任二人の能力を比較すると、
  (1)小渕の能力のなさは、国会答弁、記者会見のやり取りなどで、マスコミや霞が関官僚の間では評判となっていた。経産相という重責を担えないことは既にハッキリしていた。早めにクビにできたことは、安倍政権にとって不幸中の幸いであった。 
  (2)では、財務官僚OBで、永田町では「政策通」と言われる宮沢が進める政策は信頼できるか。心配なのは、
   (a)東電株を保有している。福島の大事故以後、まじめな政治家なら、東電との癒着を疑われないよう、株を売却するものだ。しかし、宮沢の東電株は含み損状態なので、持ち続けて東電株を持っていたらしい。そんな人が経産相をやるのは、完全な利益相反だ。株式を信託して売却できないようにした、と言い訳しているが、何の意味もない。売却しなくても、東電に都合のより政策を連発して、東電株が値上がりすれば宮沢にとって万々歳だからだ。
   (b)福島に行ったことがなかった。菅官房長官は、宮沢が復興支援に尽力したというが、震災からすでに3年半。1回も行ってないのは奇妙だ。宮沢はおそらく財務官僚の典型なのだろう。現場は見ずに、机の後ろにふんぞり返って、国民からの陳情に応えてやっている、という上からの目線。こんな人に住民目線の政策は期待できない。
   (c)【最大の問題】宮沢が「官僚の守護神」であることだ。<例>公務員改革法案を徹底的に骨抜きにしようと画策した。宮沢は「過去官僚」として、官僚にとって何が重要かを最もよく分かっている政治家の一人として、官僚を守るため必死に働いた。

 宮沢は、今後、原発再稼働も含め、経産省が抱える諸問題の処理に当たって、経産官僚の利権をうまく温存することによって彼らに大きな恩を売れば、それを自分の利権につなぐことができる。
 経産省の立場から見れば、官僚の利害を熟知した大臣であれば、修羅場で想定外の事態になっても応用動作が可能で、その場で官僚をうまく守る振る舞いができる・・・・と期待する。それこそが、霞が関のいわゆる「政策通」だ。

 小渕のスキャンダル辞任で暗雲が垂れ込めたかに見えた原発再稼働。
 宮沢経産相がスキャンダルをうまく乗り切ってくれれば・・・・。
 経産官僚は、そう願っているだろう。

 【注】「【古賀茂明】従順な小渕大臣と暴走する官僚 ~原発再稼働~

□古賀茂明「宮沢経産相は「官僚の守護神」 ~官々愕々第130回~」(「週刊現代」2014年11月15日号)
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 【参考】
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【古賀茂明】御嶽山で多数の死者が出た背景 ~政治家の都合、官僚と学者の利権~
【古賀茂明】従順な小渕大臣と暴走する官僚 ~原発再稼働~
【古賀茂明】イスラム国との戦争 ~集団的自衛権~
【古賀茂明】「地方創生」は地方衰退への近道 ~虚構のアベノミクス~
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チェルノブイリは、30年近くたっても解決の見通しすらなし!! (チェルノブイリは、30年近くたっても解決の見通しすらなし!!)
2014-11-10 13:33:55
★レベル7過酷事故をおこしたチェルノブイリは、30年近くたっても解決の見通しすらなし!!健常児2.5%!!97.5%は障害児!!

★「チェルノブイリ、まだ被害渦中」日本ペンクラブが視察(朝日2012年5月3日)

日本ペンクラブの理事ら8人は4月中旬、チェルノブイリ原発事故の影響を旧ソ連ウクライナなど現地で視察した。「福島と子どもたちの未来を考えるため」という。25日に会見した浅田次郎会長は「処理作業にはキリがない。絶望的だ。大人は未来に責任をもたないといけない」と話し、原発反対を改めて表明した。・・・森絵都理事は「原発事故から26年たったチェルノブイリに教えを請う気持ちで行ったが、まだ被害の渦中だということがわかった」と話す。・・・原発の放射性物質を封じ込めるシェルターは、コンクリートに亀裂が入っていたという。新たなシェルター造りや廃炉の管理のため、今も常時3千人が作業をしている。報道によると新たなシェルター造りの建設費は約1620億円。欧州各国による基金に頼り、地元の雇用が創出されてもいるという皮肉な状況だ。中村敦夫理事は「原発は経済のためと言う人がいるが、逆の意味の冗談ではないか」。原発から約17キロにある公園内の記念碑には、今も人が住めない100を超える廃村の名前が刻まれている。中村理事は「広大な森の除染は不可能だと証明されている。日本は森と山の国だ」と心配を隠さない。約60キロ離れたナロジチの病院では、がん治療のため放射性ヨードを飲む患者が壁に鉛を入れた隔離病棟にいた。事故当時8歳で、今年になって甲状腺がんを発症した男性もいた。 中村理事は「内部被爆の問題が大きいのではないか。日本と違い、汚染された森のキノコなどを食べざるを得ない食糧事情もあるようだ」と話す。ウクライナの首都キエフの内分泌研究所によると、胎内被曝(ひばく)した子どもの7歳検診では、【健康児は2.5%】しかいなかったという。

http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201205020147.html
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