サイドゴア


Z9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

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スピングルムーヴのSPM-442。
サイドゴア。
カンガルーレザー。
ブラック。
サイズはL。



スピングルムーヴは広島のスニーカーメーカー。
もともとゴム底を専門としている会社だという。
窯に入れて熱と圧力で本体とソールを結合させるという、手間のかかるバルカナイズ製法で作られている。
ソールのゴムの端が上の方まで巻き上がっているのが特徴だ。
自社で生産しているメーカーなので、減ってきたソールの修理にも比較的安価に対応できるようだ。

同社のスニーカーは非常にスタイリッシュで、低くて動物的なデザインが特徴なので一目でそれと分かる。
アッパーにはカンガルーやディアレザーなどが使われており、用意されているカラーも豊富で、革好きにも訴えるものがある。
伝統織物などを素材に使った個性的なモデルも存在しており、発想に自由さが感じられていい。

デパートや靴店で時折見かけるが、デザインに特徴があるので、店頭でも目立つ存在になっている。
以前より気になっていたが、銀座に直営店があると聞き、一度行ったのだが見つからなかった。
建物が古く解体されるために閉店となったそうで、現在は都内では2k540 AKI-OKA ARTISANにある直営店がもっとも在庫が豊富だろう。

今回購入したのはブラックのカンガルーレザーのサイドゴアタイプのもの。
当初は真っ黒いモデル(ブラック/ブラック)を購入する予定であったが、こちらの白いステッチの入ったモデルの方がジーンズにしっくりきた。
真っ黒なモデルはビジネス用としても履けることを意識して作ったそうだが、僕の場合はカジュアルな場面で使用するのでこちらを選んだ。



サイドゴアは、いちいち紐を緩めることなく、履いたり脱いだり出来るので楽である。
しかし固定は側面のゴムの力も絡んでくるので、フィッティングが難しい。
つっかけに足を入れて、脱げないように踵をゴムで押さえる感じに近い。
ただしこの靴のように靴紐のある場合は、その締め具合で微調整をしてバランスを取ることが出来る。

以前日本に入っていないトリッカーズのサイドゴアブーツを、わざわざ海外から取り寄せたことがあった。
モールトンをベースとしたサイドゴアで、凄くカッコよかったのだ。
しかし歩くとゴムが伸びてヒールが置いて行かれるため、その度に盛大に踵が摺れて、酷い靴擦れになり痛い思いをした。
幅の広い僕の足の形も悪いのかもしれないが、あれは設計ミスなんじゃないかと今でも思っている。
そのため僕自身は、サイドゴアには少なからず恐怖心を抱いていた。

今回は久しぶりにもう一度挑戦してみよう・・との思いで、あえてサイドゴアのモデルであるSPM-442を選んだ。
履いてみて分かったのは、このレイアウトには柔らかいカンガルーレザーが非常に合っている、ということだ。
靴を履く時は、舌皮を持ちながら足の先端を入れて、プルストラップをグイと引っ張ってヒールを踵に被せる。
また歩く時も靴がしなやかに曲がって、ヒールが足にくっついてくる必要がある。
そのためソフトな感触のカンガルーレザーであることが生きてくるのだ。

とは言え、やはりサイドゴア独特の履き方というのがあって、最初は少し戸惑った。
緩さを残した中途半端な状態で履くことになるのだが、まあスニーカーは一般的にこういう履き方が主流なのだろう。
僕の場合革靴からきているので、どうしても踵を後部にピシッと着けて、紐を強めに締めて足にしっかり固定したくなってしまう(笑)
しかしサイドゴアの場合はそれではダメで、足がスムースに出し入れ出来るように緩さを残しておかないと、ゴムだけでの脱着が出来ず意味が無くなる。

慣れもあるようで、歩いているうちにだんだんと馴染んでいい感じになってきた。
脱いだり履いたりにも、サイドゴアならではのテクニックがあることも分かってきた。
しなやかに曲がってヒールが踵に付いてくるし、なかなか履き易いスニーカーだと思う。

スピングルムーヴの場合はサイズ展開が特殊で、S、M、L・・といった表記になっており、1センチ刻みの大きさに作られている。
(ただし男女兼用のため、幅広いレンジに対応している)
ロングノーズのため捨て寸を多めに取った設計で、サイズは足の幅を基準に選ぶことになる。
モデルによってラストも異なるようなので、やはりお店で実際に試着して、じっくり選ぶ必要があるスニーカーだと思う。
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