(1)今さらながら、最近のことさえ無視するマスコミの「健忘症」は治癒する気配がまるでない。
北朝鮮の人工衛星打ち上げを、NHKを先頭に「事実上のミサイル発射である、云々」と繰り返してはばからない。
その数日後の日本の科学観測装置の打ち上げでは、「成功、成功!」と実況中継で叫んだ。この時、打ち上げ方向の定期航空便は迂回やダイヤ変更をしていなかったのか? 日本のロケットであっても、万一の時の安全対策は必要だ。
北朝鮮の打ち上げの時の騒ぎは、明らかに意図的だった。
(2)沖縄の上空を通過するから、と自衛隊の迎撃ミサイルが石垣島などに配備された。緊急情報伝達体制の準備状況も、事細かに全国報道された。
だが、同じように沖縄上空を飛んだ韓国の人工衛星ロケットの時(2009年8月と2013年1月)には、日本政府は何もしていない。マスコミも、危険性に無関心だった。
しかも、2009年の韓国の人工衛星は失敗だったのに、そのことも報道していない。
北朝鮮は、ともかく二度成功している。破片落下の危険性が高いのは、韓国と北朝鮮のどちらであるかは自明だ。
(3)コラムで指摘しても、マスコミが無視ないし「健忘症」に陥るのは、(2)の件だけではない。
高市総務相の「停波発言問題」、安倍首相の「従来の政府答弁と変わりない」発言についても同じだ。「番組一つひとつを見て全体を考える」と言うのと、ただ「全体を見て考える」というのとでは、意味がまるで違う。その違いを危惧するのは当然だ。
それに、発言者が高市氏であることが問題だ。同氏は、高飛車でけんか腰の物言いで知られ、言葉だけでなく実際に「脅し」に近い方法で政治家としての実績を上げている事実がある。
公正取引委員会が新聞の再販価格制度を廃止して自由競争に移行させようとした2006年のこと。自民党は「新聞の特殊指定に関する議員立法検討チーム(高市座長)」を発足させて、公取委を断念に追い込んだ。
決め手は、公取委が強行するのであれば、公取委だけの判断では廃止できないとする独占禁止法改正案を突きつけたことだった。
その成果を確認した際に、高市氏は、「改正案は党内で温存し、必要な時が来たらいつでも提出できるようにしたい」と公言し(2006年6月2日付け「読売新聞」)、「脅し」を継続させている。
(4)「これにて一件落着!」という大岡裁きのテレビドラマも、高市氏にははしゃぐ種の「番組の一つ」だろう。
安倍首相の責任は重い。権力者は、自分よりも度量や人望がある者にしかるべき地位を与えることを避けがちだ。結果として、安倍政権では閣僚の問題発言続出の事態となった。
マスコミは、その責任追及で、過去の事実について無頓着すぎる。「健忘症」と呼ばれるのは初めてではないはずだ。
□高嶋伸欣(琉球大学名誉教授)「高市早苗総務大臣は「脅し」の政治家。報道は「健忘症」では?」(「週刊金曜日」2016年3月11日号)
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【メディア】総務大臣には、停波命じる資格はない ~放送電波停止発言~ 」
「【メディア】や高市発言にみる安倍政権の「表現の自由」軽視」
「【古賀茂明】一線を越えた高市早苗総務相の発言」
「【メディア】政治的公平とは何か ~「NEWS23」への的外れな攻撃~」
「【NHK】をまたもや呼びつけた自民党 ~メディア規制~」
「【テレビ】に対する政権の圧力(2) ~テレ朝問題(9)~」
「【テレビ】に対する政権の圧力(1) ~テレ朝問題(8)~」
北朝鮮の人工衛星打ち上げを、NHKを先頭に「事実上のミサイル発射である、云々」と繰り返してはばからない。
その数日後の日本の科学観測装置の打ち上げでは、「成功、成功!」と実況中継で叫んだ。この時、打ち上げ方向の定期航空便は迂回やダイヤ変更をしていなかったのか? 日本のロケットであっても、万一の時の安全対策は必要だ。
北朝鮮の打ち上げの時の騒ぎは、明らかに意図的だった。
(2)沖縄の上空を通過するから、と自衛隊の迎撃ミサイルが石垣島などに配備された。緊急情報伝達体制の準備状況も、事細かに全国報道された。
だが、同じように沖縄上空を飛んだ韓国の人工衛星ロケットの時(2009年8月と2013年1月)には、日本政府は何もしていない。マスコミも、危険性に無関心だった。
しかも、2009年の韓国の人工衛星は失敗だったのに、そのことも報道していない。
北朝鮮は、ともかく二度成功している。破片落下の危険性が高いのは、韓国と北朝鮮のどちらであるかは自明だ。
(3)コラムで指摘しても、マスコミが無視ないし「健忘症」に陥るのは、(2)の件だけではない。
高市総務相の「停波発言問題」、安倍首相の「従来の政府答弁と変わりない」発言についても同じだ。「番組一つひとつを見て全体を考える」と言うのと、ただ「全体を見て考える」というのとでは、意味がまるで違う。その違いを危惧するのは当然だ。
それに、発言者が高市氏であることが問題だ。同氏は、高飛車でけんか腰の物言いで知られ、言葉だけでなく実際に「脅し」に近い方法で政治家としての実績を上げている事実がある。
公正取引委員会が新聞の再販価格制度を廃止して自由競争に移行させようとした2006年のこと。自民党は「新聞の特殊指定に関する議員立法検討チーム(高市座長)」を発足させて、公取委を断念に追い込んだ。
決め手は、公取委が強行するのであれば、公取委だけの判断では廃止できないとする独占禁止法改正案を突きつけたことだった。
その成果を確認した際に、高市氏は、「改正案は党内で温存し、必要な時が来たらいつでも提出できるようにしたい」と公言し(2006年6月2日付け「読売新聞」)、「脅し」を継続させている。
(4)「これにて一件落着!」という大岡裁きのテレビドラマも、高市氏にははしゃぐ種の「番組の一つ」だろう。
安倍首相の責任は重い。権力者は、自分よりも度量や人望がある者にしかるべき地位を与えることを避けがちだ。結果として、安倍政権では閣僚の問題発言続出の事態となった。
マスコミは、その責任追及で、過去の事実について無頓着すぎる。「健忘症」と呼ばれるのは初めてではないはずだ。
□高嶋伸欣(琉球大学名誉教授)「高市早苗総務大臣は「脅し」の政治家。報道は「健忘症」では?」(「週刊金曜日」2016年3月11日号)
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【参考】
「【メディア】総務大臣には、停波命じる資格はない ~放送電波停止発言~ 」
「【メディア】や高市発言にみる安倍政権の「表現の自由」軽視」
「【古賀茂明】一線を越えた高市早苗総務相の発言」
「【メディア】政治的公平とは何か ~「NEWS23」への的外れな攻撃~」
「【NHK】をまたもや呼びつけた自民党 ~メディア規制~」
「【テレビ】に対する政権の圧力(2) ~テレ朝問題(9)~」
「【テレビ】に対する政権の圧力(1) ~テレ朝問題(8)~」