電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【角丸派のいま】
【角丸派のいま】


(『電脳六義園通信所』アーカイブに加筆訂正した 2004 年 9 月 13 日の日記再掲)
清水のきんつばは丸い。
清水のきんつばが丸いと教えると、普通きんつばは四角いもので、清水のそれは異端であっていわば「丸きんつば」だなどと笑われることが多い。広辞苑第五版には、
きんつば‐やき【金鍔焼】
水でこねた小麦粉を薄くのばして小豆餡(あずきあん)を包み、刀の鍔のように円く平たくし、油をひいた金属板の上で焼いた菓子。文化・文政( 1804~1830 )の頃江戸で流行。今は、四角く切った餡を、小麦粉を薄く溶いた液につけ、平鍋で焼く。きんつば。
とあり、そもそも丸いのが普通だったようなのだけれど、四角いきんつばが普通だと主張する人が多くてびっくりする。
スーパーマーケットのパンや総菜売り場の近くにはパック入りの和菓子などが売られていることが多く、大手製パンメーカー製でなければ地元の和菓子屋が納品しているはずだと思いつき、ご先祖の墓参りついでに通りかかった北街道沿いの農協ストアを覗いたらやっぱりきんつばが売られていて見事に丸かった。
ひょっとすると清水の正統派和菓子店の中には丸いきんつばをきんつばとして商っている店があるのかもしれないので、帰省のたびにシラミつぶししてみようかと思い、まず手始めに実家に最も近い入江商店街、旧東海道沿いにある老舗和菓子店『竹翁堂』さんを覗いたら売られているのは四角いきんつばだった。
だが、ちゃんと「角きんつば」と書いてあるのが嬉しい。
普通きんつばは丸いものだったのであり、全国的に普及した四角いきんつばこそ異端であって、いわば「角きんつば」とでも呼ぶべきものなのだと『竹翁堂』さんは教えている……ような気がする。
写真大上:農協で売られていたきんつば。この製造メーカーの草小饅頭も美味しかった。
写真大下:竹翁堂さんの角きんつば。第24回くまもと菓子博2002金賞受賞。
写真下:いちろんさんのでっころぼう、その右隣が竹翁堂。「サッカー必勝最中」と書かれている。
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