電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【食える食えない】
【食える食えない】
弘法大師空海を「食えない」と司馬遼太郎が書いているのを読んでおもしろいので(『空海の風景』)、あらためて「食えない」を辞書で引くと「煮ても焼いても食えない」という慣用表現から来ているようだ。
「人を食う」と言うとき、人が人をほんとうに食べるのではなく、外部にある他者を自分の内部に併呑したような気分になることを「食う」と言っている。そういう意味で食えないのである。国家を呑むほど大きな他者を自分の内部にいれるのは容易でない。しかも懐中に小太刀を呑むように小才が働くという意味で空海の「味なところ」も指摘している。
Mac で読んでいる縦書きテキストのスクリーンショットを撮り、デスクトップ上に保存されたスクリーンキャプチャをダブルクリックしてプレビューで開くと、一瞬間を置いて OCR が実行され、テキストとして選択できるようになっていた。これは便利。
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『ジングル・ベル Jingle Bells』
作詞作曲/J.R.ピアポンド
20 音オルガニートで『赤鼻のトナカイ Rudolph the Red-Nosed Reindeer』
作詞作曲/J.マークス
20 音オルガニートで『サンタが街にやってくる Santa Claus Is Coming to Town』
作曲/F.クーツ
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【畳職人の息子】
【畳職人の息子】
OA 機器販売会社の若い営業マンから電話があって、新たに担当になったのでご挨拶に伺いたいという。約束の時刻にやって来たので名刺交換し、前任者は若い女性だったねと言ったら、産休に入ったための交代で退職したわけではないですと言う。
打ち合わせテーブルに卓球ネットを張ったままだったので、最近はこんなふうに夫婦でピンポンして遊んでるんだと言ったら「すぐ気づきました、自分も学校で卓球をやりました」と言う。
この子は卓球部だったのだろうかと思ったら、「自分は野球部だったので卓球は苦手でした。ノーバウンドの球を打ち返すのは得意ですがワンバウンドは苦手です」と面白いことを言う。
話を聞いてのこのこ出て来た妻が調子に乗り、「今度ぜひご一緒にやりましょう」などととんでもないことを言ったら「ほんとですか!」と言う。帰って行ったあと、面白い若者だったなと思い出しながら名刺を見たら、自己紹介欄に「畳職人の息子」と書かれているので「わかっていれば自宅の畳の相談をしたのに」と笑った。
営業と畳は新しいのがいい。
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『わらべうた 通りゃんせ Touryanse』
作者不詳
20 音オルガニートで『童謡 どんぐり ころころ Donguri Korokoro』
作曲/梁田貞
20 音オルガニートで『わらべうた ずいずいずっころばし Zui Zui Zukkorobashi』
作者不詳
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カレー南蛮百連発055:文京区千石『そば処ひぃふぅみぃ』のチーズ入りカレー南蛮
文京区千石三丁目に昭和九年創業の『そば処ひぃふぅみぃ』という店がある。かつてその界隈で暮らしていた友人がいるので
「あのお蕎麦屋さん、どう?」
と聞いたら
「どう?って、普通のお蕎麦屋さんよ」
と言い、彼女が「普通の」と言うならかなりまともな店なので行ってみたいと思っていた。
長引くコロナ禍ですっかり気軽な外食癖が抜けてしまったのでそのままになっていたけれど、2023 年 12 月 14 日、珍しくひとりご飯の機会が巡って来たので思い出して出かけてみた。
普通のではなくて「チーズ入りカレー南蛮」を注文してみた。ひとくち食べて、この店の蕎麦は好きだな、と思う。やや太めでもっちりした歯応えがあって、昔よく行った東大宮『そば処 山茂登』の田舎蕎麦を思い出した。「噛んで食べる蕎麦」が好きなのだ。蕎麦がきも好きだし。
たぶん同じ好みの妻も喜びそうなので、年内に『牡蠣そば』を食べに連れてこようと思った。
「定休日は何曜ですか?」
と聞いたら
「月曜日です、またお待ちしています」
と言うので
「ごちそうさま、おいしかった」
と声が出た。
【ポイント】
【ポイント】
読んでいる後期高齢者四国遍路旅の記録に思いがけずアランの言葉が引かれていた。原本は串田孫一訳の版である。
「悲観は気分のものであり、楽観は意志のものである」( Alain )
2023年12月13日 豊島区立駒込公園
もういちどあらためて司馬遼太郎『空海の風景』の活字上を歩いてみたくなったので中公文庫上下合本の電子書籍版を買った。
