クリーンディーゼル


D3 + AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED

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車検に出した120iが返ってきた。
その間、代車で出してもらった118dに数日間乗っていた。
比較的最近出たクリーンディーゼルのモデルである。

そのことを知ったのは、実は後になって調べたからだ。
最初は、dが付くので恐らくディーゼルエンジンなのだろう・・という程度の知識しかなかった。
最近は車に対する興味が失われてしまい、新しい知識がほとんどない。

とは言いながらも、ヨーロッパのディーゼル車には、以前より乗ってみたかった。
次の車はクリーンディーゼルを・・と考えたこともあった。
今回はその性能を体験するいい機会になった。

もう十数年、いやそれ以上前から、ヨーロッパはディーゼル車中心だったし、あちらの知り合いが、自慢のディーゼル車で送り迎えしてくれることもあった。
しかしその後、電気自動車が登場して、燃費面でも環境配慮の面でも、ディーゼルでは対抗するのが難しくなった。
技術的に追いつくまで、ディーゼルはその場を凌ぐための繋ぎの技術になっていたようだ。
今後はヨーロッパ車は電気に移行するというし、ディーゼルは消えていく運命なのだろう。

走り出して感じたのは、意外に静かなことと、低速でのトルクが太いことだ。
言わなければ、同乗者はディーゼルエンジンとは気付かないだろう。
出だしのグイッと加速する領域が特に優れていて、街中ではなかなか運転しやすい。
T字路などで、強引に踏みながら発進すると、キュルキュルとタイヤを鳴らしながら曲がっていく。
加給器も付いているようだが、低速トルクが太いためか、ターボラグはほとんど感じられない。

一方で高回転のエンジンの伸びは物足りなかった。
床まで踏み込んでも、こんなものかな・・という程度の加速しか得られず、少々かったるい。
致命的なのはエンジン音で、加速時にゴーゴーと濁りのある音を発する。
ガソリンエンジンのギューンという高音の混じった爽快なサウンドとは違うものである。
何だかガラガラ声の人と話しているような印象を受けた。

音なんて本質的な問題では無いと思っていたが、実際にはかなり重要な要素であることが分かった。
実用域の走りはまったく問題なく、普通に使う分にはいい車だと思う。
後輪駆動だから、後ろからグイグイと押されるような楽しい走りも味わえる。
しかし劇的なものが無いのだ。
音質という要素が抜けることで、BMWならではの重要な魅力のひとつが欠落してしまった。

今乗っている120iは、4気筒の小排気量エンジンで、それほど音が優れているわけではない。
直列6気筒のような、滑らかで粘るようなサウンドは得られない。
しかしそれでも、ガソリンエンジン特有のよさがあることを、今回ディーゼルエンジンの車に乗ってみて実感した。
僕であったら、やはりガソリンエンジンの車を選ぶだろう。

もちろんそれは「走る快感」を得たいという、自分本位の考え方で選んだ場合である。
すでにそのような自由は許されない時代に入っているし、将来自動運転の時代が来れば、選択する意味さえなくなるかもしれない。
次の1シリーズはFWDになるという噂もあり、そうなると4ドアの小型後輪駆動車という、走る快感を得るための選択肢が失われることになる。
車を楽しむ時代が、いよいよ終焉を迎えようとしているのかもしれない。
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