人垣で馬が見えん。
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実習生を見ていて思うこと。
学年の差は大きい。臨床の授業をまだ受けていない3年生は卵にもなってない。臨床獣医学的な話をしても、通じない。
臨床の授業が始まっている4年生は、卵。しかし、実習を受けてないと手術の助手をさせるのに手洗い、手袋のはき方から教える必要がある。
5年生は個人、研究室による差が大きい。臨床講座、とくにうちでの仕事だと外科の学生は慣れている。
つまるところ、1年1年どうすごすか、何を身につけるかでたいへんな差になるということだろう。
それは、臨床獣医師になってからも同じなのだろう。
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笑い話。
関節鏡手術で、骨片を取り出した。ふと振り向くと、滅菌された器具台に置いた骨片を実習生が指でつかんで眺めている。
「駄目だ! 触るな!!」
注意したら、あわてて滅菌された器具台に戻そうとした。
「駄目だ!戻すな!!」
間に合わなかった。
彼女は怒鳴られた理由を理解しただろうか?
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8月、9月は実習生のマンパワーに助けられているのも真実。
そして彼らは私たちにとっても刺激になってくれる。
「あれは正しくは何というんだったか? あれはどの教科書に書いてあるんだったか?」
当たり前と思っていることも、あらためて正確に説明するとなると、知識も確認しなければならない。
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そして私も実習生の成れの果て。
この時季、「馬の獣医師になりたいんですが」と言う相談もされる。
実力や努力以上に、運やタイミングが必要になってしまう馬の世界の狭さが残念だ。
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三年以前は、『一般教養』という名のもと、大学入試までにやったようなコトをまた習い。。。
その時間、外でも学内でもいーから、実習とかさせた方がためになるのに、、、と思うんですが、
それをすると、留年するシステムができあがっている大学( -_-)
卵は温める鳥がいて初めてがんばれるのになーと。。。
大学の教養の講義のあり方は問題ですよね。せっかく獣医師めざして大学に入ってくるんですから、獣医師めざしていろいろな体験をさせるプログラムにできないもんなのでしょうかね。
このエピソードを拝見して思い出しました。
3年前、僕が実習生(5年生)だった折、S波先生の助手として仔馬の回虫症のオペに参加しました。
その際、腸管から溢れ出た「回虫の群れ」を思わず「左手」で受けてしまいました。何故、そんなことをしたのかいまだに分かりませんが、とにかく「大失敗」でした。
「それ触ったらダメだよ。右手一本で助手してね。」
S波先生は淡々とおっしゃってましたが、あの時は本当に反省いたしました。
その後、大学に戻ってからは主にイヌネコの去勢避妊手術に参加(臨床繁殖なので)していたのですが、頭からその時のことが離れることはありませんでした。
実習とは本当に「学ぶ場」なのだと、改めて思う次第です。
優しいS先生で良かったですね(笑)。手袋は変えるべきでした(爆)。
滅菌された器具、布、手袋、術衣でいかに無菌的に手術するかという概念を、実習生が持っているかどうかは見た目ではわかりません。学年と所属研究室は聞くのですが、思わぬことをやってくれます。
取り返しのつかないことにはなりませんから、大いに経験していってもらいたいと思います。