ひさし


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郊外にある知人の会社を訪問し、近所で食事をした。
街道沿いの和食のレストランである。
店内はガランとしていたが、少し離れたお座敷の席に、黒っぽいスーツを着た男たちの集団がいた。
その集団と我々だけが、その日のお客であった。

黒い集団の真ん中に座る男性が、お店の女の子に何か言っているのが聞こえてきた。
明らかにその集団のボスであることが、遠くから見てもわかった。
料理の味が濃すぎると文句を言っているらしい。
女の子は何度も「申し訳ありません」と謝っていた。

しかし男性の文句は5分近くも続いた。
その間、周りの同行の男性たちは、一言も喋らない。
ただ無言で座って、ボスの演説を聞いていた。

やがて、その集団が食事を終えて、お座敷から出てきた。
ボスの取り巻きは、体格のいい、ふんぞり返って歩く用心棒タイプの男が2人。
それと貧弱な新人風の若者が2人。
そちらは終始うつむき加減で、弱々しい歩き方であった。

ボスが遅れてお座敷から出てきた。
その姿を見て、びっくりしてしまった。
年齢は60歳代で、白髪の混じった頭。
やはり濃い色のスーツを着ている。

問題はその髪型である。
ひさしのように、ビューンと頭の上から髪の毛が飛び出している。
20センチ近くあるだろうか、生え際の後退したおでこの上から、ひさしのように前に突き出しているのだ。

プレスリーの髪型のつもりなのだろうか・・・
これなら雨が降っても、雨粒が顔には当たらないだろうという大きさである。
しかし髪の毛の量が少ないので、破れた布団からはみ出した綿のように貧弱に見える。
時折風になびいて、そのひさしがユラユラと揺れる。

「おい、おやじ、女房はどうした」
ひさし男は、カウンターの前で立ち止まって、お店の主人に話しかけた。
「へい、奥におります」
「そうか、最近見ないから死んだかと思ったぞ」
「へい、ちゃんと生きております」
それなりに親しいようだが、お店の主人も遠慮しながら話している。

僕と知人は、笑いをこらえるのに必死であった。
あんな髪型の男が、この世に実際に存在すること自体が不思議であった。
まるで漫画である。
読んだことは無いが、ナニワ金融道にでも出てきそうである。
いや、漫画だとしても、あんな髪型のキャラクターを出したら、リアリティが無いと批判されるのではないか。

どうすれば、あの髪型をよしとする、独特のセンスが生まれるのだろう。
外部との接触の少ない閉鎖的な町で、かつ絶対的な権力を持ち、周りの人間は何も言えない・・・
そういう環境にでもいない限り、あの髪型で堂々と生活していくのは難しいだろう。
あれでは都内、少なくとも銀座や新宿は歩けないと思うが、そもそもそういうところには行かないのだろうか・・・

ひさし男は、われわれの座るテーブルの横を通るとき、ちょっと一瞥をくれ、そのまま店外に出て行った。
窓の外を見ると、取り巻きの巨漢の男が、黒い国産セダンのドアを開けて待っている。
ひさし男が乗り込み、2台の黒い車が駐車場から出て行った。

その後、先ほど文句を言われていた配膳の女の子が、食事を運んできた時に聞いてみた。
「さっき変わった髪型のお客さんがいましたね。あれはどなたですか?」
僕がおでこの前に手をひさしのようにかざして聞くと、女の子は苦笑した。
「○○グループの社長さんですよ」

僕は知らなかったが、知人はすぐにわかり、「ああ・・」と納得した顔をした。
地元ではそれなりに有名な会社らしい。
不動産、レジャー施設、パチンコ店・・そういった産業を手がけている企業だという。

あの髪型は、もしかしたら意図的にやっているのではないだろうか。
自分のキャラクターを作り、その役を演じているのだ。
そうでなければ、いくらなんでも不自然すぎる。

それなりの規模の会社であり、多くの社員のトップに立つ人物である。
毎日鏡の前に立ち、時間をかけてひさしを作っているのだろう。
あるいは、案外かつらかもしれない。

お店の主人も顔見知りのようだし、実際今日のようにお客の少ない日にも、社員を連れて食べにきてくれる。
ちゃんと地元にも貢献する名士・・と言えるだろう。
話してみれば、案外なかなかの人物なのではないか・・・そんな風に想像した。
知人に話すと、「そうかなぁ・・」と同意できない顔をした。

