【ことばの採集帳】

【ことばの採集帳】

文字を読んでいると、ことばの世界の枠が壊れて入ってきて、混ざり合ったところに化学反応のようなものが起こることがある。自分にことばへの反応があったのは「なぜだろう」と考える前に、衝動的なメモをとる習慣をつけて数ヶ月経った。そういうメモをあとで読み返してみると、やはりこころが振動するのでおもしろい。

今朝の衝動的抜き書き。

「カナダで暮らしているころ、大停電に見舞われたことがあった。次の日の新聞に、植物(天井からつるす盆栽)があるかぎり、私は淋しいことはありません、という老女の感想があった。」(鶴見俊輔)

「〜があるかぎり、私は淋しいことはありません」というこころの持ち方に、ひどくひかれるところがあるのだろう。

抜き書き帳をつくるようになる前の読書で、京都の高名な僧の遺品として「大切にしていた石」が小箱に入って残っているという話を読んで感心した。人は植物の中にも石ころの中にもこころの持ち方で入ってしまう。その僧はどこの誰だったか思いだそうとしてもメモがないのでわからない。

子どもの頃からいつもポケットに入れていた石があって、受験で上京するときも右ポケットにあった。何があってもその石さえあればなんとかなる気がする魔法の石だったのだけれど、大学の夏季休暇で帰省したとき、夜の清水港岸壁から遠くに投げたのでもう戻らない。

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