巨大照準器

|2013年1月12日|

 

 郷里静岡県清水の友だちからメールが来て、住所を書き間違えたので年賀状が戻ってきてしまったという。戻った年賀状の写真が添付されていたので見たら、部屋番号の「4」を「8」と書き間違えただけで届かなかったらしい。同じ階なので玄関脇に並んだ郵便箱も4つ隣であり、それくらい見つけて届けてくれてもいいのにと思う。的の中心を矢は外したけれど、すぐ横に図星は見えていたはずなのだ。

   ***

 配達不能で戻ったハガキと一緒に自宅から写した富士山の写真が添えられていて手前に浜石岳らしき山がが写っていた。浜石岳は清水で生まれ育った子どもたちが遠足などで登る眺望の良い手軽な山だが、小学生時代を東京で過ごしたので登ったことがない。浜石岳にいちど登って見たいと思っているが、実は清水で一番登って見たい山は他にあって標高836.2mの高山だ。
 静岡鉄道桜橋駅近くにある文殊稲荷神社は、拝殿から参道と鳥居をつなぐと照準がぴったり高山に合っている。文殊稲荷神社なのだから西にある龍爪の双子山、文殊岳に合っていてもよさそうなのになぜか高山に合っている。
 この文殊稲荷神社を作ったのは武田の陰陽師だと言われている。入江あたりは甲斐の人たちがたくさん住んでいた。文殊稲荷神社の拝殿から鳥居に向かって鏡面状の物で光を反射させれば高山山頂から見えるはずで、高山は武田の家来が常駐したという駿河への侵略路樽峠へ、太平洋岸の情勢を光通信するための中継点だったのではないかと勝手に想像している。神社は巨大照準器であると思って目と足と地図で確かめると建立の意図がわかることが多い。


 誰か地元で高山ハイキングをネット記事にしている人はいないかと思ったらちゃんとおられた(吉原から高山)。添えられた写真を見たが、日本の里山は人の手入れが絶えて木々が生い茂りすぎ、昔の眺望を得ることが難しそうに見える。山は平地からはよく見えるけれど、山側に身を置いてみると、ちっぽけな人間では往事の眺望など得られないのかもしれないなぁと思うと登山欲が萎える。
 だが人の登山欲は萎えても情報中継点としての山の機能はまだかくしゃくたるものがあるようで、高山は三角点であると同時に、美しい姿をぶちこわして高圧送電線中継用の巨大鉄塔が建てられている。

コメント ( 2 ) | Trackback ( )
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コメント
 
 
 
高山登山 (ブラジルのラガーマン)
2013-01-12 11:38:03
大変ご無沙汰しています。
庵原の自治会では毎年高山登山をやっていました。
諸般の事情で今年から庵原の高山のウォーキングに変わりましたが・・
こちらも景色は富士山、駿河湾、新東名、トレセン、球場となかなかですよ
 
 
 
庵原の高山 ()
2013-01-12 12:01:58
お久しぶりです。
「庵原の高山」ってどこだろうと検索したら
商工会庵原支所「庵原百景」のページがあり
http://ihara.ss-shokokai.com/100kei.html
なんと2007年に他界された庵原の友人と栗きんとんさんと三人で
この場所に座ってお茶を飲んだのを思い出しました。
絶景ですよね。
そうか、あそこも高山なんですね。
 
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