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語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落

2016年03月22日 | ●佐藤優
   
 ①山内昌之『中東複合危機から第三次世界大戦へ イスラームの悲劇』(PHP新書 820円)
 ②奥彩子/西成彦/沼野充義・編『東欧の想像力 現代東欧文学ガイド』(松籟社 1,900円)
 ③副島彦『世界連鎖暴落はなぜ再発したか』(祥伝社 1,400円)

 (1)①は、中東情勢だけでなく現下の国際情勢の基本構造を理解するための基本書中の基本書だ。
 <2015年11月のパリ大虐殺は、ISを媒介に中東複合危機と不可分に結びついている。それは、第二次冷戦とポストモダン型戦争を結合する一要素になるだろう。
 (中略)ISを軸とするシリアの多重戦争やシーア派対スンナ派の相互排除は、中東複合危機をますます深める要因である。
 そして、中東で繰り広げられる第二次冷戦は、すでにロシアがシリア戦争の当事国にあるという未曾有の段階に入っており、ロシアとトルコとの間にも戦闘機撃墜を機に新たな露土対決の危険性もまったく排除されなくなった。トルコとロシアとの間に熱戦が生じるなら、ポストモダン型戦争が結びついて中東複合危機が深まる中で、ますます第三次世界大戦の暗雲がたちこめるだろう>
 第三次世界大戦が起きる可能性を過小評価できないのだ。

 (2)②を読めば、文学を通じて、この地域が抱える複雑さがわかる。
 <また、東欧の一部はハプスブルク帝国以外にも、ロシア帝国やオスマン・トルコ帝国などの支配を受けてきた。つまり、全体として見れば東欧は、多くの民族を抱える帝国の支配を恒常的に受け、国民国家の成立・発展を阻害されてきたと言うことができる。第一次世界大戦後に東欧の諸民族は、帝国の支配から抜け出て次々と独立し、国民国家を形成するが、国民国家の発展のための歴史的条件が西欧のように整っていたとは言いがたく、複雑な民族問題を内包しながら、民族的文化を発展させていく>
 プレモダンな帝国の遺産とモダンな国民国家システムとのあつれきが、この地域の事情を複雑にしている大きな要因だ。

 (3)副島彦氏は、インテリジェンスの最悪情勢分析を踏まえ、ユニークな評論活動を行っている。近著の③において、
 <2015年7月16日にヨーロッパ委員会(EUの政府)と、ギリシャのツィプラス政権がこれで合意した。「ツィプラスよ。あとこれだけ(12兆円)くれてやるから、これで我慢せよ。お前と交渉して、これ以上引きずり回されるのは御免だ」とEU政府はウンザリして態度を決めた。だが、ギリシャ危機は、そのうち再々度、起きる。それは、ドイツの大銀行がギリシャ政府と、ギリシャの大手銀行に大金(おそらく2兆ドル=240兆円)を貸し込んでいるからだ。その担保が、だから今や紙クズのギリシャ国債である>
 と指摘している。説得力がある。

□佐藤優「第三次世界大戦の可能性 ~知を磨く読書 第142回~」(「週刊ダイヤモンド」2016年3月26日号)
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 【参考】
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【佐藤優】一時中止は沖縄側の勝利だが ~辺野古新基地建設~
【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】情報のプロならどうするか ~「私用メール」問題~
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】テロリズムに対する統一戦線構築 ~カトリックとロシア正教~
【佐藤優】北方領土「出口論」を安倍首相は訪露で訴えよ
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】ラブロフ露外相の真意 ~日本政府が怒った「強硬発言」~
【佐藤優】プーチンが彼を「殺した」のか? ~英報告書の波紋~
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】北朝鮮による核実験と辺野古基地問題
【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治
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【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学
【佐藤優】矛盾したことを平気で言う「植民地担当相」 ~島尻安伊子~
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【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~
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【佐藤優】日本でもテロが起きる可能性 ~日本でテロ(2)~
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【佐藤優】小泉劇場と「戦後保守」・北方領土、反知性主義を脱構築
【佐藤優】【中東】「スリーパー」はテロの指令を待っている
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【佐藤優】武器としての教養、闘い方、対話の技術 ~知の教室・抄(2)~
【佐藤優】知的技術、情報を拾う・使う、知をビジネスに ~知の教室・抄(1)~
【佐藤優】多忙なビジネスマンに明かす心得 ~情報収集術(2)~
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【佐藤優】日本のインテリジェンス機能、必要な貯金額、副業の是非 ~知の教室~
【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ』目次
『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』
 ★『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』目次はこちら
【佐藤優】サハリン・樺太史、酸素魚雷と潜水艦・伊400型、飼い猫の数
【佐藤優】第2次世界大戦、日ソ戦の悲惨 ~知を磨く読書~
【佐藤優】すべては国益のため--冷徹な「計算」 ~プーチン~
【佐藤優】安倍政権、沖縄へ警視庁機動隊投入 ~ソ連の手口と酷似~
【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
【佐藤優】冷静な分析と憂国の情、ドストエフスキーの闇、最良のネコ入門書
【佐藤優】「クルド人」がトルコに怒る理由 ~日本でも衝突~
【佐藤優】異なるパラダイムが同時進行 ~激変する国際秩序~
【佐藤優】被虐待児の自立、ほんとうの法華経、外務官僚の反知性主義
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【佐藤優】地政学の目で中国を読む ~昭和史(9)~
【佐藤優】これから重要なのは地政学と未来学 ~昭和史(8)~
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【佐藤優】戦略なき組織は敗北も自覚できない ~昭和史(6)~
【佐藤優】人材の枠を狭めると組織は滅ぶ ~昭和史(5)~
【佐藤優】企画、実行、評価を分けろ ~昭和史(4)~
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【佐藤優】現場にツケを回す上司のキーワードは「工夫しろ」 ~昭和史(2)~
【佐藤優】実戦なき組織は官僚化する ~昭和史(1)~
【佐藤優】バチカン教理省神父の告白 ~同性愛~
【佐藤優】進むEUの政治統合、七三一部隊、政治家のお遍路
【佐藤優】【米国】がこれから進むべき道 ~公約撤回~
【佐藤優】同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか」「【佐藤優】プーチンのメッセージ
【佐藤優】ロシア人の受け止め方 ~ノーベル文学賞~
【佐藤優】×池上彰「新・教育論」
【佐藤優】沖縄・日本から分離か、安倍「改憲」を撃つ、親日派のいた英国となぜ開戦
【佐藤優】シリアで始まったグレート・ゲーム ~「疑わしきは殺す」~
【佐藤優】沖縄の自己決定権確立に大貢献 ~翁長国連演説~
【佐藤優】現実の問題を解決する能力 ~知を磨く読書~
【佐藤優】琉球独立宣言、よみがえる民族主義に備えよ、ウクライナ日記
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】ネット右翼の終わり、解釈改憲のからくり、ナチスの戦争
【佐藤優】「学力」の経済学、統計と予言、数学と戦略思考
【佐藤優】聖地で起きた「大事故」 ~イランが怒る理由~
【佐藤優】テロ対策、特高の現実 ~知を磨く読書~
【佐藤優】フランスにイスラム教の政権が生まれたら恐怖 ~『服従』~
【佐藤優】ロシアを怒らせた安倍政権の「外交スタンス」
【佐藤優】コネ社会ロシアに関する備忘録 ~知を磨く読書~
【佐藤優】ロシア、日本との約束を反故 ~対日関係悪化~
【佐藤優】ロシアと提携して中国を索制するカードを失った
【佐藤優】中国政府の「神話」に敗れた日本
【佐藤優】日本外交の無力さが露呈 ~ロシア首相の北方領土訪問~
【佐藤優】「アンテナ」が壊れた官邸と外務省 ~北方領土問題~
【佐藤優】基地への見解違いすぎる ~沖縄と政府の集中協議~
【佐藤優】慌てる政府の稚拙な手法には動じない ~翁長雄志~
【佐藤優】安倍外交に立ちはだかる壁 ~ロシア~
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【佐藤優】日中を衝突させたい米国の思惑 ~安倍“暴走”内閣(10)~
【佐藤優】国際法を無視する安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(9)~
【佐藤優】日本に安保法制改正をやらせる米国 ~安倍“暴走”内閣(8)~
【佐藤優】民主主義と相性のよくない安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(7)~
【佐藤優】官僚の首根っこを押さえる内閣人事局 ~安倍“暴走”内閣(6)~
【佐藤優】円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚劣 ~安倍“暴走”内閣(5)~
【佐藤優】中小企業100万社を潰す竹中平蔵 ~安倍“暴走”内閣(4)~
【佐藤優】自民党を操る米国の策謀 ~安倍“暴走”内閣(3)~
【佐藤優】自民党の全体主義的スローガン ~安倍“暴走”内閣(2)~
【佐藤優】安倍“暴走”内閣で窮地に立つ日本 ~安倍“暴走”内閣(1)~
【佐藤優】ある外務官僚の「嘘」 ~藤崎一郎・元駐米大使~
【佐藤優】自民党の沖縄差別 ~安倍政権の言論弾圧~
【書評】佐藤優『超したたか勉強術』
【佐藤優】脳の記憶容量を大きく変える技術 ~超したたか勉強術(2)~
【佐藤優】表現力と読解力を向上させる技術 ~超したたか勉強術~
【佐藤優】恐ろしい本 ~元少年Aの手記『絶歌』~
【佐藤優】集団的自衛権にオーストラリアが出てくる理由 ~日本経済の軍事化~
【佐藤優】ロシアが警戒する日本とウクライナの「接近」 ~あれかこれか~
【佐藤優】【沖縄】知事訪米を機に変わった米国の「安保マフィア」
【佐藤優】ハワイ州知事の「消極的対応」は本当か? ~沖縄~
【佐藤優】米国をとるかロシアをとるか ~日本の「曖昧戦術」~
【佐藤優】エジプトで「死刑の嵐」が吹き荒れている
【佐藤優】エリートには貧困が見えない ~貧困対策は教育~
【佐藤優】バチカンの果たす「役割」 ~米国・キューバ関係~
【佐藤優】日米安保(2) ~改訂のない適用範囲拡大は無理筋~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】外相の認識を問う ~プーチンからの「シグナル」~
【佐藤優】ヒラリーとオバマの「大きな違い」
【佐藤優】「自殺願望」で片付けるには重すぎる ~ドイツ機墜落~
【佐藤優】【沖縄】キャラウェイ高等弁務官と菅官房長官 ~「自治は神話」~
【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
【佐藤優】明らかになったロシアの新たな「核戦略」 ~ミハイル・ワニン~
【佐藤優】北方領土返還の布石となるか ~鳩山元首相のクリミア訪問~
【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 

