電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【聴診器の先】
【聴診器の先】
未明に目が覚めたので読みかけの阿部昭を開いたらジュール・ルナール(Jules Renard、1864 - 1910)の日記の話が出てきたので、読んでみたいと思い調べたらつきあえる分量ではない。
ルナールは『にんじん』が有名だけれど、かわりに岸田國士(きしだくにお)訳の『博物誌』を読んでみようと検索したら、なんと青空文庫のおかげで無料で読めるようになっていた。ありがたい話である。
断念した日記の方は、以下阿部昭からの孫引き。
昨日、ファンテク〔長男の愛称、医師〕が私を聴診した。彼が私の背中へあつちこつち耳を当てるとき、私たちは気違ひのやうに笑ひこけた。彼は二度も三度も、初めからやり直さなければならなかつた。肺に異状なし。心臓が膨れすぎてゐる。弁膜に疾駆音が聞えるさうだ。そいつが私の笑ひを途切らす。息子が父親に死の宣告を下してもいいのか?
死の一と月半ほど前に書かれたこのくだりで、ルナールの笑いは消える。(阿部昭『父たちの肖像』)
コロナが始まってから毎月ではなく隔月で血圧の薬を貰うため診療所通いをしている。かかりつけの老医師は初診の際に「心臓がちょっと大きいのが気になるね」と言っていた。
2023/08/10 本駒込
毎回、血圧を測ったあと聴診器をあてられるのがくすぐったい。聴いているふりをしているだけで、ほんとうはなにも聴いてないんではなかろうかといつも思う。先日はめずらしく
「あなたはまだ若いから元気でいいけど、俺みたいな年寄りはこう暑いとヘトヘトだよ」
と弱音を吐きながら聴診器をあて終え
「はい、いいですよ。肺の音もきれいだし申し分なし」
と言った。
***
2:22
脳卒中後に人格が変化することがあるんだろうなと、まわりの人たちを見て思っていたのだけれどやはりそうらしい。
2:29
前頭葉の損傷だと心配事が少なくなって性格が明るくなったという事例もあるらしい。そういう人も知っている。
2:49
ルナールの『にんじん』岸田國士訳も青空文庫に収録されていた。
2:51
「しゃこ」といえば寿司ネタしか知らないけれど難しい字を書く鷓鴣(しゃこ) が『にんじん』にでてきた。欧州にいるキジ科のコジュケイに似た鳥らしい。
NEW
20 音オルガニートで
『わらべうた ほたる来い Hotaru Koi』
『唱歌 ほたる Hotaru』
六角精児バンド『ディーゼル diesel 』
を公開。
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一般閲覧可能
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