amazon からセール中のお接待で 850 ポイントが付与されて戻ってきた。
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『わらべうた 通りゃんせ Touryanse』
作者不詳
20 音オルガニートで『童謡 どんぐり ころころ Donguri Korokoro』
作曲/梁田貞
20 音オルガニートで『わらべうた ずいずいずっころばし Zui Zui Zukkorobashi』
作者不詳
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【氷の魂】
【氷の魂】
夢というのはけったいなものだ。どうしてあんな夢を見たんだろうと目が覚めて思う。
夢に「氷水」という字がドーンと出てきて、「氷」と「水」という文字は点のあるなしの差があるに過ぎないんだよなと思う。
「氷」の点は書き順の何番目に打つのだろう、「水」の書き順、たて棒「|」を書いて左に「フ」、右に「く」を書いて、最後に点「、」を打って「氷」だろうか、いや点こそが「氷」の魂(たましい)だから最初に点「、」を打ち、たてに棒「|」、左に「フ」、右に「く」を書くのではないか、などと考えながら目が覚めた。
昨夜は布団の中で岩田慶治『カミの人類学』(講談社文庫)を読んでいるうちに眠ったので、寝落ちした箇所を開いてみたら、
「魚の魂は水である」「木の魂は土である」
と書かれていた。
2023年12月12日 文京区立千石図書館脇、雨上がりの路地にて
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『わらべうた 通りゃんせ Touryanse』
作者不詳
20 音オルガニートで『童謡 どんぐり ころころ Donguri Korokoro』
作曲/梁田貞
20 音オルガニートで『わらべうた ずいずいずっころばし Zui Zui Zukkorobashi』
作者不詳
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【実相観入】
【実相観入】
表面的な写生にとどまらないで、人も自然も渾然とした場において表現がなされていること、それを短歌では「実相観入(じっそうかんにゅう)」という(*)。「実相は無相である(ほんとうのことは、ことばにしがたい)という世界観まで観入(深く没入し正しく認識)」して歌を詠むわけで、それはプラトンの言うイデアや汎心論に近いかもしれない。
後期高齢者になってから四国遍路をした人の愛すべき手記を、難解な本と並行して読み、痺れるといっしょに遍路道を歩いている(菅卓二『四国へんろ道ひとり旅』論創社)。
歩き去ったお遍路さんが詠み残した句が遍路道ぞいに掲げられているのを、メモして紹介されていてそれがなかなかいい。
どんぐりを杖で転がす遍路道(群馬県沼田市の男性)
なんど読んでも杖の先が心奥にふれる。
*斎藤茂吉の歌論。正岡子規の写生説を進展させたもので、表面的な写生にとどまらないで、人生、自然全体を包括した世界に徹するのが短歌写生の真髄であるとするもの。
2007年12月12日 巣鴨
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『わらべうた 通りゃんせ Touryanse』
作者不詳
20 音オルガニートで『童謡 どんぐり ころころ Donguri Korokoro』
作曲/梁田貞
20 音オルガニートで『わらべうた ずいずいずっころばし Zui Zui Zukkorobashi』
作者不詳
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【名前と形態】
【名前と形態】
文化人類学者のフィールドノートにある板根ってなんだろうと辞書を引いても項目がないのでネット検索したら「ばんこん」と読んで樹木の地表近くから生える根の一種らしい。「主根の脇に生えた側根の上部が板状に肥大して樹木の支持や通気に役立っている」……のだという。
言葉による説明ではぜんぜん要領を得ないので画像検索したら、まさに群馬名物「ひもかわうどん」のように奇っ怪な根っこだった。平べったい板のようで、これをみたらひげ根が三輪そうめんに思えてしまう。本物を見たことがないのでびっくりしたが、たしかに言葉で説明しがたい奇観である。
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六義園内のケヤキに混じって種類の違う木があるのが気になり、園内で見上げていたら庭師さんが通りかかったので樹種を尋ねたら、庭造りの専門家であって植物学者じゃないからわからないと言う。そういうものらしい。
2023年12月10日 六義園
今年も黄変したケヤキの葉が北西の季節風に吹かれ、種を運ぶヘリコプターになって枝を離れる時期になった。そういう中にあって、やっぱりあの子だけが今でも青い。
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『わらべうた 通りゃんせ Touryanse』
作者不詳
20 音オルガニートで『童謡 どんぐり ころころ Donguri Korokoro』
作曲/梁田貞
20 音オルガニートで『わらべうた ずいずいずっころばし Zui Zui Zukkorobashi』
作者不詳
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【波型飛行】
【波型飛行】
窓際に置いた机に向かって本を読んでいて、ふと目を上げると、通りを挟んだ正面にある木立ちから弾丸のようになった鳥がこちらに向かって飛んでくる。弾丸は木立ちと窓の間の通り上でやや失速し、高度が下がる。
失速し、高度が下がると、畳んでいた羽を広げて弾丸であることをやめ、激しく羽ばたいてふたたび速度と高度を上げながら頭上を越えていく。
そういう飛び方は横から見ると、上がったり下がったりの波型を描いている。ときどきベランダの手摺に止まってひと休みすることもあり、冬のヒヨドリは「ギャース、ギャース」と啼く。
2007 年 12 月 10 日 六義園内にて
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『わらべうた 通りゃんせ Touryanse』
作者不詳
20 音オルガニートで『童謡 どんぐり ころころ Donguri Korokoro』
作曲/梁田貞
20 音オルガニートで『わらべうた ずいずいずっころばし Zui Zui Zukkorobashi』
作者不詳
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【おったつ、ぼったつ、つったつ】
【おったつ、ぼったつ、つったつ】
子どものころ、立っているものについて言うとき、「おったつ」や「ぼったつ」や「つったつ」などを器用に使い分けていた。そういう日本の子どもの実用的語学力は試験に出て評価されないだけで、たいしたものである。
「おったつ」は「押し立てる」、「ぼったつ」は「棒立ちになる」または「呆(ぼう)っとして立つ」、「つったつ」は「突き立つ」あたりから来ていたのではないか。
「いつの間にか塀がおったってた」とか、「もういいよって言われるまでぼったってた」とか、「同じ場所につったってなきゃなんなかった」などと子ども同士で言い合いながら実に感じがよく出ていた。
「かえる」もまたいろいろで、「ひっくりかえる」「でんぐりかえる」「そっくりかえる」「ふんぞりかえる」など、さまざまな「かえる」がいて世界が「わきかえる」ようだった。
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2023年12月8日 文京区立千石図書館にて
図書館の開架をぶらぶら眺めていたら『深夜食堂』という映画の DVD があったので借り出して観たらひどくおもしろかった。
バックに流れる主題歌がいい味を出しているので検索したら、古いアイルランド民謡「pretty girl milking her cow」を原曲にした歌で、鈴木常吉( 1954 - 2020 )という歌手によって歌われたものだった。
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『わらべうた 通りゃんせ Touryanse』
作者不詳
20 音オルガニートで『童謡 どんぐり ころころ Donguri Korokoro』
作曲/梁田貞
20 音オルガニートで『わらべうた ずいずいずっころばし Zui Zui Zukkorobashi』
作者不詳
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【尻馬居士の話】
【尻馬居士の話】
初めて読んだ佐々木邦がとてもおもしろい。
「それについては面白い話があるよ」
と社長が言い出すと、周囲のものは皆辟易(へきえき)する。しかし相槌(あいづち)を待ち設けて見廻しているから、誰か、
「はゝあ」
と応じてやらなければならない。社長には尻馬居士(しりうまこじ)という綽名(あだな)がついている。人の話の後から屹度(きっと)何か思い出して、
「それについては……」
をやる。それが時には甚(はなは)だそれについていないことがある。
他人が乗っている馬の尻に飛び乗って馬を横取りする行為。それはコンピュータを使った不特定多数による会話であるパソコン通信や SNS の場において、画面を流れる文字として読めるようになった。文脈を脱線させて場を横取りすることに長(た)けた尻馬居士と後駆(おくれがけ)する群衆として可視化されたものだ。そういう現象が軽妙に描かれている。
