電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
◉開高健と花屋食堂
2018年7月12日
僕の寄り道――◉開高健と花屋食堂
岩槻街道沿いにある旧古河庭園前を通ったら北区名誉区民『ドナルド・キーンのまなざし ー 宮澤正明写真展 ー』が開催されている。
かつて豊島氏居城があった平塚神社脇の蝉坂を下り、学生時代にはまだなかった上中里駅脇の跨線歩道橋を渡って線路北側に降りると花屋食堂がある。この細道は明治初期の地図にもあり、中世まで遡れば梶原堀之内から平塚城を経由して鎌倉に通じる古道だった。食堂の向かいが中央護助会で、開高健のルポルタージュ『ずばり東京』に登場する。若き日の開高健がこの場所に降り立ったのは初出が「昭和39年9月18日『週刊朝日』69巻40号」とあるのでオリンピック直前ということになる。
花屋食堂のご主人が
「カメラは商売ですか」
と聞くので
「とんでもない、ただの散歩の友です」
と答え、
「むかし開高健が向かいの中央護助会を取材に来ましたよね」
と聞くと
「いまでも黒い服を着た年寄りが大勢来てびっくりします」
と言う。ちょっと話がずれたので、この食堂はいつ頃からあるのかと聞くと、やはり東京オリンピック前後の頃かららしい。
猛暑の古道に出たらご主人が追いかけてこられて
「このかんかん照りに帽子を忘れちゃいけません」
と忘れ物を手渡された。(2018/07/11)
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