【勧請と遥拝】

2020年12月21日

【勧請と遥拝】

四半世紀のうちにビルが建て込み、仕事場から見える山並みの眺望も絶滅に近い。今では富士山の先っぽがほんのちょっと西に見え、ビルの向こうに目を凝らすと、かすかに奥多摩の山々が見えるだけになった。

そのうちのひとつが標高 929m の御岳山(みたけさん)らしい。武蔵御岳山とも呼ばれ、古くから山岳信仰の対象となっていて、山上に武蔵御嶽神社が建立されている。

都区内の御嶽神社

今もビルの隙間からしぶとく顔をのぞかせているけれど、江戸時代は市中からよく見えたからこそ山岳信仰の山として人々を惹きつけたのだろう。都区内の御嶽神社を検索するとけっこうな数があり、全国各地の熊野神社がそうであるように御嶽神社に行けない人々の遥拝所的性格を持っていたのかもしれない。合掌(がっしょう)と礼拝(らいはい)のように、勧請(かんじょう)と遥拝(ようはい)はセットになっている。

荒川区にある富士山遥拝所

郷里静岡市内の神社を歩くと、明らかに山岳信仰の遥拝所的な配置になっている境内をもつものが多く、神社縁起にちゃんとそう記されているものもある。そういう神社は社殿から鳥居越しに対象の山が見える。

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