カスタマイズの時代


D850 + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

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ご存知の通り、UNDONEのカスタマイズ時計の魅力にはまり、いくつか注文してみた。
注文画面でいろいろな組み合わせを試すうちに、気に入ったものが出来上がる。
時には偶然出来てしまうこともある。
当然欲しくなる(笑)

何と言っても自分がデザインした時計なのだ。
欲しくならないとしたら、その方がおかしい。
眼前に表示された自分オリジナル時計の画像が猛烈にアピールしてくる。
上手い仕組みだ(笑)

何度も書いているが、これはインターネットの機能を存分に活用した、実に合理的な販売方法だ。
以前より無かったわけではないが、ここにきて急に完成度の高いものがいくつか出てきた。
ZOZOスーツや昨年のオーダーシャツもそうだが、「個々のユーザーの要求に合わせた特注商品をリーズナブルな価格で提供する」というコンセプトが共通している。
この販売方法がこれから定着していくのだろうか。

UNDONEでは、受注すると10日ほどで製品を作り上げ出荷する態勢が出来ている。
この納期を実現するには、まず何よりも販売部門と製造工場が直結している必要がある。
と言うより、製造会社が自ら販売する形が理想であろう。
UNDONEはまさにそれで、中間に入る無駄な業者が排除されていくという、インターネットならではの法則にも合っている。

実はもうひとつ重要な要素がある。
この価格での販売が実現したのは、ユーザーと販売側が直接接触しないで済むことが大きいという。
ユーザーの相談にいちいち店員が対応していたら、人件費で足を出してしまう。

ユーザー自身がモニタの前で悩み、自ら出した結論を打ち込むことで発注する。
製造の現場では、単純にパソコンから打ち出された発注書に基づいて作ればいいだけだ。
ユーザーが自分で仕様を考えることで、実店舗も接客も必要なくなる。
販売のプロセスの一部を省き、作業の割り当てを変えているところがポイントである。

この自由にカスタマイズ出来るという販売方法が、今後は一般に普及していくのであろうか。
ここで問題になるのは、ユーザー側にもそれなりのデザインセンスが要求される、という部分だ。
これはユーザーにとって意外にハードルが高いように思う。

たとえば時計が好きで歴史やデザインに詳しく、こういう時計あればいいのに・・といつも頭に理想を描いている人であるなら、迷うことなくカスタマイズのパーツを選ぶことが出来るだろう。
しかしそんな人が、世の中に一体何人いるであろう。
多くの人は、メーカーが作り上げた完成品の良し悪しはわかっても、いざ自分で選んで作ってみろと言われたら、けっこう戸惑うのではないか。
そのためマニアックな需要は、あるところで頭打ちになるような気がする。

この点は難しいところで、UNDONEでもいくつものサンプルの画像を載せて、ユーザーが自分のデザインをイメージしやすいよう工夫している。
ターゲットは少数の「本格派」ではなく、「軽いカスタマイズ感を求める人たち」になるはずで、そうしないと商売が成り立たない。
そもそもがアンティークや既成時計のデザインをイメージした一種のパロディ的な作品を作り上げるパターンが大半なわけで、あまり重々しく構えても仕方がない。

将来的には、デザイナーが自分の考えたデザインをユーザーに提案したり、ユーザーが自分の作品を発表出来るような場所をメーカーが提供するのも面白いだろう。
数量限定でカスタムパーツを出すのもいい。
まだ始まったばかりであるし、時間とともにより洗練された形態が出来上がっていくだろう。

意外にネット社会というのは、個人に対してクリエイティブな能力を求める傾向があるようだ。
今までのように、もっぱら完成品を受け入れるだけで、自分で創造する力の無い人は、ネット社会では弱者になりかねない。
恐らくユーザーの方も次第に変わっていき、自分が欲しているものを的確に表現する能力を持つようになるだろう。
未来のネット社会は、アートが花開く世界になるかもしれない。
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