【孫引きのゆらぎ】

2020年9月5日

【孫引きのゆらぎ】

平易に書かれた学術的な本を読んでいたら、孫引きという言葉が面白い使われ方をしている。

「孫引き」を辞書で引くと「直接に原典から引くのではなく、他の本に引用された文章をそのまま用いること。」とある。この解説の中から「では『引用』とはなんだろう」とさらに辞書を引くと「人の言葉や文章を、自分の話や文の中に引いて用いること」とある。

「孫引き」を辞書で引いて解説を読み、「では『引用』とはなんだろう」というように「」内に『』を加えてさらに深く意味を掘り下げていく「検索」と「再検索」、英語で「サーチ」と「リサーチ」は、繰り返し辞書を引くことであって孫引きとは言わない。この著者は辞書内のさらなる辞書引きのことを「孫引き」と言っている。16 歳年下の東大教授だけれど、その世代の学者はこういうことも孫引きと言うのだろうか。

平易に書かれているとはいえ、その本も学術的研究を多数援用して書かれているので、諸説の引用には脚注で文献が明示してある。それぞれ原典にあたっているはずだけれど、引用文献内で行われている引用をそのまま自分の本に引用してしまうことを「孫引き」という。誤りがあった場合、それは「孫引き」が原因なので、大学では「孫引きはするな」と教えるのではないか。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )
« 【脳は眠らない】 【花とみつばち】 »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。