……と語り終った。
「ハッハヽヽヽ」
と私は大笑いをした。しかし重役達はもうこの上出世のしようがないから苦笑いをしていた。
(佐々木邦『社長秘書の話』大日本雄辯會講談社 1926(大正 15 )年 8 月)
2007年12月7日 撮影場所不明
そもそも人並み外れて尻馬居士的気質の特性を持った人だったからこそ、社長は社長にまで上り詰められたのだろう。
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『ワシントン広場の夜は更けて Washington Square』
20 音オルガニートで『オーケイ! OK !』
20 音オルガニートで『なんとなく なんとなく Nantonaku Nantonaku』
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【朝のユーモア】
【朝のユーモア】
イニシエーション( initiation )の語源はラテン語の initio(はじめる)である。朝のはじまりの窓開け、植木の水やり、朝食の準備、「起きろ!」の声掛け、NHK 朝ドラを見ながらの食事、掃除機かけ、それらのイベントを順を追って終え、
「行ってらっしゃい、ハンカチ持った?」
と言われながら玄関を出て一日をはじめるまでがイニシエーション(通過儀礼)のようになっている。
そういう絵に書いたように平凡な朝、というファンタジーを自作自演し、毎朝自分自身を作って起動するわけだ。人が生きることは我ながらご苦労さまである。
2007年12月6日 文京区本駒込にて
精神科医の中井久夫も、評論家の鶴見俊輔も、ユーモア作家佐々木邦( 1909 - 1964 )を好んでよく読んでいたらしい。たびたびその名前が出てくるけれど読んだことがないので、古書店で岩田慶治の本を買うとき、目についた『いたずら小僧日記』春陽文庫( 1962 年)を買ってみた。佐々木邦は静岡県駿東郡清水町生まれである。
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『ワシントン広場の夜は更けて Washington Square』
20 音オルガニートで『オーケイ! OK !』
20 音オルガニートで『なんとなく なんとなく Nantonaku Nantonaku』
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【中山道を読む】
【中山道を読む】
仕事の打ち合わせ帰りに旧中山道蕨宿をチョロっと歩いたら、この古い街道を歩きながら何かを考えて書いた人の本が読みたくなった。本を読むことの最大の楽しみは、「この人はなんでこんなことを考えたんだろう」と、さらに自分が考えることにある。
書店に注文するため適当な本を探して検索したら、「歩いて旅する」とか「ちゃんと歩ける」とか「ホントに歩く」とか「歴史と文化を訪ねる」とか目的をうたった中山道本が並んでいる。
2023年12月4日 蕨市中央5丁目にある旧中山道蕨宿への入口
本当に歩きたいわけではないし、歴史的蘊蓄などを聞きたいわけでもない。実際に歩いた人が言葉にして残した文章の中から「あらかじめ期待し得なかった何か」が見つかるのを楽しみに読んでみたいのだ。
1933(昭和 8 )年生まれだという菅卓二さんの『八十歳「中山道」ひとり旅』論創社(2015)という本を見つけて書店注文した。子ども時代の戦争でひどい目にあって生き延びた、わが親たちと同世代、昭和一桁生まれの書いたものが好きだからだ。彼らにはその世代ならではの着眼がある。(*)
2023年12月4日 旧中山道蕨郵便局前
2023 年 10 月 31 日、拳銃を持った男が人質をとって立てこもった蕨郵便局は旧中山道に面している。事件翌日にもこの近所に来たのだけれど、妻に
「事件現場なんて見に行っちゃダメよ(いい歳こいて野次馬なんてすんなよ)」
と釘を刺されたので、ほとぼりもさめただろうと、この日初めてそばに行って眺めてみた。
(*)著者の経歴を調べて興味をひかれたので『四国へんろ道ひとり旅』論創社(2011/11/1)も古書で注文した。
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『ワシントン広場の夜は更けて Washington Square』
20 音オルガニートで『オーケイ! OK !』
20 音オルガニートで『なんとなく なんとなく Nantonaku Nantonaku』
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【戸田公園駅のモニュメント】
【戸田公園駅のモニュメント】
戸田公園駅は 1985(昭和60)年 9 月 30 日、日本国有鉄道(国鉄)の埼京線赤羽駅・大宮駅間開通に合わせて開業された。近くにある戸田漕艇場(とだそうていじょう)の最寄り駅になる。