事務所に戻って、ネットでその企業を調べてみた。
すると、出るは出るは・・・
あの社長に騙された、詐欺にあった、町の恥だ、ブラック企業だ・・・とにかく悪い評判が山のように出てきた。
よくこんな会社が存続できるというくらい・・・
どうやら僕の想像は間違っていたようだ。
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染め替え


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愛用のオールデンのプレーントゥを染め替えてもらった。
もともとはバーガンディのクロムエクセルだったが、ブラックに変更したのだ。
この靴は大変気に入っていて、同じ色を2足持っていたので、そのうちひとつの色を変えてもらった。

黒いオイルレザーのプレーントゥ・・・
オールデンとしては少し見慣れない外観となった。
染料で染めるので、手入れはいつものクリームが使える。
もっとも革はクロムエクセルであるから、元来艶消し調であるが・・・

染め替えは、ベースの色より明るい色には仕上げられない。
黒に染める分には、もちろん問題は無く、結果も安定している。
他の色と違ってムラも出難く、イメージと違ってしまった・・ということはまずない。

ただクロムエクセルは、曲げた部分に染める前の下地が出る性質がある。
使っているうちに、うっすらバーガンディが出る可能性もあると言われている。

お気に入りの靴なので、すでにかなり使い込んでいて、ご覧のように少々くたびれている。
あまりきれいな写真でなくて申し訳ない。


当初の状態(新品時)


黒く染めた後の状態
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交換


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以前米国より取り寄せたオールデンの7Dのローファーだが、あまりにきつくて、ついに履くのを諦めた。

当初は7EEのローファーを持っていた。
最初に試着した時はこれでいいかと思ったのだが、使っているうちに緩くなって、最後はどうしようもなくなった。
踵が外れてスリッパみたいになってしまうのだ。

ローファーは紐が無いので調整が効かない。
最初にきつめのものを買っておかないと、あとで緩くなってしまう。
そのローファーは人に頼んで処分してもらった。

次に知人のお店で同じオールデンのローファーの7Eを履かせてもらった。
そちらは甲はピッタリなのだが、踵がわずかに緩い。
歩いてみると、踵が少し浮き気味になる。
惜しいところではあるが、恐らく革が伸びてきたらダメだろう・・と思った。

そこで米国から7Dのローファーを取り寄せた。
オークションで安く出ていたのだ。
7EEも7Eもダメなのだから、順番から言って次は7Dである。

ところがこれがきつい。
血流が止まってしまうほどパンパンである。
靴べらで履くと、その靴べらが抜けなくなるほどなのだ。
よくウエストンでローファーを買うと、最初は血まみれになるほどきついものを勧められるというから、これで正解なのかもしれない。

そう思ったが、やはりきつすぎる。
最初は履いてみるかと考えたが、やはり限度を超えているように思う。
これでは足の血が止まってしまう。

しばらく悩んでおろさずにいたが、結局未使用のまま手放すことにした。
ではどうしたか?
実はお店に相談して、7Eと交換してもらった。
先方ももう少し小さいサイズを探しているお客さんがいるそうで、お互いにちょうどよかった。

実はこれとは別に、セバゴの古いローファーを最近入手しており、そちらも当初は踵が緩めであった。
ところがしばらく歩くと、靴底が曲がるようになり、程よく踵が食いつくようになってきた。
靴は使用すると柔軟性が出て曲がるようになるのだ。

そこでオールデンの7Eも、同じ現象が起きるのではないかと期待した。
さてどうなることか。
これでダメだったら、もうローファーは諦める。
そもそもローファーが好きなわけではないのに、何でこんなにこだわらなければならないのか・・・
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ところで・・・


