【わするなぐさ】

2020年7月27日

【わするなぐさ】

「忘れる」は自動詞の下一段活用、「忘る」は他動詞の四段活用。何をどうしようとしていたかすら思い出せない自動詞的な忘れ方があれば、益体もないことを思い出さないようにしたいという目的を持った他動詞的な忘れ方もあって、辞書を引くとちゃんとそう分類されている。

「忘らむて野行き山行きわれ来れどわが父母は忘れせぬかも」

万葉集の防人歌(さきもりのうた)にこうあった。何とか忘れようと努力しながら、野をこえ山をこえ私はやって来たけれど、どうしてもわが父母のことは忘れられないという切ない思いがうたわれている。

「忘らむて」の「忘ら」は他動詞「忘る」の四段活用未然形であり、勿忘草の「わするなぐさ」という読み方は、「わすれなぐさ」よりすこし味わい深い。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )
« 【縁読】 【カンナとベ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。