戸田漕艇場は 1964 年 10 月 11 日 から 15 日まで、東京オリンピック(第 18 回夏季五輪)のボート競技会場として使用された。
仕事の打ち合わせで戸田まで出かけ、駅コンコースを南西側出口に向かって歩いたら、頭上に艇庫を持つ大学や実業団のオールとブレードをかたどったオブジェが飾られているのに気づいた。
2023年12月4日 埼京線戸田公園駅にて
手作り感のあるかわいいモニュメントで、誰がつくっていつ頃寄贈されたものなのかはわからない。いいなあと思って見上げながら写真を撮ってきた。
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『ワシントン広場の夜は更けて Washington Square』
20 音オルガニートで『オーケイ! OK !』
20 音オルガニートで『なんとなく なんとなく Nantonaku Nantonaku』
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【チンダル現象とプラトン】
【チンダル現象とプラトン】
幼い頃、映画館に連れて行かれるとスクリーンを眺めているのが退屈で退屈で、椅子の上にそっくり返って、映写室から放たれる光束の動きを飽きることなく眺めていた。
空中で光が束になって見えるのを長いこと不思議に思っていたけれど、高校時代に理系の従兄が
「あれはチンダル現象って言うんだ。チンチンがだるいって覚えろ」
とニヤニヤしながら教えてくれたので忘れない。今日はチンダルの命日になる。(*)
2023/12/03 本駒込
プラトンの洞窟という話があってプラトンのイデア論ともいう。洞窟に閉じ込められた人間は背後から人間を飛び越えて前方の壁に投影される影絵芝居を、それが現実と思って見ているだけだという。映画館のように退屈だ。
ユングの自伝を読んでいたら、ユングは自分の眼の前にある光源を見つめるとき、自分を恐れさせる大きな幻影が、光源が放つ光束が背後の壁に投影する自分の影に過ぎない、というプラトンを逆にしたような世界観を持っていたらしい。よくわかる。
2023/12/03 本駒込
映画館のスクリーンより、自分はチンダル現象の発生源である映写室の窓の中が気になった。そこにある映写機と、その中でコマ送りされる時間の前後が際断された「いま」という静止画の連続にすぎないフィルム自体、それにどうしても興味が向いてしまうのだ。幼い頃からずっと今日に至るまで。
(*)ジョン・ティンダル(John Tyndall 、1820年8月2日 - 1893年12月4日)アイルランド出身の物理学者、登山家。
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『ワシントン広場の夜は更けて Washington Square』
20 音オルガニートで『オーケイ! OK !』
20 音オルガニートで『なんとなく なんとなく Nantonaku Nantonaku』
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【悪口の効能】
【悪口の効能】
他人の悪口を言葉に出して言った人は、言ったこと自体を忘れてしまうらしい。とくに女性に多い気がする。
「あなた蔭であの人の悪口を言ってたよね。だったら付き合わなきゃいいのに」
と言うと、
「あら、わたしそんなこと言った覚えないわ」
などと言い、本音を隠したすまし顔で、悪口を言った相手と普通に付き合っている。第三者に悪口を漏らすことで向き合う相手との関係が破局に至らない。
なかなか面白い社会的スキルだと感心しながらも、悪口を聞かされたほうはいい面の皮で、もう聞いてやるもんか、聞かされても心配なんかしてやるもんかと思う。
他人の悪口を陰で言ってガス抜きする女の社交に対して、精神衛生上いけないのが他人の悪口を声に出さず陰に籠もって心の中でモゴモゴ考え続けるオスの社交である。爆発させないかわりに、いつまでも燻らせて執念深い。
そういう男にならないためには、悪口をことばにして心の中で音読してみるといい。実践してみるとオスなのに
「あら、わたしそんなこと言った覚えないわ」
と思えるようになるから不思議だ。
2009/12/03 高橋是清翁記念公演
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20 音オルガニートで
20 音オルガニートで『ワシントン広場の夜は更けて Washington Square』
20 音オルガニートで『オーケイ! OK !』
20 音オルガニートで『なんとなく なんとなく Nantonaku Nantonaku』
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