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【中野好夫】人びとの気持ちを変えるテクニック ~シェークスピア~

2016年03月21日 | ●中野好夫
 (1)『ジュリアス・シーザー』第3幕第2場、シーザー暗殺の後、まず暗殺主謀者の一人ブルータスが登場する。暗殺のやむをえなかった理由を説明し、市民は歓呼して、これを納得する。続いて、故人シーザーの友人にして同志のアントニーが登場する。その雄弁をもって、市民をして逆にシーザー万歳、暗殺者たちの邸を焼き討ちしろ、と叫ばせる。市民は暴動化する。
 舞台でみれば僅々20分間余。アントニーの演説は12~3分間程度。アントニーは舌先三寸で、この12~3分間のうちに、民衆の意志と行動を180度回転させるのだ。
 ここで注意したいのは、中野は当初「市民」と呼んでいるのだが、アントニーが「いわば真西を向いていたものを真東に向け変え」るあたりに筆が及ぶと、「民衆」と呼び換えている。以後「市民」は消えて、「群衆」または「大衆」となる。激越な評語を伴って。このあたりに中野の複雑な心情を忖度できる。
 以下、市民/民衆/群衆/大衆の用語は、中野の原文に合わせている。

 (2)まず、ブルータスの演説がある。
 シーザー暗殺の大義を説く。シーザーを愛する以上に、ローマを愛する心が篤かったからだ。
 彼の野心を知ったがゆえに、刺した。彼の友情に対しては涙、幸運に対しては祝福、勇気に対しては尊敬、しかし野心に対し得は死をもって酬いたのだ。この運命は、もし自分にもまた野心家という疑いがあれば、いつでも喜んで甘受する、云々。

 (3)(2)は、まことに堂々たる正論である。論理的にも首尾一貫している。それを見事な三段論法で畳みこんでいく。
 しかし、ブルータスは高邁な政治哲学者だったかもしれないが、実際政治家ではなかった。書斎人政治家であって、生きた実際の大衆の心の動きに完全に無知であった。大衆は、究極において理性や論理によって動くものではない。
 自分の論理的説得を過信したあまりか、迂闊にも演壇をアントニーに明け渡して引き上げてしまう。

 (4)アントニーが演説を始めるときは、四面楚歌、万民が反シーザー=反アントニーである。
 演説は、徹底的な低姿勢をもってはじまり、市民たちをまず安心させる。
 「私はシーザーを葬るために来たのであり、彼を賞賛するために来たのではない」
 ほとんど大詰めにくるまで、一言としてブルータス一味を誹謗するような言葉を口にしない。
 それどころか、敵への賞賛をじつに十度近くくりかえしている。
 「ブルータス君は人格高潔の士であります」
 アントニーは、決して群衆の理性などに訴えない。三段論法など、持ちださない。
 まず、きわめて卑近な事実を具体的に述べる。シーザーが貧しい市民たちとともに泣き、また戦争捕虜の身代金を国庫に納めてローマの富をふやした、というような。
 次に、いわくありげた遺言状のことを持ちだす。
 これらの事実で多少市民たちの心が動いたとみると、こんどは血に染んだシーザーの外套をかざす。
 最後に、まだ血の渇かぬ傷ましい死骸の傷口まで示して見せる。
 すべてがじつに具体的な事実、それも、もっとも女子どもの情に訴えやすい感傷的な事実ばかりなのだ。
 最後になって、民衆の心の変化を十分に見きわめた上で、はじめて、ブルータス一味に対して「反逆者」という烙印をあたえる。
 「このシーザーの傷口一つ一つに、心なき石をさえ暴動に決起させる力があるはずだ」
 かくて、10分ほど前にまではブルータス万歳を絶叫していた民衆は、たちまち掌を返すように反逆者打倒を叫び、暴動化していく。 
 アントニー、快心の悪魔的笑い。
 「あとは勢い。復讐の鬼め、動きだしたな。どっちへ行こうと、あとは貴様の気任せだ」

(4)アントニーは、大衆というものの心の秘密だけは知っている現実政治家であった。
 夫が急死したあと細君の身代わり候補は、必ず最高点で当選するに決まっている、というあのいわゆる不文律の秘密を、彼は見事に知っていた。
 「が、それでももちろん感傷的な民衆は、次次と明らかにされる具体的な事実の前に、じりじりと無意識に動いていく」
 「アントニーの語る感傷的な訴えは刻々民衆の心を移していく。そして、気がついたときには、われにもなく、変節を変節とは意識せず、いつのまにか暴動一歩手前のシーザー賛美者に変わっているのである」 
 暴動化した民衆は、「勝手に踊っている民衆である」。
 「ブルータス君は人格高潔の士」という殺し文句の巧妙きわまる反復を見のがしてはならない。真西を向いた大衆の心が、じりじりと微妙な動きでまわりだす。と、アントニーはそれを抑えるかのように、この殺し文句をタイミングよくくりかえす。四面敵の中で反対派の扇動家と怪しまれたら、危険が身辺に迫るのだ。激しく動きそうな民衆の兆候をみると、前述の殺し文句をはなつ。これなら敵も安心するのだ。
 それだけではない。この殺し文句、天の邪鬼という人間通有の弱点を刺激しているのだ。人心操縦の秘密である。なに、アントニーはあんなことを言っているが、事実はどうだか・・・・。
 シェークスピアは、いつ、どこにでもいる二つの政治家の型を見事に描き出しているように思える。
 ブルータス・・・・高潔、理想家、頭もよく、政治哲学もちゃんと持っている。が、民衆から遊離し、かんじんの民衆の心だけは知らない。
 アントニー・・・・他の政治的能力はともかくとして、民衆の卑近な要求、その心の秘密だけは薄気味悪いほと知り抜いている実際政治家。
 「せめてこの場面など、もし日本の政治家たちが若いときから味読していたら、国民指導の上などで、もっと巧く、もっと円滑に行ったろうに」
 中野のこの指摘、もちろん、反語というものだ。シェークスピアは大衆操作を語ったが、大衆の側からすれば、操作に対する防御法をここで学ぶことができる。

□中野好夫『シェークスピアの面白さ』(新潮選書、1967)
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書評:『心で見る世界』

2016年03月20日 | 心理
 刊行年次はいささか古いし、新書という手軽な仕立ての本だが、見かけに騙されてはならない。精神医学的人間学の佳作である。

 人間の心は、本書刊行から半世紀へた今もさほど大きくは変わってない、と思う。
 たとえば、空間と心の関係。
 駅のプラットホームで親族や友人を見送った後、出口へ向かって歩いていく方向が、列車の進行方向か逆かによって別れの実感が違ってくる。出口が列車の進行方向なら、見送ってやったのだ、という思いがしみじみと湧くに違いない。ところが、逆方向だと、彼/彼女との間が引き離されたというやりきれなさを感じたりする。

 あるいは、時間と心の関係。
 アウシュビッツ収容所におけるV・フランクルの体験によれば、常にぶつけられる悪意のこもった難癖のせいで、囚人は時間がほとんど限りなく続くように思われた。ところが、もっと大きな時間単位、たとえば1週間というものは気味の悪いほど速く過ぎ去っていった。「収容所では1日の長さは1週間よりも長い、というと、仲間はいつも賛成してくれた」
 似た体験は、私たちの日常にもある。
 忙しすぎる1日はあっという間に過ぎ去るが、後で振り返るとたいへん濃密な、長い時間だったと思われるのに対して、のんびりと寝ころんで過ごした休日は、後日振り返ると一瞬のうちに過ぎていったような気がする(内的時間意識)。

 第1部「心で見ること」は、感情を体系的に分析した『感情の世界』(岩波新書、1962)で、第2部「人間の世界」は精神医学的人生論『生きるとは何か』(岩波新書、1974)で、第3部「孤独」は、孤独の諸相を整理した『孤独の世界』(中公新書、1970)でさらに詳しく論じられる。第4部「現代に生きる人間」は、『現代人の心』(中公新書、1965)で展開されている。

 要するに、本書及びその後書き継がれた島崎敏樹のエッセイ群は、繊細にしてするどい観察と、論理的にして豊かな学識がとけあって、今なお読ませる人間学である。と同時に先鋭な文明批評となっている。ヤスパースの現象学と文明批評が背後にある。
 文明批評の側面を展開させたのが『心の風物誌』(岩波新書、1963)及び『幻想の現代』(岩波新書、1969)だ。とりあげた素材は、さすがに時代の変化を感じさせるが、時評の底を流れる慎ましくも古風な日本人の心は、小泉八雲の怪談のように、今もって新鮮だ。

