電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
床屋と茶摘み
|2013年1月11日|
義父と一緒に通った近所の床屋さんが廃業されたので新しい床屋に行ってみたのがちょうど一ヶ月前になる。また髪が伸びたので今年初めての散髪に出かけた。
床屋というのは店ごとに作法が違っていて面白い。前の床屋はまず髪に霧吹きで霧を吹いた。ちょうど山の斜面の茶畑に霧がおりたような状態にしてからおもむろに刈り始めるのだけれど、新しい床屋ではシャワーの雨を降らせて山ごと洗い、ドライヤーの日差しを当てて湯気が立ち上る雨上がり状態にしてから刈り始める。
目を閉じて耳を澄ますと、同じハサミを使っての茶刈りでも音色やリズムにはっきり違いがあるのが面白い。新しい床屋では刈り終えた茶の樹勢を整えるのに時間をかけるようで、切り終えた茶葉も細かいだろうなと思う。
顔そりの剃刀を顔に当てるやり方も違い、前者が枝まで深く剪定するのに対し、後者は表面をさっと撫でるように刈る。前者は剃刀負けした皮膚に養生用クリームを塗って仕上げに天花粉をはたくが、後者はクレンジングクリームのようなものを塗って毛穴掃除やマッサージをして丹念に土壌の手入れをする。
思えば前者の床屋と後者では親子ほど歳の開きがあり、作法の違いは理容技術を学んだ時代の違いなのだろうなと思う。看板に1930(昭和5)年創業とあるので、
「三代目?」
と聞いたら、
「はい、おじいちゃんが始めて、今はお父さんと僕がやってます」
とのことだった。新しい床屋では三代目が店を継ぎ、廃業された店の息子さんは理容師修行を経て犬のトリマーになったと聞いた。
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先日、表から中がよく見える美容院を何気なくのぞいたところ、なんとお客は全員が男性でした。
時代が変わったことを実感させられました。
でも美容院へ入る勇気はまだちょいとありません。
このようにして時代に取り残されるのでしょう(笑)
でも最近の美容院前には「スキンヘッドもできます!」とか書いてあるんですよね。昔は顔そりをして貰いたいから床屋へ行くというおばあさんも多かったんだけど。