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このブログの連続投稿の記録であるが、実は先月11月の17日で8年を超えている。
だいぶ過ぎてから気付いた。
後になって思い出すくらいだから、自分にとっては、いまやそれほど重要なものではないということだ。
何ていいながらも、毎日ここをアップデイトしなければ、というプレッシャーはあるのだが・・・
歯磨きと同じように、日課になっているとも言えるね(笑)
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忘年会


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昨日書いた通り、今日は高校の同期生の忘年会であった。
2次会まで参加したが、帰りは午前様になった。
しかしたっぷり話が出来て面白かった。
いつも似たメンバーではあるが、様々な業界で活躍している人たちなので、話を聞いていても興味深いし、刺激を受けて楽しい。
来年は少し大きな規模で同期会を開くそうで、今から準備を始めるという。
滅多に会えないメンバーも来ると思われ、今から楽しみである。
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お休み


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本日は愛媛の酔っ払い氏と話をしていたため、こちらはお休み(笑)
明日の夜も忘年会が入っており、帰りは遅くなる予定である。
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疑問 その2


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利益が少ないということは、恐らく仕事としては大きく発展はしないということだろう。
将来についての見通しも、あまり立てられないのではなかろうか。
そんな状況下で、仕事に対する熱意をどこまで維持できるのか・・・

ネットショップの関係者と話していて、時折ふと感じる疑問は、一体この商売がいつまで続けられるのだろう、ということだ。
製造業者の場合は、百年単位で続く老舗もある。
しかしネット通販という仕事は、数年程度の寿命ではないか・・と最初から感じさせるのだ。

実際、ネット通販の黎明期に、業界を席巻したサイトがあった。
ある商社にいた若者が始めた通販サイトで、誰もがネット通販なるものに懐疑的な時代に、いきなり業界の売上げランキングの上位に食い込んだ。
当時は、たいそう売れているらしい、という噂を何度も聞いた。
インターネットなるものは凄い、これからはああいう販売の形態になるのだと・・・
僕はその若者が商社の新入社員の頃に面識があり、意外な形で才能が花開いたものだな・・と思っていた。

ところがそのサイトは、現在でも存続してはいるのだが、いまや見る影も無い状態にまで落ちてしまった。
一時こそ業界を制覇したが、今は「ぱっとしないサイト」のひとつになってしまっている。
代わりに台頭してきた別のサイトが、楽天で日々トップを争い、鼻息の荒い状態になっている。

人間の才能には限界があり、一時は脚光を浴びても、次の時代には適応できない場合が多い。
その人のセンスの限界で、通用する期間が限られてしまう。
だから後から出てきたサイトの多くも、やがては同じように凋落の日を迎えるのではないかと感じる。
時代に合わせてどんどん変化して、しぶとく生き残る者もいるだろうが、ちょっとでも見誤ったらそれまでである。

インターネット自体が、まだそれほど長い歴史を持っていない。
まだまだ流動的で、10年も経てば業界の勢力図が変わるだろう。
昨日書いた会社も、開店から8年目だそうだが、それだけ続けば業界では「老舗」のひとつと言われているようだ。

しかしショップの利益が少ないにもかかわらず、エンドユーザーへの販売価格はそれほど落ちていない。
恐らく仕組みが未成熟のため、中間業者の富の分配が上手くいっていないのだろう。
要は多く取りすぎている会社が、途中に存在するということだ(笑)
まあそれもやがては正しい方向に進み、無駄な会社が淘汰され、それに伴ってネット販売業界の仕組みが洗練されていくのだろう。

現状では、この世界で商売を始めても、長く続けることを目標にするのは難しいように感じる。
もちろんオーナーと話せば、この商売を発展させて次の世代につなげていきたい・・などと語るだろう。
しかしその実、一時お金を稼ぐことが出来ればそれでいい・・とどこかで考えているようにも見える。

大きな波を捉えて、器用に乗りこなすサーファー・・・
しかし波の勢いはいつまでもは続かず、気付くと次の波に乗る者が後ろから迫ってくる。
ついそんな場面を思い浮かべてしまう。
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疑問 その1