□島崎敏樹『心で見る世界』(岩波新書、1960)
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【佐藤優】モクスワ大学講義ノート(基本方針) ~独自の時代区分~

2016年03月19日 | ノンフィクション
 1.世界史における20世紀は暦とは一致していない。第一次世界大戦の勃発した1914年に始まり、ソ連が崩壊した1991年に終わっている。
 2.第一次世界大戦の勃発により、啓蒙主義も自由主義神学もすべて基盤を失ってしまった。
 3.神学上の20世紀は、カール・バルトの『ローマ書講解』第二版が刊行された1922年に始まる。
 4.神学は常に時代を先取りする。第一次世界大戦後、1910年代末から1930年代半ばまでに、カール・バルト、ヨセフ・ルクル・フロマートカ、エミール・ブルンナー、パウル・ティリッヒ、フリードリヒ・ゴーガルテン、ディートリヒ・ボーンヘッファーなど、弁証法神学とその周辺にいたプロテスタント神学者が提起した問題と、それに対する基本的回答は、20世紀の思想界が抱える問題を全て先取りしている。
 5.カール・バルトの神学については、「近代の完成」「近代の超克」いずれの形でも読解が可能である。私としては、「近代の完成」という読み方をする。

   *

 プロテスタント神学が佐藤に課された講座であった。それにしても、ずいぶん風変わりな時代区分ではある。風変わりではあるが、佐藤神学の体系の一片鱗をかいま見ることはできる。
 佐藤にならって、暦とは別の20世紀・・・・あるいは21世紀を自分なりに定義するのは、決して無駄な作業ではない。

□佐藤優『甦る怪物(リヴィアタン) 私のマルクス ロシア篇』(文藝春秋、2009)
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【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺

2016年03月19日 | ●佐藤優
   
 ①森史朗『司馬遼太郎に日本人を学ぶ』(文春新書 890円)
 ②田坂広志『仕事の技法』(講談社現代新書 760円)
 ③マーク・マゼッティ(小谷賢・訳)『CIAの秘密戦争 「テロとの戦い」の知られざる内幕』(早川書房 2,200円)

 (1)①は、司馬遼太郎の日本人観を掘り下げて考察した名著だ。司馬がノモンハン事件について作品を書きたいと思いながら頓挫した理由が興味深い。
 <その理由とは、月刊「文藝春秋」誌昭和49年1月号に掲載された「昭和国家と太平洋戦争」と題した司馬対談で、相手は元大本営参謀、伊藤忠商事瀬島龍三副社長【注】。瀬島氏は、当時の田中角栄内閣で、参謀学の経験を生かして国政運営の助言者たるを期待され、のちの中曽根内閣でも“政界のご意見番”と評されることになる実力者であった。
 この瀬島元参謀の参謀本部時代や、敗戦まぎわの関東軍司令部での言動を知る須見元大佐は、“あのインチキめ”と腹正しく思っていたらしい。(中略)
「あんな不埒な奴にニコニコと対談し、反論せずにすませる作家は信用できん」
 司馬さんは決して絶縁状の中身を明かさなかったが、掲載予定誌の編集者、その他周辺から聞き集めた和田情報によると、内容は以上のようなものであった>
 瀬島の「不埒」さについて、司馬が本音ではどう考えていたのだろうか。

 【注】「書評:『沈黙のファイル -「瀬島龍三」とは何だったのか-』

 (2)②は、優れたコミュニケーション論でもある。
 <「言葉以外のメッセージ」を交わす「深層対話」においては、表面的には、Aが語り、Bが聞いているように見えても、実際には、Aだけなく、Bも「言語以外のメッセージ」を発している。
 では、なぜ、「相手が話をしているとき」にこそ、こちらのメッセージが伝わってしまうのか?
 それは、相手が話をしているときには、こちらは、「いま、相手がメッセージを発している」と思い込んでしまうからである。そのため、自分が無意識に発しているメッセージに対して、無自覚になってしまうからである>
 このことは外交官の情報収集活動においても最も注意しなくてはならない点だ。

 (3)③には、米国のインテリジェンスの乱暴さが描かれている。
 <9・11同時多発テロ後の10年間にわたり、CIAや統合特殊作戦コマンド(ISOC)が戦闘地域から遠く離れた場所で標的殺害作戦を行ってもフォード大統領の暗殺禁止令の違反にはあたらないという理由をアメリカ政府内の多数の法律家が並べ立て、詳細な意見書を出しつづけてきた。ブッシュ大統領の法律顧問が拷問を再定義してCIAや軍による過酷な尋問を可能にしたように、オバマ大統領の法律顧問もアメリカの秘密機関に広範な暗殺作戦を実行する自由を与えてきたのである>
 米国は空恐ろしい国だ。こういう手法のインテリジェンスを日本に導入してはならない。

□佐藤優「司馬遼太郎の語られざる本音 ~知を磨く読書 第141回~」(「週刊ダイヤモンド」2016年3月19日号)
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 【参考】
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【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~
【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書
【佐藤優】情報のプロならどうするか ~「私用メール」問題~
【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~
【佐藤優】テロリズムに対する統一戦線構築 ~カトリックとロシア正教~
【佐藤優】北方領土「出口論」を安倍首相は訪露で訴えよ
【佐藤優】社会の価値観、退行する社会
【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体
【佐藤優】ラブロフ露外相の真意 ~日本政府が怒った「強硬発言」~
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【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発
【佐藤優】北朝鮮による核実験と辺野古基地問題
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【佐藤優】東京オリンピックに係るインテリジェンス ~知の武装・抄~
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【佐藤優】多忙なビジネスマンに明かす心得 ~情報収集術(2)~
【佐藤優】多忙なビジネスマンに明かす心得 ~情報収集術(1)~
【佐藤優】日本のインテリジェンス機能、必要な貯金額、副業の是非 ~知の教室~
【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ』目次
『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』
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【佐藤優】サハリン・樺太史、酸素魚雷と潜水艦・伊400型、飼い猫の数
【佐藤優】第2次世界大戦、日ソ戦の悲惨 ~知を磨く読書~
【佐藤優】すべては国益のため--冷徹な「計算」 ~プーチン~
【佐藤優】安倍政権、沖縄へ警視庁機動隊投入 ~ソ連の手口と酷似~
【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
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【佐藤優】異なるパラダイムが同時進行 ~激変する国際秩序~
【佐藤優】被虐待児の自立、ほんとうの法華経、外務官僚の反知性主義
【佐藤優】日本人が苦手な類比的思考 ~昭和史(10)~
【佐藤優】地政学の目で中国を読む ~昭和史(9)~
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【佐藤優】いざという時ほど基礎的学習が役に立つ ~昭和史(3)~
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【佐藤優】バチカン教理省神父の告白 ~同性愛~
【佐藤優】進むEUの政治統合、七三一部隊、政治家のお遍路
【佐藤優】【米国】がこれから進むべき道 ~公約撤回~
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【佐藤優】ロシア人の受け止め方 ~ノーベル文学賞~
【佐藤優】×池上彰「新・教育論」
【佐藤優】沖縄・日本から分離か、安倍「改憲」を撃つ、親日派のいた英国となぜ開戦
【佐藤優】シリアで始まったグレート・ゲーム ~「疑わしきは殺す」~
【佐藤優】沖縄の自己決定権確立に大貢献 ~翁長国連演説~
【佐藤優】現実の問題を解決する能力 ~知を磨く読書~
【佐藤優】琉球独立宣言、よみがえる民族主義に備えよ、ウクライナ日記
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】ネット右翼の終わり、解釈改憲のからくり、ナチスの戦争
【佐藤優】「学力」の経済学、統計と予言、数学と戦略思考
【佐藤優】聖地で起きた「大事故」 ~イランが怒る理由~
【佐藤優】テロ対策、特高の現実 ~知を磨く読書~
【佐藤優】フランスにイスラム教の政権が生まれたら恐怖 ~『服従』~
【佐藤優】ロシアを怒らせた安倍政権の「外交スタンス」
【佐藤優】コネ社会ロシアに関する備忘録 ~知を磨く読書~
【佐藤優】ロシア、日本との約束を反故 ~対日関係悪化~
【佐藤優】ロシアと提携して中国を索制するカードを失った
【佐藤優】中国政府の「神話」に敗れた日本
【佐藤優】日本外交の無力さが露呈 ~ロシア首相の北方領土訪問~
【佐藤優】「アンテナ」が壊れた官邸と外務省 ~北方領土問題~
【佐藤優】基地への見解違いすぎる ~沖縄と政府の集中協議~
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【佐藤優】日本に安保法制改正をやらせる米国 ~安倍“暴走”内閣(8)~
【佐藤優】民主主義と相性のよくない安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(7)~
【佐藤優】官僚の首根っこを押さえる内閣人事局 ~安倍“暴走”内閣(6)~
【佐藤優】円安を喜び、ルーブル安を危惧する日本人の愚劣 ~安倍“暴走”内閣(5)~
【佐藤優】中小企業100万社を潰す竹中平蔵 ~安倍“暴走”内閣(4)~
【佐藤優】自民党を操る米国の策謀 ~安倍“暴走”内閣(3)~
【佐藤優】自民党の全体主義的スローガン ~安倍“暴走”内閣(2)~
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【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
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【佐藤優】ヒラリーとオバマの「大きな違い」
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【佐藤優】戦勝70周年で甦ったソ連の「独裁者」 ~帝国主義の復活~
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【佐藤優】米軍による日本への深刻な主権侵害 ~山城議長への私人逮捕~
【佐藤優】米大使襲撃の背景 ~韓国の空気~
【佐藤優】暗殺された「反プーチン」政治家の過去 ~ボリス・ネムツォフ~
【佐藤優】ウクライナ問題に新たな枠組み ~独・仏・露と怒れる米国~
【佐藤優】守られなかった「停戦合意」 ~ウクライナ~
【佐藤優】【ピケティ】『21世紀の資本』が避けている論点
【ピケティ】本では手薄な問題(旧植民地ほか) ~佐藤優によるインタビュー~
【佐藤優】優先順序は「イスラム国」かウクライナか ~ドイツの判断~
【佐藤優】ヨルダン政府に仕掛けた情報戦 ~「イスラム国」~
【佐藤優】ウクライナによる「歴史の見直し」をロシアが警戒 ~戦後70年~
【佐藤優】国際情勢の見方や分析 ~モサドとロシア対外諜報庁(SVR)~
【佐藤優】「イスラム国」が世界革命に本気で着手した
【佐藤優】「イスラム国」の正体 ~国家の新しいあり方~
【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~
【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
【佐藤優】東西冷戦を終わらせた現実主義者の死 ~シェワルナゼ~
【佐藤優】日本は「戦争ができる」国になったのか ~閣議決定の限界~
【ウクライナ】内戦に米国の傭兵が関与 ~CIA~
【佐藤優】日本が「軍事貢献」を要求される日 ~イラクの過激派~
【佐藤優】イランがイラク情勢を懸念する理由 ~ハサン・ロウハニ~
【佐藤優】新・帝国時代の到来を端的に示すG7コミュニケ
【佐藤優】集団的自衛権、憲法改正 ~ウクライナから沖縄へ(4)~ 
【佐藤優】スコットランド、ベルギー、沖縄 ~ウクライナから沖縄へ(3)~ 
【佐藤優】遠隔地ナショナリズム ~ウクライナから沖縄へ(2)~
【佐藤優】ユニエイト教会 ~ウクライナから沖縄へ(1)~ 
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【震災】始まっていない「新しい生活」 ~震災復興~

