不評


Z9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

大きな画像

現在放映中の朝ドラが非常に不評である。
何でもあまりにも悪評で、視聴者が皆で今日の不満を書き綴るサイトが出来たという。
最初から問題点を指摘するべく見るというのは、新しい視聴の形ではないかとまで言われている。

確かに個人的にも好きになれず、途中で見るのを一度止めたほどである。
ストーリーも古臭いのだが、それ以前に見ていて腹が立つのだ。
主人公の一家がそれぞれ身勝手なことをする人たちで、周りに著しく迷惑をかける。
何度も騙されたり、逆にお金を借りて逃げたりを繰り返し、これは事実上犯罪ではないかと思われることもある。
そのため見ている方は、こいつら馬鹿ではなかろうかと、次第に不愉快になってくる。

ひとつには、前作、さらには前々作の出来がよかったこともある。
前作は3世代に渡るスケールの大きいドラマで、しかも100年近くかけてすべての伏線が回収されるという壮大なストーリーであった。
また前々作は天才的な若手女優を起用し、毎回その演技力に唸らされる、非常に見応えのあるドラマであった。
どちらも作品として優れていて、見るのが楽しみであった。

一方で、それらが旧来の朝ドラの視聴者にも訴えるものがあったか・・と言われると、その点はよく分からない。
特に前々作などは、目だけで心情を表現してみせる主人公の演技に驚かされたものだが、ある高齢者の方から、今回はあまり面白くないから見ない・・という意見を聞き、あれが理解されないのか・・と驚いた。
前作はハリウッド進出まで絡めた映画界を舞台としており、前々作は東北の震災で心に傷を負った少女の復活のストーリーで、どちらもお年寄りにはあまり身近なものとは言えないのかもしれない。
朝の時間帯に放映するドラマであるから、そういう保守的な層の意見も無視するわけにはいかないだろう。

それを前提に考えると、現在放映中の作品は、20年か30年前なら、出来も内容も定番のホームドラマ・・という見方も出来る。
前2作が打ち立てた方向性を、意識的に古典的な方に戻したように見える。
幅広い層の視聴者を満足させる必要があり、対象の年齢層を作品ごとに変えているのかもしれない。

沖縄の一家の姿を描いた現在の作品は、今のところ古臭い内容と、主人公一家の愚かさ加減、都合の良すぎるストーリー展開などが、視聴者の反発を買っているようだ。
次から次に問題を起こすどうしようもない兄と、幼く何も分かっていないのに生意気な妹・・・
皆に散々迷惑をかけるが、多くの人と接していくうちに次第に成長していく・・・(という展開になるのかどうかは、まだ分からないのだが・・・)

お年寄りはそれでいいのかもしれないが、潔癖症気味の若い人たちにはそうはいかないだろう。
世の中こういう人もいるから仕方がない、受け入れてあげないと・・とはならず、こんな人間許せない、排除すべきだ・・となるのが今の風潮である。
作品そのものよりも、視聴者の世代間の感覚の違いが、評価に表れているようにも思う。
ドラマの方は、今後スカッとするような逆転劇が用意されているといいのだが・・・
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )