【街場の計算式】

【街場の計算式】

 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2005 年 1 月 18 日の日記再掲)

隆慶一郎の『吉原御免状』が読みたくなったので清水銀座の戸田書店に行った。

新潮文庫の書棚を探したけれど『吉原御免状』はないので、戸田書店を出て向かい側の歩道を数十メートル歩き、多賀書店の書棚を見たら在庫していたので買ってきた。嬉しい。

戸田書店と多賀書店の、どちらかひとつになったら残った方の店の売り上げが増えると考えるのは子どもの算術である。

雨の中、わざわざ清水銀座まで出かけて行って本を探す気になるのも、戸田になかったら多賀にある、多賀になかったら戸田にあるだろうと思えるからで、そうでなかったら家にいてインターネットに接続しアマゾンのワンクリックで注文し、宅配便で届くまで別のことをして過ごすと思う。商店街というのは子どもの算術で客の奪い合いをしているわけではなくて、もうちょっと複雑にできている。

夕食に何が食べられるかと尋ねて、食べたいものが答えとして返ってくるくらいに母の食欲が回復してきた。

「ゆり根を素揚げしたのが食べたい」などと難儀なことを言うので「静鉄ストアに売ってるかなぁ」と言うと、「駅前銀座の手芸品店の並びにある果物屋の店頭でおがくずにくるまって売られているから一つ買って来い」などと言う。

もう 1 年半も清水で買い物らしい買い物をしていない母が言うことだけれど、行ってみるとちゃんとそうなっている。「あった」と携帯で電話すると、「その先の反対側をずっと行くと農家が出してるような店があるから、細ネギがあったら買って来て」と言うので、行ってみたらそちらもちゃんとある。

「帰りに静鉄ストアに寄るならゆり根と細ネギを裸で持って入るわけには行かないからビニール袋をもらえ」と言う母は、「清水に静鉄ストアができたから、もう静岡に行く人に清水にない物をデパ地下で買ってきてと頼む必要がなくなった、清水でほとんど食料品の買い物が済む」と喜んでいる。

昔から寝転がって人に指図するのが得意な人だったけれど、ちゃんと町の構造を知っている。

【矢倉太鼓】

清水の町を歩いていたら「たびだち」と大書されたポスターが目につく。矢倉太鼓というのがあって保存会もあるらしい。

2 月 6 日日曜日午後 2 時から清水テルサで発表会があるらしい。東海大学付属小学校 5・6 年生が友情出演するとあり、事情を知らないので興味を引かれる。最近友情という言葉に心が脆い。

入場無料だし、清水駅の近くなので帰京を日曜日の特急ワイドビュー東海 4 号清水駅 5 時 2 分発にすれば見られるかもしれないと揺れたりする。

[Data:KONIKA MINOLTA DiMAGE Xg]

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