電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
墓の穴
2016年9月26日
僕の寄り道――墓の穴
不祝儀があって礼服を着るたびに、もう少し痩せなくちゃなあと思う。亡くなった友人の息子が、「久しぶりにはいた黒いズボンのボタンが弾け飛びそうです」と言うので笑った。
故人となった友人は大学時代落研(おちけん)に入っていたそうで、通夜の席にも落研仲間が来ており、素人とはいえ落語語りの連中は明るくていい。遺影はぼくが以前撮影したものになったのだけれど、湯島天神下の「シンスケ」で呑みながら、噺家のように呵呵大笑(かかたいしょう)している彼らしい写真だ。
通夜の読経を終えて参列者のほうに向き直り、ありがたい説教を垂れられる僧侶、その顔や声や語り口までが三遊亭圓歌(さんゆうていえんか)そっくりでおかしくてたまらない。人間顔が似ていれば骨格も似ているので声も似ているものだが、話し方の調子まで似てくるんだなあと思う。
マンション内自宅からの仮出棺まで時間があったので近所を散歩した
通夜の帰り道「あの坊さんは歌奴に似てる」と道連れに話したらピンと来ないらしいので新作「授業中(山のあな)」風に「墓の穴ーなーなー、あなっ、あなたっ!もう寝ましょうよ」の圓歌だと言ってやったら大笑いしていた。故人も喜んだことだろう。
●
コメント ( 2 ) | Trackback ( )
« 月火水木金土... | 姿と言葉の裏表 » |
訃報に接し、故人の奥様と皆でおしゃべりし、その時読んでくださった「 窓からの眺め」を書いたエッセイが心に残っていますとメールでお悔やみを送信したら、「皆様の優しさが心に沁みてきます・・」とお返事をいただきました。
都会のマンションなのに、昔の長屋を思い出したのは落研からの連想でしょうか。いえ、寄り添って暮らしている様子がうかがえたからです。六さんのお人柄のなせるわざです。どうぞお力になってあげてください。
さぞ喜ばれた事と思います。
O先生の誕生パーティのはずがMさんの命日になってしまいました。
供養の意味で今週末に再度予定を立てています。
上京の節はまた当長屋にお立ち寄りください。