2016年03月18日 | 震災・原発事故
 「災害が風化するっていうでしょ。
 公害だけでも足尾、水俣・・・・。
 広島、長崎、福島・・・・。
  次はどこだろう」

□永六輔「無名人語録 393」(「週刊金曜日」2013年3月1日号)
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 *

   
 ①古川美穂『東北ショック・ドクトリン』(岩波書店 1,836円)
 ②除本理史/渡辺淑彦・編著『原発災害はなぜ不均等な復興をもたらすのか』(ミネルヴァ書房 3,024円)
 ③斎藤誠『震災復興の政治経済学』(日本評論社 2,376円)

 (1)「集中復興期間」が終わるからといって5年を節目と呼んでいいのか。被災者にとっては、復興の実体としての新しい生活はまだ始まってさえいない。
 東北の復興で、これまでに25兆円もの資金を投じながら、自宅に戻れない人、自宅を確保できない人が20万人もおり、震災関連死が3,400人にのぼるとは、どこかがおかしい。復興予算の大半がハード事業に費やされ、被災地外でも1兆円以上が使われたが、当の被災地では被災者救済のまともな事業がなされているのだろうか。
 「創造的復興」というスローガンのもとで、東北では何が起こっているのか。
 ①は、被災地で繰り広げられる遺伝子研究、水産特区、空港民営化、カジノ構想などを鋭くえぐり出す。 ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』が暴いた、戦争や災害の混乱に乗じて暴利をむさぼる「惨事便乗型開発手法」が、まさに東北の地で展開されている、と告発する。

 (2)東京電力の原発事故による被災者の行く末は、津波被災地以上に見通し不透明だ。
 国・東電は除染を行い、線量を下げ、避難指示を解除することによって、帰還=賠償終了へと導こうとしている。こうした中、被災者はどんな状況に置かれているのか。
 個々の被災者は様々な事情を抱え、生活再建は極めて複雑だが、起きている事態は要するに、
   不均等な「復興」であり、
   被災者の分断だ。
 ②は、大学研究者と被災者を支援する弁護士集団の共同作業による著作で、原発被災者・被災地が置かれている複雑な現状を多面的に描く。

 (3)津波・原発被災地のいずれにおいても、明るい未来は見えない。このままのやり方でいいのか、それとも、復興の枠組み自体に問題があったのではないか。
 そうした疑問に真正面から立ち向かっているのが③だ。著者は、3年間の共同研究を通し、
   震災当初におけるいくつもの錯誤と、
   科学的根拠なく拙速に重要政策を決定した誤りが
この間の復興の根底にあること実証していく。ほぼ公表された客観データのみを駆使しながら。
 主要論点は、
  (a)津波被害を過大評価し、過大な復興予算を組むことによって、実際のニーズに比べて大掛かりな防潮堤やかさ上げ道路の建設、過剰な産業用地や農地、宅地を生み出す集団移転事業などが行われた。
  (b)原発事故における初動対応の誤りとそれによる被害の深刻化を過小評価したことが今日の混迷を招いた。
 復興途中に生じた政権交代が復興政策にどのように関連したかも説得力を持って分析している。専門書だが、重要な論点を含み、読む苦労にお釣りがくるほどの収穫がある。

□塩崎賢明(立命館大学教授/神戸大学名誉教授)「(ニュースの本棚)震災復興 始まっていない「新しい生活」」(朝日新聞デジタル 2016年3月6日)
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【堤未果】労働環境の「地盤沈下」 ~同一労働同一賃金~

2016年03月18日 | 社会
 (1)2016年2月5日、衆議院予算委員会において、安倍首相は、「同一労働同一賃金」の法制化検討に言及した。
 これは、2015年に成立した「同一労働同一賃金推進法」の具体化だ。同法は、派遣労働者が雇用形態にかかわらず職務に応じた待遇を受ける、という理念を掲げている。国際労働機関(ILO)は、同原則を基本的人権としてILO憲章の前文に挙げている。

 (2)「やっと日本も国際水準に近づいた」と喜ぶのはまだ早い。
 (1)の「同一労働同一賃金推進法」の中身は、ILOの原則とは少しる異なるからだ。同法では、同じ仕事なら賃金も同水準にする「均等待遇」ではなく、同じ仕事でもその責任範囲に見合った賃金ならよしとする「均衡待遇」に修正されている。その場合、例えば、
   正社員と非正規社員では労働時間、有給、休日など「業務内容」が異なるため「責任範囲」が違う
ことが合理化されてしまう。

 (3)そもそも欧米企業と違い、高度経済成長期に終身雇用を前提とした年功給で賃金を決定し、社員を家族のように会社に囲い込んできた日本企業では、「同一労働」の定義自体が難しい。
 実は、この企業文化こそ、長年海外からの企業参入を阻んできた「非関税障壁」でもあったのだ。

 (4)だが、「世界一企業がビジネスをしやすい国にする」という目標を掲げる安倍政権は、すでにこの岩盤を着々と切り崩している。
 「国家戦略特区法」では、企業は労働者に金銭を払えば解雇できる規制緩和をする方向だ。
 3月8日に批准を前提に関連法を閣議決定するTPPが発効すれば、公共事業が自由化され、公共事業に入札した外資企業が雇い入れる自社の低賃金労働者が、日本の労働賃金を引き下げるだろう。
 竹中平蔵・慶應義塾大学大学院教授/パソナグループ(国内最大大手派遣会社)取締役会長/政府産業競争力会議(民間)議員/国家戦略特別区域諮問会議(有識者)議員は、同一労働・同一待遇が法制化されているオランダを例に挙げ、解雇規制撤廃を主張する。

 (5)だが、オランダでは、同法だけでなく、パート労働者も含めた社会保障や職業訓練、ワークシェアリングや子育て支援、年金制度の強化など、雇用不安払拭のためのインフラが整備されている。この事実を見逃してはならない。
 オランダでは、労働者の雇用と生活を保障するこうした政策こそ、失業率低下と消費の拡大、経済成長につながり、EUで高く評価されたのだ。
 竹中氏のいわゆる「オランダを目指せ」が、こうした社会的インフラの部分を無視し、単にオランダの労働市場流動化だけを真似るものであれば、その先にやってくるのはオランダとは全く別の未来だろう。

 (6)非正規社員の賃金を正社員なみに引き上げるなら、賃金と共に失業率も跳ね上がる。
 逆に、正社員を非正規なみの待遇に引き下げるなら、格差は縮小するが、国全体の賃金も地盤沈下する。
 グローバル化と株主至上主義は、労働市場の流動化を加速させ、さまざまな国籍の労働者たちが、価格競争に揺さぶられながら、国境を越えて移動する。
 画一化する世界の中で、1951年にILOが「同一労働同一賃金」を通じて掲げた「労働者の基本的人権」を私たちはどうやって守るのか。
 非正規のみならず正社員も含めて貧困大国化する今の日本で、着々と労働特区やTPPを進める安倍首相に今改めてこの問いを投げかけたい。

□堤未果「同一労働同一賃金で日本の労働環境は「地盤沈下」していく ~ジャーナリストの目 第252回~」(「週刊現代」2016年3月19日号)
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 【参考】
【堤未果】再生可能エネルギーを悪用する投資家たち
【堤未果】【TPP】国家の枠組みが形骸化 ~医療への影響懸念~
【堤未果】「消費増税は福祉のため」という大ウソ ~大手マスコミの沈黙~
【堤未果】最も儲けるのは大国の産軍複合体 ~対テロ戦争の拡大~
【堤未果】【TPP】妥結で日本の農地は海外企業のものになる
【堤未果】情報漏洩・巨大利権など不安材料が多数 ~マイナンバー~
【堤未果】大衆を好戦ムードへ向かわせたマスコミの大罪
【堤未果】【ギリシャ】緊縮財政なのに軍事予算を削減できない理由
【堤未果】地方の介護現場を完全に無視 ~高齢者の「移住」提言~
【堤未果】本当に患者のためか疑問 ~国民健康保険法の改正~
【堤未果】サービス残業は絶対なくならない ~残業代ゼロ法案~
【堤未果】医師不足に拍車をかける国家戦略特区
【堤未果】「イスラム国」掃討と膨れあがる米の軍事費 ~いつか来た道~
【堤未果】格差大国アメリカの後を追う日本 ~金融緩和と年金改革~
【堤未果】米国社会の変質 ~ミズーリ州の武装警察~
【米国】国民皆保険という美名の裏で大増税開始 ~オバマケア~
【食】中国の鶏肉問題--流通のグローバル化で食の安全はますます困難に
【堤未果】「水道の民営化」が招く社会インフラ大崩壊 ~価格高騰に水質低下~
【堤未果】「社会保障のための増税」のウソ ~来るべき医療崩壊~
【堤未果】世界が危惧する日本のジャーナリズム ~「監視大国」米国以下~
【堤未果】アベノミクスと米国経済の危うい共通点
【食】中国の鶏肉問題--流通のグローバル化で食の安全はますます困難に
【政治】国家戦略特区法の危険性
【米国】と日本における民営化の悲惨 ~株式会社化する国家~  

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【佐藤優】東京裁判批判 ~アメリカの謀略工作~

2016年03月17日 | ●佐藤優
 そもそも東京裁判の当事国ではない中華人民共和国から日本がこの裁判に関係した事案で云々される筋合いではないのだが、東京裁判という物語が中国による日本という「敵のイメージ」を作る上で現在も大きな役割を果たしていることが重要なのである。東京裁判の亡霊は現在も徘徊し、大きな禍を日本国家と日本人にもたらしているのである。
 国家指導者が戦争に対して責任を負うのは当然のことだ。特に敗戦の場合、国家指導者が国民からその敗戦責任を厳しく追及されるのは当たり前のことである。しかし、戦勝国がA級戦犯の罪状とした「平和に対する罪」のような、太平洋戦争勃発時に戦争犯罪として国際法に明記されていなかった罪の責任を問われる謂れはない。
 仮に「平和の罪」が国際法上認められたとしても、東京裁判で日本にこの罪を被せることには無理がある。東京裁判の原告にはソ連が含まれている。1945年8月8日、当時有効だった日ソ中立条約を侵犯してソ連は対日戦争に踏み切った。日ソ戦争に関しては、日本が侵略された側で、「平和に対する罪」を犯したのはソ連である。ちなみにアメリカ、イギリスは中立条約を侵犯してソ連の対日参戦を“教唆”したのであるから、「平和に対する罪」の共犯者である。つまりソ連、アメリカ、イギリスから日本が「平和に対する罪」で断罪されるような筋合いはないのである。
 このようなことを言うと「お前は日本の過去を反省せず、戦前・戦中の時代を美化するつもりか」という非難がなされるであろうが、筆者は、負け戦は絶対にするべきではないという観点から、過去についてもっと反省するべきであるし、それらを美化する必要はさらさらないと考える。ただし、敗戦後にアメリカの謀略工作によって刷り込まれた物語、もっと乱暴な言葉で言うならば深層催眠術から抜け出すことが必要になっていると考える。

   *

 以上は、『日米開戦の真実』の「はじめに」から抜きだした。
 要するに、(1)「平和に対する罪」は、
  (a)太平洋戦争勃発時に国際法上の定めはなかった。
  (b)仮に国際法上の定めがあったとしても、「平和に対する罪」は戦勝国のソ連が犯し、米英が“教唆”した。
  (c)したがって・・・・とは佐藤は書いてないが、日本が「平和に対する罪」を犯したとしても、あいこである。
 また、(2)過去に対する反省はしなくてはならない。なぜなら、
  (a)開戦の理論に欠陥があったからではなく、
  (b)戦争に負けたからである。
 なお、(2)-(a)については、「はじめに」では暗示的にしか言及していない。本文で展開される。
 ここでいう開戦の理論は、大川周明『米英東亜侵略史』である。本文の3分の1は『米英東亜侵略史』全文の引用が占め、残る3分の2は佐藤による解説である。東京裁判をめぐるアメリカの謀略工作にも言及されている。

□佐藤優『日米開戦の真実 -大川周明『米英東亜侵略史』を読み解く-』(小学館、2006)
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【片山善博】口利き政治の弊害と政治家本来の役割

2016年03月17日 | 社会
 (1)政治家の口利き問題が久しぶりにクローズアップされた。
  (a)金銭問題で秘書がUR都市機構に働きかけをした、と報道されたことをきっかけに、甘利明・内閣府特命担当大臣が辞任を余儀なくされた。【注】
  (b)遠藤利明・五輪相も、自らを支持する企業を文部科学省の役人に引き合わせたことが報じられた。
  (c)報じられたのが久しぶりだからと言って、政治家の口利きがなくなったとか、珍しくなった、というわけでは全くない。霞が関の官僚に、以前のように露骨に無理難題を押しつけてくるケースは少なくなったが、より巧妙な手口で役所に働きかけたり、圧力をかけたりする事例は跡を絶たない。

 (2)口利きはなぜいけないのか。
 こんな意見がある・・・・世の中には困っている人がいる。それを役所に伝えることができない。そこで、その事情を政治家が役所に取り次いであげるのは、むしろ必要なことではないか。
 <例>地方政治家の言い分・・・・保育所に子どもを入れることができなくて困っている住民から頼まれ、それを役所の担当部局につなぐことによって問題を無事解決した。当事者から喜ばれ、自分でも大いに役立ったと自負している。それを口利きというなら、そうだろうが、住民のために議員としてひと肌脱ぐことのどこが悪いのか。目の前に困っている人がいても知らんぷりをせよというのか(居直り)。
 こんな口利きは、やはり止めてもらわねばならない。
 その理由の一つは、この種の口利きがまかり通るとすると、議員に口利きを依頼できる人だけが救われて、つてのない人は問題を解決する術がないことになるからだ。基準に照らして保育所入所の優先順位が低いと見なされた中にあっても、ある人は優先され、他の人は捨て置かれるというのでは、法の下の平等に反する。そんな不公平に議員が率先して加担するのは赦されない。
 しかも、基準から漏れた子どもを口利きによって押し込めば、基準を満たしていて入所させるはずの子どもを埒外に追い出すことになる。つまり、さらにひどい不公平を生む。
 押し込んでもらった側の人は感謝するだろうが、わけもわからず追い出された側にとっては犯罪的行為に等しい。
 当事者がその間の事情を知ることになれば、議員とは地域の生活環境を整えてくれるべき存在であるはずなのに、逆に自分たちの足を引っ張る存在でしかないと侮蔑するに違いない。先の<例>の地方政治家の達成感や役立ち感がいかに独りよがりなものであるかがよく分かるはずだ。

 (3)では、実際に保育所に子どもを預けられないで困っている人を見たとき、議員はどうすればいいか。
 保育所に入れられなくて困っている人から依頼を受けたとすれば、その依頼人だけの問題ととらえて個別に解決しようとするのではなく、その人と同じ境遇にある他の人たち全員の問題として解決を目指せばよいのだ。
 具体的には、
  (a)保育所の定数を増やすよう関係予算を拡充する。それによって、自分が依頼を受けた人を含めて他の多くの人の問題をも普遍的に解決することにつながる。
  (b)予算を拡充しようにも財源がない、という自治体の場合、優先度の低い他の歳出予算を削って、それを保育所に回すことも、議会がその気になればやれないことではない。予算案を編成するのは首長だが、その内容を吟味し、必要に応じて修正を加えるのは議会の権限だからだ。
  (c)もし、他の歳出予算に削れるものがないなら、住民税ないし固定資産税の税率を引き上げることで保育所予算拡充のための財源を確保するみちだってある。増税には強い反対があり、決して容易なことではあるまい。しかし、税率を引き上げてでも保育所待機児童問題を解決すべきかどうか、これを議論し、結論を出すのが議会の本来の役割だ。そのために、地方自治法では「予算を定めること」と並んで、税率を含む「地方税の賦課徴収に関すること」も議会の権限として明記されているのだ。

 (4)甘利前大臣の口利き問題だが、事の真相はさておき、甘利事務所に口利きを依頼した企業ないしその関係者は、どうして政治家の事務所に問題解決を持ち込んだのか。
 本来、権利の主張なりその救済なりの案件は、裁判所を通じて問題の解決を図るのが常道だ。このたびも該当の企業に理があるなら、そうすればよかったのだ。
 それを政治家に持ち込んだのは何故か。
  (a)裁判を通じると時間も費用もかかりすぎるので真の救済につながらない、と当事者が見なしているのではないか。そこで、手っ取り早く政治家を頼ろうとした可能性も考えられないわけではない。仮にそうであれば、政治は司法的解決を制約する隘路を除かねばならない。
  (b)実は先年、司法制度改革を実施した。ただ、この改革では刑事司法における改革(<例>裁判員制度の導入など)は進んだものの、民事司法については必ずしも満足のいく改革は実現されていない。この際、民事司法制度を利用しやすくする改革が強く求められていて、それを実現するのが政治家の果たすべき役割であるはずだ。わけても甘利前大臣のように内閣の要職にある政治家には、その役割が人一倍期待される。にもかかわらず、自分の元を頼ってきた案件についてのみ、ことのほか親身に解決を図ろうとするのでは、あまりにも志が低いと言わざるを得ない。
  (c)該当の案件がそもそも頗る筋の悪い話であって、民事司法のあり方とは関係なく、裁判に持ち込んでも到底箸にも棒にもかからない代物だったらどうか。この場合には、通常はもめ事にはならないだろうが、中には因縁やいちゃもんをつけて不当な要求をねじ込んでくる人もいる。そうした人が頼るのが裏稼業の事件屋であったり、悪質な示談屋であったりする。