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相変わらず街の小売店は駄目だが、ネット通販は伸びている。
販売の主流が本格的にそちらに移行したのだ。
もっとなだらかに移行すると予想していたが、意外にも一気に入れ替わったように感じている。

先日もある中堅のネット通販の会社と、新しく取引が始まった。
郊外にある倉庫に、製品を一車単位で納入する。
トラック一台であるから、それなりの金額である。

そこの社長さんと何度も打ち合わせをして、事務の女性とも会話を交わした。
会社自体は普通のマンションの一室である。
先方の会社の全貌が見えないので、社員が何人いるのか聞いてみた。

「私と事務員とデザイナーの3人です」
3人・・・
これだけの数量の商品を販売して、社員はたった3人・・・

他のネット通販会社を見ても、大体そんな感じである。
商品の扱い量から言って、社員は驚くほど少ない。

街の小売店では、ウチの製品が一日に一個売れれば、まあまあの規模の得意先といえる。
もちろん他にもいろいろな製品を販売しているわけだが、大体そのくらいのペースで売れてくれれば、実店舗を維持しながら、店員数名が食べていける。
ところがネット通販会社では、1日に数個から10数個の商品を販売するにもかかわらず、携わる人員はごく少ない。

問題は、だからといって、大きな利益を上げているわけではないということだ。
社員の給料が特別いいわけでもない。
商品の代金から、楽天などのネット市場に支払う手数料、運送料などを引くと、お店の取り分は非常に少ない。
しかもネットでは高級品はなかなか出ないので、売れ筋は安価な商品に集中し、利益はさらに少なくなる。

逆に言うと、これだけの商品を売りさばいても、3人しか食べていけないということだ。
一体お金はどこに消えてしまうのだろう・・・
こんなに効率の悪いやり方が、本当に正しいと言えるのだろうか?
ネット通販は、かえって経済を悪くしている、ということは無いだろうか。
そんな疑問を感じている。
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凍結


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今朝、今シーズン初めて、車のウインドウが凍結した。
凍結といっても、薄く氷が張っただけであるが・・・
最初は曇っているのかと思い、ワイパーを動かしたが、スカッと氷の表面を滑って、窓は白いままであった。

デフォッガーをオンにして、エアコンの風を送った。
数秒で効果が出て、再度ワイーパーを動かしたら、氷はあっさり取れた。
外気温計は4度を指していたが、明け方頃はもう少し低かったのだろう。
タイヤを交換しておいてよかった。



カナダ軍の士官用サービスシューズ。
製造はH.H.ブラウン社。
1994年製。
サイズはUS8D。

珍しいサービスシューズのストレートチップである。
それもカナダ軍の士官用である。
軍の正装用の靴であるから、ストレートチップであることは、理には適っている。
しかし普段店頭で見かけるサービスシューズは、ほとんど外羽根式プレーントゥである。

西宮のお店で見つた時、珍しいのですぐに手にとってみた。
軍用なのでスペックが印字されており、タンの裏側に1994年と書かれている。
それほど古いわけではない。

カナダの靴は、アメリカと比べると少し年代が遅れる、と言われている。
悪い意味ではない。
革の品質の変化に時間差があったようだ。
アメリカではすでに品質が落ちている時代に、カナダではまだ優れた製品が残っていたということだ。



作りは少々荒っぽいが、何といっても革質がいい。
キャップ部分は大きくボテッとしていて、軍用ならではの無骨な雰囲気・・・
これがまた、何ともいえない魅力を放っている。

現代の靴とは、いろいろな意味で正反対である。
この靴の持つクラシカルな香りは、今の靴が真似しようとしても、簡単には再現できないものだと思う。
しかもサービスシューズであるから、価格はかなりのお買い得である。

サイズは箱にはUS8Dとなっているが、本体には7-1/2から8と、幅を持って書かれている。
だいたいそのくらいの大きさで、あとは足で合わせろ、ということらしい。
まあ、表記は何だとしても、要は足に合いさえすればいいのだ。

