電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【夏のメロディ】
2020年6月21日
【夏のメロディ】
人それぞれが持つ個性的な情緒は、それぞれの音程と固有のリズムをあわせた旋律(melody)であり、人という旋律がこの世界を覆う五線紙を投影し、その結果として「時間」というものが生まれ、時間とはそういう意味で楽譜なのだ。ごく荒削りにそう言ってみる。
情緒(emotion)の語源的なりたちは先日メモした経験(experience)と似ており、ラテン語 ēmōtiō、ē- 外へ+ movēre 動く+-tus 過去分詞語尾+-ion = 外へ動かされた状態 → 我を忘れること、となる。
人が我を忘れて自分のメロディを奏でるとき、そうしたくなる最もエモーショナルな季節がそれぞれで違う。ヴィバルディの四季を聴いても情感が最も高まる季節が各々で異なるように、自分の場合は夏に情緒のツボがあるので、歌い疲れた夏の終わりはいつも寂しい。
空いっぱいに夏の楽譜が見える季節になった。しばらくは絶頂に向かってカタパルト上を夏好きたちが滑走する。『夏への扉』を書いた R・ハインラインの SF では、カタパルトを使って宇宙船を虚空に向け高速射出していた。音楽にもまた情感のカタパルトのようなものがある。
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