 (5)このたび週刊誌などで報じられていることが真実だとすれば、甘利事務所の秘書の行状は、かなり(4)-(c)に近いようだ。国民の代表である国会議員の事務所がそんな類いのことをしているであれば、あまりにも情けない。
 そもそも国会議員の秘書のうち数人には国民の税金から給与が支給される。該当の秘書が支給対象になっているとしたら、納税者としてはさらに情けなくなる。

 (6)その秘書たちがURに働きかけた様子の一端が、URの記録文書によって明らかにされた。その内容に呆れた人も多かったらしい。しかし、URが一連のやりとりを記録し、文書化していたことだけは評価できる。それがあったからこそ、国民は密室のやりとりの一部を知ることができたし、URの関係者が自ら身を守ることにもつながるはずだ。
 このたびの事件の教訓として、各省も国会議員の口利きのやりとりを文書に記録することを励行されたい。それは国民にとって有益であるのみならず、官僚たちを守ることにつながるし、ひいては道を踏み外しにくくするという意味において国会議員自身のためでもあるからだ。 

 【注】
【政治】企業献金は本来的に矛盾 ~背任か贈賄~
【メディア】政治家の「みそぎ」は本末転倒 ~形骸化する謝罪~
【政治】「甘利後」の3つの不安
【後藤謙次】甘利大臣辞任をめぐる二つのなぜ ~後任人事と直後のマイナス金利~
【古賀茂明】争点化すべき企業献金問題

□片山善博(慶應義塾大学教授)「口利き政治の弊害と政治家本来の役割 ~日本を診る第77回~」(「世界」2016年4月号)
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 【参考】
【片山善博】選挙権年齢引下げと主権者教育のあり方
【片山善博】TPPから見える日本政治の悪弊 ~説明責任の欠如~
【片山善博】政権与党内の議論のまやかし ~消費税軽減税率論議~
【経済】今導入すると格差が拡大する ~外形課税=赤字法人課税~
【片山善博】【沖縄】辺野古審査請求から見えてくる国のモラルハザード
【片山善博】川内原発再稼働への知事の「同意」を診る
【片山善博】違憲と不信で立ち枯れ ~安保法案~
【片山善博】【五輪】新国立競技場をめぐるドタバタ ~舛添知事にも落とし穴~
【片山善博】「ベトナム反中国暴動」報道への違和感
【片山善博】文部科学省の愚と憲法違反 ~竹富町教科書問題~
【片山善博】都知事選に見る政党の無責任 ~候補者の「品質管理」~
【片山善博】JR北海道の安全管理と道州制特区
【政治】地方議会における口利き政治の弊害 ~民主主義の空洞化(3)~
【政治】住民の声を聞こうとしない地方議会 ~民主主義の空洞化(2)~
【政治】福島県民を愚弄する国会 ~民主主義の空洞化(1)~
【社会】教育委員は何をなすべきか ~民意を汲みとる~
【社会】教育委員会は壊すより立て直す方が賢明
【社会】「教員駆け込み退職」と地方自治の不具合
【政治】何事も学ばず、何事も忘れない自民党 ~公共事業~

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【政治】企業献金は本来的に矛盾 ~背任か贈賄~

2016年03月16日 | 社会
 (1)甘利明・前経済再生相の「口利き」疑惑引責辞任事件をきっかけに、また企業献金に関するルール作りの議論が始まった。

 (2)企業献金は、本来的に矛盾した存在だ。故に、本来的に禁止するべきだ。企業献金は、次のいずれかだから。
  (a)企業側担当者の企業に対する背任。
  (b)企業側担当者の政治家に対する贈賄。

 (3)企業(典型的には株式会社)は、出資者から集めた資本を活用して利潤を生み、それを出資者に還元(配当)することを目的にした組織だ。だから、
  (a)スキャンダルが発覚する度に関係者が証言するようにその献金が「特定の見返り(つまり対価としての利益)を期待してのことではない」と仮定すれば、それは会社の利益にならないことにそれを承知で会社の金を支出したわけで、それは背任(地位を利用して会社に損害を与えたこと)になる。
  (b)逆に、自社に有利になるように権力を行使してもらう対価としてその献金が行われたとしたら、(それは背任にならないとしても)今度は贈賄になってしまう。これは、権力の行使を金で歪めて自社に不当な利益を招く犯罪だ。 

 (4)にもかかわらず、それで業界の利益を守る財界団体とそれで潤う与党は、企業献金を「企業の社会貢献」だと強弁している。
 しかし、その本質は前述のように企業の自社に対する不当な利益の追求(つまり不当な「企業の自社貢献」)以外の何ものでもない。
 だから、かつて、政治改革の一環として、公的政党助成金の導入と引き換えに企業献金は廃止されたはずだ。しかるに、いつの間にか、政党助成金はそのままで企業献金が復活してしまった。
 そういえば、政治家(とくに与党政治家)は一見して豊かそうだ。

 (5)人間は、たくさんの公約・私的資金に支えられて生活していると、金銭感覚がずれてしまうものだ。
 今回のスキャンダルで、大臣と会うための「面会料」などという聞き慣れない単語が世に知られたが、それも政界の異常な金銭感覚の現れだ。  
 いずれにせよ、そのような不明朗な金は、回り回って、企業の商品の価格に加算され、消費者(つまり国民大衆)に転嫁されているはずだ。
 だから、有権者は、きっぱりと企業献金の廃止を政治に求めるべきだ。

□小林節「企業献金は本来的に矛盾である」(「日本海新聞」 2016年2月9日)
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 【参考】
【メディア】政治家の「みそぎ」は本末転倒 ~形骸化する謝罪~
【政治】「甘利後」の3つの不安
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【古賀茂明】争点化すべき企業献金問題
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【古賀茂明】バカじゃねえのか、この国は ~被災者が見る原発推進~

2016年03月16日 | 社会
 (1)3月に入り、「3・11から5年の節目の年」という言葉が繰り返し流れた。
 そんな中、3月8日のTBS「NEWS23」の震災企画で流れた樽川和也さん(福島県)の言葉は視聴者の肺腑をえぐるものであった。

 (2)樽川さん一家は農業を営んでいる。2011年の福島第一原発事故で田畑は放射能に汚染され、ある日、樽川さん宅に、キャベツの出荷停止を指示する一片のファックスが届いた。
 その翌日、樽川さんの父親は自らの命を絶った。
 事故当時、原発はもう止めようとほとんどの人びとが思った。しかし、いま、安倍晋三・政権は何事もなかったかのように原発再稼働を強行する。
 そんなときだからこそ、樽川さんの言葉が心に響く。
 「5年目の節目だとか、そういうふうに周りは言っているけど」
 「うちらからしたら、ただ月日が流れただけ」
 「5年たって、怒りだけです。込み上げてくるのは」
 そして、心の底からの叫び。
 「どこがクリーンで安全なエネルギーなんだい?」
 「バカじゃねえのか、この国は」
 「情けねえ、国だ」
 「この国に生まれたから、しょうがねえけど」
 「声を上げる人がいなかったら・・・・この国は変な方向に進むでしょ、また」
 「親父に与えられた宿題っていうか。宿命なのかと思って」
 強い憤りも伝わってくるが、悲しみのほうがより強く伝わってくる。

 (3)過去5年、私たちは電力不足と料金値上げで脅された。
 太陽光発電が増えていると喜んでいると、
  (a)いつの間にか、エネルギー基本計画によって原発が「重要なベースロード電源」とされた。
  (b)翌年には、「電源のベストミックス」なる名目で、発電割合のうち再生可能エネルギーの22~24%と並んで原発を20~22%にすることに決まった。
  (c)今度は、何故か原発と再生エネルギーの合計で44%を目標にするという義務づけがなされようとしている。これでは、再生エネルギーを抑えれば自動的に原発を増やせることになる。
  (d)現に、太陽光などを抑制するためのFIT(固定価格買取制度)改正も実施予定だ。

 (4)安倍総理は、伊勢志摩サミットで温暖化対策を大々的に取り上げるだろう。CO2削減の国際公約のため、再生エネルギーが無理なら原発を増やすと主張するのだ。
 しかし、廃炉や使用済み燃料処分費用も含めれば、本当は原発コストは高いので、原発新設は難しい。
 そこで、最終兵器「CfD」(差額決済契約)の登場だ。これは、原発を動かして赤字になったら、その赤字分をすべての電力需要家(消費者や企業)に転嫁して回収するという制度だ。これなら、電力会社は安心して原発を建設することができる。
 選挙が終われば、この「CfD」正式に登場するだろう。

 (5)新民主の政策綱領では、「2030年代原発ゼロ」となりそうだ。しかし、これは2039年12月31日まで約24年間も原発を維持する、というとんでもない宣言だ。
 「バカじゃねえのか、この国は」

□古賀茂明「バカじゃねえのか、この国は ~官々愕々第192回~」(「週刊現代」2016年3月26日・4月2日号)
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【古賀茂明】争点化すべき企業献金問題
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【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~
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【メディア】高市総務相は「脅し」の政治家、報道は「健忘症」