足を入れてみて驚いた。
ドンピシャリである。
靴の形状が、足の形にほぼ一致しているのだ。
今まで様々なストレートチップを試したが、ここまで合うものは初めてかもしれない。
お店の人からも、これはラストの形が合っていますね・・と言われた。
現行のメーカーの紳士靴が合わなくて、軍用がピッタリなんて、皮肉な話である。



実際に外を歩いてみると、曲げた時に左足の親指の付け根が当たることがわかった。
皺が寄る部分が足に食い込んでくる。
それ以外はピッタリである。
親指の付け根が摺れて赤くなるが、痛みは我慢できる範囲なので、そのまま何度か履いている。
そこだけ解決すれば、文句なしのフィッティングである。

靴を磨いてみて驚くのは、やはりアッパーの革質がいいことだ。
きめが細かくて、しっとりとした感触。
以前所有していたスコッチグレインのインペリアルなどに近い革質である。
この時代は、作りの荒っぽい安価な靴が、こんなにいい革を使っていたのかと思うと、何だか複雑な気持ちになる。

この靴には、独特の雰囲気がある。
冠婚葬祭ばかりではなく、普段に履きたくなる。
単に無骨なだけなのだが、それを現代に履いてみると、ちょっとお洒落に見えるから不思議である。
何度か、それはどこの靴か・・と聞かれた。
黒のストレートチップという、極めてポピュラーなデザインにもかかわらず、他の靴とは違う何かを持っているのだろう。

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労災


D810 + AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED

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手の怪我であるが、一応包帯は取れているが、まだ表面に触ると少しヒリヒリする。
むず痒いと言ったほうがいいだろう。
まあ、その程度まで治ってきたということだ。

表面には皮膜が出来て、火傷の痕のように赤みを帯びている。
時々その赤みが強くなり、触ると痛い時がある。
皮膚の下がおかしくなっているのではと配したが、治る時はむず痒くなるのだと、医療関係者の知人から言われた。

困るのは、左手の親指の上側というのは、日常生活の中で強く引っ掻いてしまうことがあるということだ。
普段なら何でもないのだが、傷跡の上からではきつい。
かばんを肩にかける時とか、濡れた雑巾を絞る時とか、シートベルトを留める時とか・・・
まともに擦ってしまい、ウッとなるのだ。

驚いたのは、治療費の支払いである。
最初に怪我をした時、病院から労災扱いにするか聞かれ、そうして欲しいとお願いした。
社員が怪我をした時など、その手続きを僕がやっていたので、労災は慣れたものであった。
病院には最初に1万円ほど治療費を払い、後から書類が整ったところで返却される。

ところが、あなたは労災は使えませんと、後になって言われた。
使えない・・・どういうこと??

聞くと役員には労災は下りないのだそうだ。
いつも社員の労災のためにいろいろ動いているのに、肝心の自分が怪我をした時には使えないとは思わなかった。
そんな事があるのかと、残念というより、ビックリした。
ウチでは役員だって現場で働くから、それなりに危険な作業もやっているのに・・・

仕方なく病院に事情を話して、再計算してもらい、健康保険で支払った。
大した金額ではないのだが、何だかいまひとつ納得できない。
一方会社には僕が怪我した事で、僅かではあるが傷害保険が下りるようだ。
親指の肉を削り取ったことで、痛い思いはしたが、多少は会社に貢献した・・・と言えるのだろうか?
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変化


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雲の多い日曜日。
午後には暗くなり気温も下がった。
カメラを持って出なかったのは正解だった。

僕は床屋、Mrs.COLKIDはコストコへ行った。
コストコはお客がまばらだったという。
それもそのはず、円安で大幅に値上げになってしまったのだ。

確かに、円安の直撃を受ける代表的な企業ではある。
以前は見たことの無いもの、とんでもなく大きいものが並んでいて、目新しいし魅力も感じた。
だがそれらは、予想外に安い、という前提があってのことであった。

今では国産の品目も増えているという。
それでは他のスーパーと変わらない。
以前のように、まとめて自宅に送ってもらおうとしたら、送料まで大幅に上がっていたという。
それでは馬鹿々々しいので、Mrs.COLKIDは仕方なく両手に重い荷物を持って帰ってきた。
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処分


