【クラパム・コンモン】

2020年4月24日

【クラパム・コンモン】

漱石の「自転車日記」を読んでいたら「クラパム・コンモン」という言葉が出てきて、なんだろうと調べたら英国留学中の漱石が下宿していたロンドン郊外の町だ。今風に書けばクラパム・コモンで、コモンは経済学でいうコモンズの悲劇(Tragedy of the Commons)のコモン、かつて共有地だった場所なのだろう。

最近読んだ本にコモンズの悲劇が出てきた。何の本だっけとメモを見たら「コモンズ( 共有地)の悲劇とは、多数者で利用される共有資源が乱用によって枯渇してしまうという経済学の法則である」という抜き書きがあり、『抗生物質と人間-マイクロバイオームの危機』(山本太郎、岩波新書)に出てきたのだった。

どういう文脈で出てきたかというと、細胞壁や細胞膜を欠くがゆえに生物と無生物のあいだを彷徨う存在であるウイルスに基本的に抗生物質は効かない。効かない抗生物質の濫用が止まない理由と、耐性菌という個の利益・不利益を超えた人類の不利益出現に関して述べられる箇所にある。

ウイルスは生物か無生物かという定義、生物ならなんのために生きているのかという子どもの問い、今朝も山中伸弥教授が言っていたウイルスとの戦いではなく共存という提言、どれも言葉で突き詰めると語り得ないところに突き当たる難問である。コモンとは何か。

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