電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【自転車預かり所の人々】
(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2006 年 5 月 15 日の日記再掲)
自転車がとても大切だった時代には、自転車泥棒にあわないよう、町に出たら自転車預かり所に自転車を預けて、最寄りの駅から電車に乗ったり、買い物をしたり映画を見たりしたものだった。
もう我が郷土旧清水市内にはJR草薙駅前にある自転車預かり所しか残っていないものと思っていた。
■ JR 草薙駅前にて。
RICOH Caplio GX
■ JR 草薙駅前の自転車預かり所にて。
RICOH Caplio GX
週末の片付け帰省時にふと JR 清水駅前ロータリー近くで立ち止まったらそこにちゃんと自転車預かり所があってびっくりした。何度も前を通っていたのに今まで一度も気づかなかったのである。
■静岡県清水辻1丁目の『青木自転車預り所』
Panasonic DMC-FX8
■静岡県清水辻1丁目の『青木自転車預り所』
RICOH Caplio GX
JR草薙駅前にしろJR清水駅前にしろ、こんな時代にもちゃんと自転車預かり所を利用する人がいることに感心する。
新品の自転車が驚くほど安く買えたり、僕が清水で乗っているような放置自転車をシルバー人材センターの人々が再整備した自転車が格安で手に入る時代だけれど、「(自転車預かり所にお金を払って置かせて貰うという出費によって他人に迷惑をかけないで清清した気分で生きられる)」と考える人たちによって、自転車預かり所は支えられているのではないかと思う。年寄りを介護していて杖をついた義父の手を引いたり、歩行器の押し歩きに寄り添ったり、車椅子に乗せて外出すると、歩道に放置された自転車が泣きたくなるくらいに通行の邪魔なのである。
いったいこの放置自転車の洪水の中からどうやって自分の自転車を見つけて取り出すのだろうと呆れたり、トラックに山のように積まれて撤去される放置自転車を見るたびに、自転車が買ってもらえなくて泣いた少年時代を思い出す。そして自転車預かり所に整然と預けられた自転車を見て、こういうのが当たり前の時代に当たり前に泣いたんだから恥ずかしくなんかない、と清清した気分で納得する。
◉
« 【家出】 | ▼東大の紅花栃... » |
コメント |
コメントはありません。 |
コメントを投稿する |
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません |