【贅沢な袋小路】

【贅沢な袋小路】

 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2005 年 1 月 20 日の日記再掲)

清水駅前銀座裏手にある『グルメ通り』。飲食店が軒を並べるその通りの東海道本線側には袋小路がいくつかある。

母が営んでいた居酒屋も旧清水市役所脇の袋小路にあったので懐かしく、その袋小路は民家の塀に突き当たって行き止まりになっていた。行き止まりにもいろいろある。

両脇に飲食店が並び、突き当たりもまた飲食店になっている袋小路は、文字通り飲食店の袋になることで行き止まっている。

両脇が飲食店で突き当たりが東海道本線にぶつかって行き止まりになっている袋小路は、すぐ向こうに『清水テルサ』の建物が見えていたりして、行き止まりではないように見えて行き止まっている。

JR清水駅に向かう途中、『グルメ通り』の袋小路を斜めに覗き込んだら真正面に巨大な富士山が見えてドキッとした。狭い場所から覗くことで巨大さが際だつわけで、真正面に富士山を借景にした袋小路があったら面白いと思う。

東京で過ごした少年時代、銭湯の壁画に富士山が描かれていると、郷里清水にいるようで嬉しかったが、その嘘くさい壁画の富士山よりもっと嘘くさい富士の眺めが本物であるという痛快さが清水にはある。

遮るもの無く富士山を借景にできるのも海辺の町の資源であり、そういう意味で真正面に富士山を見つめ、直進したら富士登山ができそうでいて駿河湾に遮られて行き止まっている三保街道は、最高の袋小路なのかもしれない。

【茂知屋のラーメン】

清水美濃輪町、次郎長生家斜め前の日本蕎麦屋『茂知屋(もちや)』のカレー南蛮が美味しいという噂を聞いた。

そういえば一昨年だったか母と茂知屋に入って親子丼を食べたらかしわ肉の扱いがひどく丁寧で上手でありとても美味しかったので、もしかしわ肉を使ったカレー南蛮ならきっと美味しいだろうと楽しみだった。

暖簾をくぐるまで「(カレー南蛮、カレー南蛮、カレー南蛮……)」と呟いていたのだけれど、玄関脇のサンプルケースにラーメンがあるのに気づき、そうか茂知屋にもラーメンがあるのか!と気づいたら「ラーメン!」と注文していた。

昔ながらという言葉がぴったりのさっぱりしたラーメンだけれど、やっぱり清水で食べる麺の美味しさにははずれがない。

[Data:MINOLTA DiMAGE 7Hi]

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