2016年03月15日 | 社会
 (1)今さらながら、最近のことさえ無視するマスコミの「健忘症」は治癒する気配がまるでない。
 北朝鮮の人工衛星打ち上げを、NHKを先頭に「事実上のミサイル発射である、云々」と繰り返してはばからない。
 その数日後の日本の科学観測装置の打ち上げでは、「成功、成功!」と実況中継で叫んだ。この時、打ち上げ方向の定期航空便は迂回やダイヤ変更をしていなかったのか? 日本のロケットであっても、万一の時の安全対策は必要だ。
 北朝鮮の打ち上げの時の騒ぎは、明らかに意図的だった。

 (2)沖縄の上空を通過するから、と自衛隊の迎撃ミサイルが石垣島などに配備された。緊急情報伝達体制の準備状況も、事細かに全国報道された。
 だが、同じように沖縄上空を飛んだ韓国の人工衛星ロケットの時(2009年8月と2013年1月)には、日本政府は何もしていない。マスコミも、危険性に無関心だった。
 しかも、2009年の韓国の人工衛星は失敗だったのに、そのことも報道していない。
 北朝鮮は、ともかく二度成功している。破片落下の危険性が高いのは、韓国と北朝鮮のどちらであるかは自明だ。

 (3)コラムで指摘しても、マスコミが無視ないし「健忘症」に陥るのは、(2)の件だけではない。
 高市総務相の「停波発言問題」、安倍首相の「従来の政府答弁と変わりない」発言についても同じだ。「番組一つひとつを見て全体を考える」と言うのと、ただ「全体を見て考える」というのとでは、意味がまるで違う。その違いを危惧するのは当然だ。
 それに、発言者が高市氏であることが問題だ。同氏は、高飛車でけんか腰の物言いで知られ、言葉だけでなく実際に「脅し」に近い方法で政治家としての実績を上げている事実がある。
 公正取引委員会が新聞の再販価格制度を廃止して自由競争に移行させようとした2006年のこと。自民党は「新聞の特殊指定に関する議員立法検討チーム(高市座長)」を発足させて、公取委を断念に追い込んだ。
 決め手は、公取委が強行するのであれば、公取委だけの判断では廃止できないとする独占禁止法改正案を突きつけたことだった。
 その成果を確認した際に、高市氏は、「改正案は党内で温存し、必要な時が来たらいつでも提出できるようにしたい」と公言し(2006年6月2日付け「読売新聞」)、「脅し」を継続させている。

 (4)「これにて一件落着!」という大岡裁きのテレビドラマも、高市氏にははしゃぐ種の「番組の一つ」だろう。
 安倍首相の責任は重い。権力者は、自分よりも度量や人望がある者にしかるべき地位を与えることを避けがちだ。結果として、安倍政権では閣僚の問題発言続出の事態となった。
 マスコミは、その責任追及で、過去の事実について無頓着すぎる。「健忘症」と呼ばれるのは初めてではないはずだ。

□高嶋伸欣(琉球大学名誉教授)「高市早苗総務大臣は「脅し」の政治家。報道は「健忘症」では?」(「週刊金曜日」2016年3月11日号)
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 【参考】
【メディア】総務大臣には、停波命じる資格はない ~放送電波停止発言~ 
【メディア】や高市発言にみる安倍政権の「表現の自由」軽視
【古賀茂明】一線を越えた高市早苗総務相の発言
【メディア】政治的公平とは何か ~「NEWS23」への的外れな攻撃~
【NHK】をまたもや呼びつけた自民党 ~メディア規制~
【テレビ】に対する政権の圧力(2) ~テレ朝問題(9)~
【テレビ】に対する政権の圧力(1) ~テレ朝問題(8)~
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【本】ラーゲリ ~イワン・デニーソヴィチの一日~

2016年03月15日 | 小説・戯曲
 『シベリア物語』を持ち出したからには、本書を取り上げないわけにはいかない。スターリニズム下のソ連の、極寒のシベリアのラーゲリにおける囚人の一日が語られる。
 日本へ最も早く紹介した小笠原豊樹・訳でまず読んだ。小笠原はマヤコフスキーの紹介者であり、岩田宏の筆名で知られる詩人である。

 <朝の五時、いつものように起床の合図が鳴った。本部バラックの脇のレールをハンマーで叩く音。とぎれとぎれの響きが、指二本の厚さに凍りついた窓ガラスを通して、かすかに伝わり、まもなく静まった。この寒さでは、看守も永いこと鳴らすのが億劫とみえる。
 音は消えたが、窓の外は、シューホフが用便に立った真夜中とすこしも変わりない、闇また闇だ。黄色いあかりが三つ、窓に映って見える。二つは立入り禁止区域〔有刺鉄線の両側二メートル幅の地帯〕の、一つは収容所《ラーゲリ》構内のあかりである。
 なぜかバラックの扉をあけに来る様子がない。当番の者が用便桶に棒をさしこんで、かつぎ出す音もきこえない。
 シューホフは、起床合図を聞きもらしたことは一度もなかった。いつも合図と同時に起きる。点呼までの一時間半は、公《おおや》けのものではない、自分の時間だった。収容所《ラーゲリ》の生活を知る者は、つねに内職のチャンスを逃すまいとする。だれかに、古服の裏地で、指なし手袋のカバーを縫ってやってもいい。金まわりのいい班員の寝床まで、乾いたフェルト靴〔膝までの防寒用長靴〕を運んでやってもいい。山と積まれた靴のまわりで、はだしで足踏みしながら、えらび出す手間がはぶけるわけだ。あるいは、衣料配給所をひとまわりして、掃除をしたり、何かを運んだり、相手構わずサービスする。あるいは、食堂へ行って、テーブルの上の食器を集め、見あげるばかりに積みかさねたのを食器洗い場まで持って行く。これをやると、たべものにありつけるが、それだけに志願者が多くて、どうにもならない。しかも、食器に何か残っていたら、つい我慢しきれなくなって、食器をなめてしまうのが問題である。シューホフは、最初の班長だったクジョーミンのことばを、はっきり記憶していた。一九四三年ですでに服役十二年目という、この収容所《ラーゲリ》の古狼は、いつか森の空地の焚火のかたわらで、戦線から引っ張られた新入りたちに、こう言ったのである。
「いいか、ここの掟は、すなわち密林だ。ただし、こんな所でも人間は生きられる。収容所《ラーゲリ》で身をほろぼすのは、食器をなめる奴、医療部に行きたがる奴、それから政治将校《クーム》に密告する奴」
 政治将校《クーム》に密告というのは、もちろんクジョーミンの義憤だった。密告する連中は、わが身を守ることが上手なのだ。ただし、他人を犠牲にして身を守る。
 いつも合図と同時に起きるシューホフだが、今日は起きなかった。ゆうべから、どうも具合がよくなかったのである。寒気がするかと思えば、体のふしぶしが痛んだ。おまけに一晩じゅう体があたたまらなかった。夢うつつで、ひどい病気になったと思い、またいくらかよくなったかとも思った。朝が来るのがいやだった。
 けれども朝はとどこおりなくやって来た。
 だいたい、ここで体があたたまろうはずはない。窓には氷がこびりついているし、壁と天井が接するあたりには、バラック中(なんというバラックだろう!)白い蜘蛛の巣が張っている。霜だ。>

 最後は次の一行で終わる。
 <一日が過ぎ去った。どこといって陰気なところのない、ほとんど幸せな一日が>

□アレクサンドル・ソルジェニーツィン(木村浩・訳)『イワン・デニーソヴィチの一日』(新潮文庫、1963)/(染谷茂・訳)『イワン・デニーソヴィチの一日』(岩波文庫、1971)
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 【参考】
【本】ラーゲリ ~シベリア物語~
書評:『鶴』
【医療】患者の自己決定権 ~『ガン病棟』~
【心理】アニマル・セラピー ~セント・バーナード~

 
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【本】ラーゲリ ~シベリア物語~

2016年03月14日 | 小説・戯曲
 長谷川海太郎は3つのペンネームを持っていた。その一つが林不忘で、丹下左膳シリーズで知られる。ほかに、冒険小説の牧逸馬・谷譲次もペンネームだった。
 梅太郎の次弟が?二郎(りんじろう)で、画家だが、地味井平造のペンネームで推理小説も書いた。
 ?二郎の弟が濬(しゅん)で、ロシア文学者となり、ニコライ・バイコフの『偉大なる王(ワン)』を訳している。
 ?二郎の弟、つまり海太郎の末弟が四郎だ。
 満鉄調査部、満州帝国協和会調査部、関東軍を経て1945年8月にソ連軍の捕虜となり、11月、シベリアのチタ近郊チェルノフスカヤの炭鉱に送られた。以後、シベリア各地の捕虜収容所を転々、労働。コルホーズ、レンガ工場、炭鉱、道路工夫、材木流送、線路工夫、掃除人などに従事した。1950年2月、帰還。1951年4月から「近代文学」に「シベリア物語」を連載し始めた。

□長谷川四郎『シベリア物語』(旺文社文庫、1974/後に講談社学芸文庫、2014)
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 【参考】
書評:『鶴』

  

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【佐藤優】一時中止は沖縄側の勝利だが ~辺野古新基地建設~

