便利な箱


FUJIFILM X100V

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320dを毎日のように運転している。
新型コロナの感染拡大が始まる直前に納車された車である。
運転に関する多くの操作が、年々自動化されていくが、今回の車は特にそれを強く感じた。
今では当たり前のように使っているが、恐らく昔乗っていた車に今乗ると、戸惑うことが多いだろう。
運転の操作の中で、無くなってしまったプロセスがいくつかあるのだ。

既に大分前からそうだが、まずキーでドアを開錠することはなくなった。
ポケットやカバンに忍ばせたキーを感知して、車に近付いただけで自動的に鍵が開く。
逆に遠ざかると勝手に施錠されてドアミラーが倒れる。
ドアの鍵の開閉を自分で意識してやることはなくなった。

もちろんエンジンの始動も、ボタンを押すだけである。
当たり前だが、昔みたいにキーを穴に差し込んでスターターを回す必要はない。
キーはただ身につけて持ち歩くだけで、オーナーが来たことを車に知らせるためのものになった。

オートブレーキホールドの機能で、パーキングブレーキも無くなった。
フットブレーキを踏んで停止すれば自動的にかかり、足を離しても車が動くことはなく、アクセルを踏めば即座に解除されて動き出す。
ハンドブレーキのスイッチはあるが、一度も動かしたことは無い。

ライトの点灯も完全に自動である。
安全性を考慮して、昼間も常に点灯する仕様であるが、当然センサーが周囲の明るさを監視していて、暗くなればより光量を増す。
コーナーではイン側の曲がり角を照らして見やすくしてくれる。
ライト類は車の管理下にあり、手動でオンオフすることはなくなった。

ワイパーもオートのモードにすれば、基本的に人間がやる事は無くなる。
雨や汚れを感知して勝手に作動し、動かす速度や頻度もコントロールしてくれる。
ただし現状では、こちらの欲しい動きと必ずしも一致していない。
スタンドなどで店員さんが窓を拭こうとした時に、センサーが反応して、いきなりワイパーが動き出すこともある。
これはいつかプログラムが改良されれば解決する。

自動運転はまだ中途半端な技術であるが、現状でも受ける恩恵は大きい。
最近は高速道路ばかりでなく、一般道でもよく自動運転を使うようになった。
条件が揃っている時、要するに単純で分かりやすい道を走る時に作動させているが、信頼性はそれなりに高い。

アクセルとブレーキを自動でコントロールして、前の車との距離を一定に保ちながら走ってくれる。
のろのろと動く時などは、何も考えずに座っていればよく、非常に楽だ。
まあ万一のことを考えて、前車との距離は多めに取っている。
前の車が停まれば、それに合わせてしっかり停めてはくれるのだが、自分でブレーキを踏むわけではないので、近過ぎるのは精神衛生上好ましくない。

ステアリングの操作にも、一定のコントロールが入る。
道路上のラインをカメラの画像で分析しており、道から逸れそうになるとステアリングを戻そうとする。
軽く手を添えておけば、ある程度自動で走行ラインに沿って走っていくので、すべて自分で操作するよりかなり楽である。
障害物など避けたいこともあるので、最初は勝手にライン通り走るのが邪魔な機能にも思えたが、付き合い方次第であると分かってきた。
こちら側も進化しているのだ。

高速道路上では、アクセル、ブレーキ、ステアリングの制御が、劇的に作業量を軽減してくれる。
軽くステアリングに手を触れているだけで、ほぼ完全自動に近い形で車が走っていく。
のんびりと左側の車線を走れば、緊張することも無く、リラックスした状態で長距離を移動することが出来る。

不思議なことに、自動運転で走ると飛ばす気持ちもなくなる。
どうぞ抜いて行ってください・・となる。
自分で運転するという行為が、原始的な作業に思えてくるのだ。
この機能は安全運転に大いに貢献していると言えるだろう。

こうやって見ると、運転の操作を自動でやる方向にどんどん進んでいるのが分かる。
もちろん人間側がそれに順応できない場合もあるわけで、上記の機能はオフにしたり、コントロールの度合いを細かく変更することも可能である。
しかし目指しているのは完全な自動化で、今後新しい世代の車に乗るたびに、人間が自分の手でやることがさらにいくつか無くなっていくだろう。
やがて車は、家まで迎えに来て目的地まで運んでくれる、便利な箱になっていくであろう。
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