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機械関係の技術者の方が、旧型のBMW 1シリーズに乗ってきた。
最近購入した車だという。
中古ではあるが、1万キロしか走っていない車を安く譲ってもらったらしい。

その前はH社のハイブリッドスポーツカーに乗っていたが、買ってすぐに後ろから軽自動車に追突されてしまった。
軽自動車のほうは大したこと無かったのに、H社の車は大きく潰れて、心臓部のバッテリーがやられた。
修理費用が百数十万円かかるというので、そのまま廃車にしたという。

新しく買った1シリーズを運転して、はるばる大阪からやってきた。
営業や修理で日本中を回るのだ。
あまり走っていない車であったが、この分だと走行距離はどんどん延びるだろう(笑)

初めてBMWのオーナーになったので、僕の車にも興味を示し、近寄ってさかんに見ている。
これから雪の降る季節なので、雪用のタイヤを買いたいという。
新潟などの得意先も回らなければならないので、スタッドレスタイヤは必需品なのだ。
しかし値段が張るので悩んでいるという。

それはちょうどいい!
僕のスタッドレスタイヤを、ホイールごとあげましょう、と提案した。
突然の提案に、呆気にとられていた(笑)

実は旧型で使っていたスタッドレスタイヤが、そのまま倉庫に眠っていたのだ。
新しい車に買い換えると、大抵旧型のタイヤは付かない。
貰い手も無く、倉庫に置いたまま邪魔者になっていた。
どこかに旧型1シリーズに乗っている人がいないか、ずっと探していたのだ。

旧型1シリーズから、BMWはランフラットタイヤ装着を前提とした設計になった。
パンクしても80キロ以下の速度でなら走行可能なタイヤである。
スペアタイヤを積むスペースが必要がなくなるので、リアサスペンションの設計の自由度が増し、無駄なタイヤを製造しない分エコにも適う。

ただしリムの形状が特殊なため、タイヤはもちろんだが、ホイールも専用のものが必要になる。
BMWの純正ホイールは非常に高価で、後から購入する雪用のタイヤをどうするかが、オーナーの共通した悩みとなっていた。
そんな中、正規代理店のひとつが、BMWの各シリーズ専用に設計した、ランフラットタイヤ用オリジナルホイールを開発した。
確か実売価格が1本2万円程度という安さで売り出し、多くの人が飛びついた。
まさに痒いところに手の届く製品であったのだ。

倉庫に置いてあるのは、その安価なホイールとBSのスタッドレスの組み合わせである。
ホイールのデザインは、今見ても決して安っぽくはなく、中央部分にはBMWのエンブレムを純正から付け替えることも出来る。
旧型1シリーズ専用設計なので、ハンドリングへの影響もまったくない。
車を買い替えてから、何年かそのままになっていて、ヤフオクで売却か廃棄処分するしかないと思っていた。
貰い手が見つかって本当によかった。

その技術者の方は、仕事があるので、そのまま次の得意先に向かった。
タイヤは会社の方に送ることになった。
僕はその日のうちにトラックで倉庫からタイヤを会社まで運んだ。

今日はブレーキの粉で汚れていたホイールを水洗いした。
来週梱包して発送する予定。
久しぶりにひと汗かいた

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革質


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現行のレッドウイングのブーツは、革質がいまいちである。
これは70年代、80年代のブーツを買ってみると、つくづく感じることだ。
その頃の同社の製品のほうが、はるかに革質がいい。

確か同社は革のタンナーでもあるのに、どういうことだろうか、とは思う。
しかし、これは現代の革全般に言えることで、他社の製品も同様に品質が落ちている。
また古い製品でも、たとえば90年代のものは70年代より落ちるとか、時代とともに悪くなっているのがわかる。

原因はいろいろ言われているが、皮をとる牛自体が、どうやら当時とは違うらしい。
自然の環境で育った牛と、成長促進剤で短期間で大きくした牛の違いだという。
確かに人間だって、そんな育て方をされたら、肌質はボロボロになるだろう。
食用として育てられているのだから、恐ろしい話ではある。

