財布 3


D810 + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

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地下鉄を乗り継いで、ある革グッズのブランドの直営店に行った。
様々な革製品が展示されている。
そのブランドの製品は、先ほどのデパートでも扱っていたのだが、店頭にはほんの数点しか置いていなかった。
しかしさすが直営店で、ここではそれぞれ違う革を用いた十数種類の財布が、ズラッと展示されている。
さらにはパターンオーダーも受け付けてくれるという。

お店の人も当然革好きで、いろいろと話が弾んだ。
ご存知の通り、僕も革製品が大好きではあるが、専門家ではないので業界に詳しいわけではない。
しかし数十年に渡り革製品を購入してきたので、店員さんの世代では知らない知識も持っており、そういう話で盛り上がるのだ。

実はコードバンの財布が壊れてしまい、今修理に預けてきたところだと話した。
どういう製品か聞かれたので、メーカー名など話したところ、その財布は知っていると言う。
数年前に雑誌の特集で記事が載った製品だそうで、某百貨店が企画してイタリアで作らせたものだという。
貴重なホーウィンのシェル・コードバンのウイスキーを使いながら、価格を5万円台という破格値に抑えた製品として話題になったのだそうだ。
通常なら十数万円でおかしくない素材なので、どういう財布なのか興味があったのだという。

残念ながらその財布が使いにくかったので、こちらの製品はどうかと思い、見せてもらいに来たと話した。
似た形状の製品を手に取って見てみると、内部の小銭入れのファスナーと外部のファスナーの間に十分な距離があり、引手が引っかかることはない。
また日本のお札も難なくすっと入る。
さらには、カードホルダーからのカードの取り出しもスムースにできる。
実用上の問題点はすべてクリアされている。

想像ではあるが、何となく話が見えてきた。
あのコードバンの財布は、価格を抑えるために、ぎりぎりのサイズで設計したのではないだろうか。
貴重なウイスキー・コードバンの使用量を少しでも抑えようとしたのだろう。
お札の入るミニマムのサイズにしたが、使い勝手を十分に検証しなかったか、あるいは知っていて目を瞑ったのか、実用上少々問題ありの製品になったのではないだろうか。

そのお店でいろいろ見せてもらったが、結局クロムエクセル製の財布を購入した。
コードバンを勧められたが、雨の中で使うことを考えると、もうコードバンはやめておくと答えた。
クロムエクセルなら雨には強いし、少々ラフな使い方をしても大丈夫・・というか、価格が安いから惜しくない(笑)
コードバンより素材が柔らかいことも、前述の各問題に対して有利である。
聞くとコードバンの製品を散々使って、最終的には結局カーフに戻る人も多いのだそうだ。

翌日デパートから電話が入り、今回は無償で修理してくれることになった。
また僕の指摘した問題点も、メーカーのほうに伝えてくれるという。
まあ、言いがかりのように取られたのではないかと心配していたのだが、とりあえずめでたしである。
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