2016年03月14日 | ●佐藤優
 (1)日本の中央政府が、沖縄に対して、大きな譲歩をした。安倍晋三・首相が、この譲歩を、政治決断した。
 米普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画をめぐり、国が翁長雄志・沖縄県知事を訴えた代執行訴訟で3月4日、国、県双方が福岡高裁那覇支部が示した和解案を受け入れ、和解が成立した。安倍首相自身が、この日、和解案受入を明言し、中谷元・防衛相に移設先とされている辺野古での基地の建設工事中止を指示した。
 <(沖縄)県には、2月29日に福岡高裁那覇支部であった3回目の和解協議の際、裁判長から和解案が再び示されていた。1月に提示された案より具体性が増していたため、県側はこの間に国が持ち出した和解条件が反映されたものととらえ、国が和解に応じる可能性もあると踏んでいた。しかし、これほど早く応じてくるとは予想していなかったという。
 午後1時前には、移動中の翁長氏に、官邸から「面会したい」という安倍晋三首相の意向が伝えられた。翁長氏は要請活動を終えたあと、他のメンバーと別れ、午後4時半に再び官邸を訪問した。
 会談後、翁長氏は報道陣の取材に応じ、和解条項にある「円満な協議」について、「(昨年8~9月の)集中協議は形式的だった。今後の協議の中でいろんな話をすると思うが、一定の理解の中から結論が出るのではないか」と期待感を示した>【注1】

 (2)政府が辺野古新基地建設工事を強行すれば、反対派の住民との間で流血が発生することは必至で、死者が発生する可能性すら排除されなかった。
 この現状を沖縄防衛局、外務省沖縄事務所は正確につかんでいる。
 しかし、菅義偉・官房長官、中谷防衛相は、辺野古新基地建設を力で押し切ると認識している状況で、その不興を買うような情報を防衛官僚、外務官僚が伝えるはずはない。
 また、仙台出身の、婚姻で沖縄に在住することになった島尻安伊子・沖縄・北方担当相(参議院、自民党)は、植民地主義的視座でしか沖縄と沖縄人を見ることができない。
 したがって、沖縄を選挙区とする、という事実を最大限に活用しつつ、辺野古新基地建設を強行すべく画策していた。
 今回、安倍首相のもとに、菅氏、中谷氏、島尻氏とは別のルートから沖縄の現状に係る正確な情報が寄せられたのであろう。このまま辺野古新基地建設工事を強行し、沖縄人に死者が発生するような事態になれば、沖縄人の安倍政権に対する忌避反応は極点に達し、安倍政権の権力基盤を弱体化することになる。この現実に安倍首相は気付いたのだ。
 中央政府が辺野古新基地建設を続ければ、今夏か今秋、深刻な事態に至ったはずだ。このような危機がひとまず回避されたのはよかった。

 (3)「琉球新報」は、国が和解案を受け入れたことは沖縄の政治的勝利だとしつつも、中央政府による今後の画策に対して警戒心を高めねばならぬと主張する。
<「暫定案」は国が工事を停止して代執行訴訟を取り下げた上で、代執行より強制力の低い手続きを踏んで再度、県に是正を求めるという内容だ。
 福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長がこの和解案を示した時点で、結論は必然だったとも言える。国と県の対立に決着を図る上で最も強権的な手法が代執行だ。他の手段を経ず、いきなり最終手段たる代執行を求めた国に対し、裁判長は代執行以外の手段を勧めたわけである。「このまま行けば国敗訴だ」と警告したのに近い。
 一方で裁判長は、県側が申請していた環境や軍事専門家の証人申請を却下していた。前知事の埋め立て承認に瑕疵があったことを立証するのに不可欠な証人たちだ。却下は、翁長雄志知事の承認取り消しの適法性に対する関心の低さの表れとも見える。不適法との心証を抱いていたのかもしれない。
 さらに裁判長は、違法確認訴訟で県が敗訴すれば県は確定判決に従うかと問い、県は「従う」と答え
た。このやりとりを国側にあえて見せたのではないか。代執行訴訟では国が敗訴しそうだが、仕切り直して是正の指示の取り消し訴訟になれば、いずれは国有利での解決もあり得る、とのメッセージを送ったようにも見える。
 だから国は代執行訴訟取り下げという「退却」を選択したのだろう。
 今後、県と国は再び協議の席に着く。溝が埋まらなければ、「是正の指示」、係争処理委員会、是正の指示の取り消し訴訟などの、より強権度の低い手続きへと進むことになる。その間、工事は止まる。いずれにせよ、あれだけ強硬だった政府の工事を暫定的ながら止めたのだから、沖縄側の勝利であり、成果には違いない>【注2】

 (4)安倍首相は、暫定案を受け入れると発表した会見で、「辺野古移設が唯一の選択肢という考え方に変わりはない」と述べた。この発想に立っている限り、問題が解決することはない。
 そもそも沖縄の海兵隊は、1950年代まで岐阜県と山梨県に駐留していた。本土での反米軍基地闘争が激化したので、当時、米国の施政権下にあり、日本国憲法が施行されていなかった沖縄の米空軍嘉手納基地があれば、中国と北朝鮮に対しては、必要かつ十分な抑止力を維持できる。
 現在、沖縄で起きていることは、国際基準では民族問題だ。辺野古移設を断念し、米海兵隊を沖縄県以外に出す以外に現実的な解決策はない。
 今後懸念されるのは、中央政府側から「緊急避難」という名目で、普天間の米海兵隊を、米空軍嘉手納基地への普天間海兵隊の統合、宮古島と橋でつながる下地島(300m級の滑走路がある)への移設という案が浮上してくるかもしれない。
 しかし、辺野古新基地問題で問題になっているのは、中央政府による沖縄に対する構造化された差別だ。差別を沖縄県内につけ回すという手法を翁長知事も沖縄県内の沖縄人も、日本と世界に在住づる沖縄人も、絶対に認めない。

 (5)下地島については、民間の有力なプロジェクトが動き始めている。
 <翁長雄志知事は29日の沖縄県議会(喜納昌春議長)一般質問で、2016年度から離島や過疎地域で光ファイバーケーブルの敷設に取り組むとし、「観光教育、医療福祉等、情報通信技術の促進、観光情報インフラ整備、定住条件の整備に寄与する」との認識を示した。
 下地島空港の利活用で三菱地所が提案している旅客ターミナル施設整備事業計画について、末吉幸満土木建築部長は「国際線と国内線の旅客施設を整備し、国際線定期便や国内線LCC、プライベート機を受け入れるもの」と説明。事業計画によると、17年1月に着工、18年に供用開始を目指しているとした>【注3】
 一部の防衛官僚が、下地島への米海兵隊の「緊急避難」を考えているようだが、すでに下地島は民間空港として発展する選択をしている。

 【注1】記事「翁長知事「寝耳に水」 辺野古訴訟、再協議に期待」(朝日新聞デジタル 2016年3月5日)
 【注2】社説「代執行訴訟和解 新基地 根本から問え 「辺野古が唯一」は本当か」(「琉球新報」 2016年3月5日)
 【注3】記事「下地島空港で旅客ターミナル施設整備 2017年1月着工」(「沖縄タイムス」電子版 2016年2月29日)

□佐藤優「辺野古新基地建設の一時中止は沖縄側の勝利だが ~飛耳長目 第117回~」(「週刊金曜日」2016年3月11日号)
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 【参考】
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【佐藤優】ラブロフ露外相の真意 ~日本政府が怒った「強硬発言」~
【佐藤優】プーチンが彼を「殺した」のか? ~英報告書の波紋~
【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~
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【佐藤優】北朝鮮による核実験と辺野古基地問題
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【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~
【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次
【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ』目次
『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』
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【佐藤優】脳の記憶容量を大きく変える技術 ~超したたか勉強術(2)~
【佐藤優】表現力と読解力を向上させる技術 ~超したたか勉強術~
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【佐藤優】日米安保(1) ~安倍首相の米国議会演説~
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【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~
【佐藤優】米国とイランの接近  ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~
【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~
【佐藤優】イスラム過激派による自爆テロをどう理解するか ~『邪宗門』~
【佐藤優】の実践ゼミ(抄)
【佐藤優】の略歴
【佐藤優】表面的情報に惑わされるな ~英諜報機関トップによる警告~
【佐藤優】世界各地のテロリストが「大規模テロ」に走る理由
【佐藤優】ロシアが中立国へ送った「シグナル」 ~ペーテル・フルトクビスト~
【佐藤優】戦争の時代としての21世紀
【佐藤優】「拷問」を行わない諜報機関はない ~CIA尋問官のリンチ~
【佐藤優】米国の「人種差別」は終わっていない ~白人至上主義~
【佐藤優】【原発】推進を図るロシア ~セルゲイ・キリエンコ~
【佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~
【佐藤優】「イスラム国」という組織の本質 ~アブバクル・バグダディ~
【佐藤優】ウクライナ東部 選挙で選ばれた「謎の男」 ~アレクサンドル・ザハルチェンコ~
【佐藤優】ロシアの隣国フィンランドの「処世術」 ~冷戦時代も今も~
【佐藤優】さりげなくテレビに出た「対日工作担当」 ~アナートリー・コーシキン~
【佐藤優】外交オンチの福田元首相 ~中国政府が示した「条件」~
【佐藤優】この機会に「国名表記」を変えるべき理由 ~ギオルギ・マルグベラシビリ~
【佐藤優】安倍政権の孤立主義的外交 ~米国は中東の泥沼へ再び~
【佐藤優】安倍政権の消極的外交 ~プーチンの勝利~
【佐藤優】ロシアはウクライナで「勝った」のか ~セルゲイ・ラブロフ~
【佐藤優】貪欲な資本主義へ抵抗の芽 ~揺らぐ国民国家~
【佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず
「森訪露」で浮かび上がった路線対立
【佐藤優】イスラエルとパレスチナ、戦いの「発端」 ~サレフ・アル=アールーリ~
【佐藤優】水面下で進むアメリカvs.ドイツの「スパイ戦」
【佐藤優】ロシアの「報復」 ~日本が対象から外された理由~
【佐藤優】ウクライナ政権の「ネオナチ」と「任侠団体」 ~ビタリー・クリチコ~
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