現在レッドウイングを何足か持っているが、現行品は全般に革質がよくない。
アメ横で買ったB級品ばかりだが、それが理由ではないだろう(笑)
あるお店では、この程度の革質のブーツに憧れる今の若者はかわいそうだ、とまで言っていた。
恐らく本物を見分ける目が出来ないのではないかという。
それほど差があるのである。

ところで手持ちのレッドウイングであるが、この際現行品はすべて仕事用に降ろすことにした。
革質のいい古いレッドウイングだけ自宅に残し、現行のレッドウイングはすべて会社に持っていった。
仕事用と割り切り、ガンガン使ってやろう、ということだ。
手入れもあまりしないで、少々の傷など気にせずに、ハードに使ってやるのだ。

その方が、ワークブーツ本来の使い方に合っている、ともいえる。
かえって「実用品」としての本領を発揮するかもしれない。
・・・と思い、会社のロッカーの前に並べ始めたら、会社に靴ばかり持ってこないでくれと怒られた。
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接着剤


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行きつけの靴屋さんで、靴の修理をする職人さんに、先日の指の怪我のことを話した。
実はその職人さんというのは女性なのだが、顔色ひとつ変えずに聞いている。
怪我に関しては、それほど驚きはしないようだ。
指の傷跡を見せると、削げて取れた部分はどうしたのかと聞かれた。

考えてみれば、靴作りに関連した作業は、かなり怪我の危険性が高い。
金槌で強く打ったり、グラインダーをかけたり、ミシンをかけたり・・・
ちょっと油断すれば、大きな怪我に繋がる作業ばかりだ。
怪我は日常的なもので、もう慣れっこのようだ。

例のスプレーのことを話すと、やはり興味がある様子だった。
怪我の多い職場では、治療に関する情報は重要である。
整形外科の分野の発展は、直接自分に関係した話なのだ。

この業界では、大きく切ってしまった場合、傷口を瞬間接着剤でつける人もいるという。
今回の僕のように、ざっくり切って、皮膚の表面が削げてしまうような傷の場合である。
確かに傷口と切れ端が一致して、接着剤でつければ元に戻りそうな状況ではある(笑)

瞬間接着剤はもともと医療用として作られたものだそうで、傷口を接着しても問題は起きないと言われているようだ。
またきれいにつければ、そのまま治ってしまうこともあるという。
(調べてみたら、医療用と一般用とは違うもので、傷には一般の瞬間接着剤は使うべきではないそうだ)

少々無茶なやり方であっても、とりあえず接着剤で傷口をくっつけるのは、その後「仕事を続ける」ためである。
職業である以上、怪我をしたからしばらく休む・・なんてことは言っていられない。
今回の僕のように、指に包帯をぐるぐる巻きつけられては、細かい手作業が必要な仕事には支障が出る。
それに怪我をするのは、自分が悪いのである。

「商品に血がついたら困るので・・・」
と言っていた。
それがプロ根性というものか。
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交換


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寒い日が続き、この分では雪が降りかねないと思い、慌てて冬用タイヤに交換しようとした。
ところが、聞くところによると、先月は史上もっとも暖かい11月だったとか。
どうやら自分がまだ薄着でいたのが、寒く感じた原因のようだ。

もっともタイヤ交換を考えたのは、僕だけではなかった。
行きつけのタイヤ屋さんは予約でいっぱいで、その日はスケジュールに割り込む事はできなかった。
それが昨日やっと交換することが出来た。
多くの人が、何となく雪が降るような予感に襲われたようだ。

これでとりあえずは一安心である。
例によって多少ダイレクト感の薄れたハンドリングになるが、飛ばすわけでも無いので不満は感じない。
乗り心地はむしろ純正よりいいくらいだ。
ガンメタルのランフラット用ホイールで、だいぶ車のイメージが変わる。
昨年外した時に洗わなかったので、薄汚れたままであるが、とりあえず写真を載せておく。

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