【犬と嘘】

【犬と嘘】

かつてわが家にいた小型犬は、眼の前に食べ物を置き、「お座り」と言って「お座り」をさせ、「待て」と言って「待て」をさせ、いつまでも「よし」を言わずに焦(じ)らすと、待ちきれずにヘナヘナと体勢が崩れて「伏せ」になってしまう。

「伏せ」をした体が勝手に動いて少しずつ食べ物にいざり寄っていくので、「待てだよ!」と言うと、食べ物から目をそらせて見ないようにし、自動的に動いてしまう体をなんとか自分で抑え込む努力をしていた。

2023/10/18 文京区立千石図書館にて

 

「動物は嘘をつかない、というか嘘をつくことができない」
と書かれた本を読みながら、いや動物は自分自身を欺く知恵を持っている、と思う。彼は顔を背けて食べ物を自分に見せないことで、自分の体の自動性を抑えていた。

2023/10/18 文京区立千石図書館にて

人間だって他者を欺くより、勝手に反応してしまう自分自身を欺くことこそが、実は高度な「本当の嘘」なのではないか、そんなことをふと思った。


NEW
20 音オルガニートで

20 音オルガニートで『野ばらに寄す To A Wild Rose 』
ピアノ小品集『森のスケッチ』より第1曲
作曲/E.マクダウェル

20 音オルガニートで『ローレライ Loreley 』
作曲/F.ビルヒャー

20 音オルガニートで『サリー・ガーデン Down by the Salley Gardens 』
アイルランド民謡(詩/イェイツ編集)

を公開。

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2023年10月号(通巻12号)まで公開中

 

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