【自動音声と酸欠】

【自動音声と酸欠】

NHK のニュースを見ていると「ここからは、AI による自動音声でお伝えします」と前置きして機械による自動読み上げになる。不自然にならないよう工夫と改良が加えられているようでとてもよくできている。

ただし聞いていると、ときどき息苦しくなることがあり、どうも生身の人間ならあり得る微妙な息継ぎがないからのように思う。文頭から句点までのワンセンテンスが長かったり、文節の構成要素が酸素不足を感じさせる一気呵成な組み合わせになったとき、聞いている方が苦しくなって息継ぎがしたくなるのだろう。

そう思ってふと気づいたのだけれど、読んでいるとあくびが出て止まらなくなる著者がいる。書かれていることが難しくて脳が悲鳴を上げているのだろうと思っていたのだけれど、どうやら内容の問題ではなさそうだ。そういう本を「ここからは、AI による自動音声でお読みします」と言って読み上げさせたら、脳が酸欠で悲鳴をあげるだろう。

同じ本を読んだ編集者が「この人は文章が下手だね」と言う。「下手なんじゃなくて形而上のことを言葉にして書こうと苦心するとこういう文章になっちゃうんでしょう」と言って擁護したけれど、生身の人間が息継ぎしながら読める自然な文章ではなくなっている。

文字の読み書きは身体との共同作業だ。読んでも読んでもあくびの出ない文章を書く著者の本は、読んでいると自然に呼吸が整っている……という、あくびの原因酸欠説である。

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道路に面した軒下で毎年カラーが咲く場所を近所で2箇所知っている。手をかけている様子もなく地植えにしたまま越冬させ続けているように見える。この辺りはサトイモ科植物の生育に適した気候なのだろう。

2024年4月25日 文京区千石1丁目

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NEW
20 音オルガニート

20 音オルガニートでブラームスの子もりうた Wiegenlied
作曲/J.ブラームス

20 音オルガニートで遥かな友に Harukana Tomoni
作詞・作曲/磯部淑

20 音オルガニートで僧院の庭 Souin no niwa
ボヘミア民謡のメロディを原曲とする日本の古い歌曲。原題・原曲不明。
チェコ民謡 Ej padá, padá rosička か?

を公開。

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2024年4月号(通巻17号)まで公開中

 

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