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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

開放骨折は治療対象になるか?内固定できるか?Gustiloの分類

2018-01-08 | 整形外科

牛のプレート固定の研修指導にでかけて、

「開放骨折はどうですか?」と、何人かの牛の獣医さんに訊かれた。

人では、開放骨折をグレード分けする基準が用いられている。

Gustiloの分類。

骨の尖った先が皮膚を破っていたらType1.

骨が突き出していたらType2.

10cm以上の傷になっていたらType3.で、

皮膚で覆えそうなら3A.

覆えそうになかったら3B.

動脈の損傷があり、遠位部が血行を失っていたらType3C.

                             -

折れた肢を振り回してしまう馬や牛の中手骨/中足骨骨折は、Type2.になっていることが多い。

                             -

人の脚がこうなっていたらどうするんだ?

と考えると、馬や牛の肢もあきらめたものではないと思う。

とくに、牛は感染に強い。

骨癒合も早い。

                        -

プレート固定の術創が化膿すると、スクリューがゆるむのと、骨癒合との競走になる。

術創が開いたりもしやすい。

が、プレートが外から見えるようになっても、骨癒合が進めばプレートやスクリューを抜けるようになるし、

プレートやスクリューを抜けば感染は抑え込めることが多い。

                        -

もちろん、手術時には、傷をきれいに洗い、骨や術創もできるかぎりデブリドし、有効と思われる抗生物質投与を積極的に行う。

                        -

骨の端が皮膚を破っていること、Type1.の開放骨折はサラブレッド子馬で何度かプレート固定の対象にしてきたし、

時間が早ければ、けっしてあきらめたものではない、と思っている。

                      ///////////////

神戸へ帰って来た。

 

わたしはその手が好きです

Fukuyama Masaharu 福山雅治 - 道標 (2008) live

誕生日おめでとう。



14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (はとぽっけ)
2018-01-11 22:45:37
 そういう質問があるということ自体、子牛の骨折治療の今後に期待せずにはいられません。
 hig先生のお気持ちはわかるはずもないけれど、まだまだお元気でいて欲しいですね今度お会いしたときにはじゃんけんできるといいですね。
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>はとぽっけさん (hig)
2018-01-12 05:24:34
子牛では開放骨折になっていることは少ないのですが、体重が大きい牛になると開放しやすいのだと思います。
牛は性格がおだやかで、皮膚が分厚いですが、耐えられないのでしょう。
キャストの中で皮膚が破れている、という経験からの質問でもあるのかもしれません。

ですので、プレート固定の対象になるかという観点からは、まず開放していない子牛の骨折を治せるようになりましょう、ということになります。しかし、皮膚に傷があったらプレート固定はできないか、というとそんなことはありません。

温かいはげましのことばありがとうございます。
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Unknown (Chel)
2018-01-12 12:57:04
お母さまリハビリ頑張っていらっしゃる。
さすが息子さんを立派に育てた方は ご自身を甘やかすこともしませんね。歯もですが手もその人の生き方が現れる部分と思います。
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Unknown (piebald)
2018-01-12 19:46:41
日本中が大寒波のさなかでも、温かいものを掴まれているようですね。
お誕生日、おめでとうございます。優しい時間を過ごされますように。
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>Chelさん (hig)
2018-01-13 05:04:13
握っているのはタオルで、これ以上の拘縮を防ぐものです。動かせなくなると、どこも固まってしまうようです。
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>piebaldさん (hig)
2018-01-13 05:06:34
父も母も、老後について教えてくれているような気がしています。現実の問題も、心のあり方も、それらを受け入れることも。
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Unknown (牛の獣医)
2018-01-22 22:06:58
解放骨折はグレードにもよるのかもしれませんが、内固定は基本的に行わず、創外固定が適応かと心得ていました。馬では解放骨折でも内固定をするのですね。人では軟部組織の評価方法は他にも色々あるようですが、やはり切断の判定基準も掲載されておりました。
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>牛の獣医さん (hig)
2018-01-22 22:47:00
馬は皮膚が薄く運動が活発で気性が激しいので開放骨折になりやすいです。Gustilo分類1なら怯えず内固定します。しかし、牛より感染に弱く、骨癒合にも時間がかかるので、開放骨折の程度がひどくなると牛より厳しいです。

創外固定・・・私はキルシュナー鋼線によるピンキャストは創外固定とは呼べないと考えています。固定力があまりに乏しいですから。治ったとしてもほとんどキャストで治っているのであって、整復は不完全、固定力は弱い、早期の運動は無理、ということでAOの原則に反します。
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Unknown (牛の獣医)
2018-01-22 22:57:50
人の方でも重度の汚染がない場合は内固定もするようですね、勉強になりました。ありがとうございます。
解放骨折の場合ではないですが、スタイマンピン(特にフルピン)とレジンの組み合わせはかなり良さそうです。個人的な感想ですが、子牛の場合、固定力、早期の運動に適していると感じております。絶対的安定を求める関節内骨折はさすがに無理ですが長管骨はかなり良い印象があります。
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>牛の獣医さん (hig)
2018-01-23 22:11:29
人は清潔なベッドで寝ていてくれますからね。それでも、完全な整復、しっかりした固定、血行の維持、早期の運動回復、がAOの原則です。

そうです。ピンキャストをするなら、ネジが切られたそれなりの太さのピンを使うべきです。それでも感染でゆるんだり、固定力が不足しがちです。
管骨が、子牛の中手骨中足骨を指しているなら、それらはただのキャストで良好に治癒することがほとんどです。ピンキャストは多くの場合必要ないと思います。
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