【海辺へ通う道】

【海辺へ通う道】
 
 

(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2005 年 9 月 21 日の日記再掲

桑田佳祐が書いた『海』「海辺へ通う道」という部分が好きだ。そのフレーズの部分だけが胸がキュンとするほど懐かしい。海に親しんだ者はそういう胸がキュンとするような「海辺へ通う道」の思い出を持っている。

写真上:『三保飛行場』脇から海辺へ通う道。


写真下:清水港内へ陥入していく海は道のように見える。
Data:RICOH Caplio R1 

静岡県清水三保、先端には小型飛行機が離着陸する小さな飛行場がある。

『三保飛行場』脇から海辺へ通う道は南東に延びていて、夏草の中に踏み分けられた道を歩いて海辺に立つと波打ち際は西北西に続く。その波打ち際をかすめて駿河湾は清水港へと左回りの渦を巻いて吸い込まれるように陥入している。『三保飛行場』沖の海は潮の流れが踏み分けた「港へ通う道」になっている。

西北西に竜爪山や山原中継所などお馴染みの清水の山々がそびえ、港内に渦巻き状にカーブしながら入港すれば、興津第一・第二、袖師第一・第二、袖師船溜、江尻船溜に続いて清水市街地が見え日の出埠頭、富士見埠頭へと続く。

勢いよく陥入した海もやがて、かつて海水浴場があった折戸湾に突き当たって果てることになり、「通う道」には必ず果てがある。海辺へ、港へ、そして林へ通う道もいつかは果てるわけで、そういう果てを知っているからこそ、胸のキュンとするような感傷を楽しみに変えて人は生きている。

秋分の日へと続く今週もまた夏の果てを経て冬へと「通う道」である。

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