買い物


D810 + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

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銀座の歩行者天国を行くと、外国人が大勢歩いている。
一見同じ東洋人でも、髪型やファッションセンスで日本人ではないことはわかる。
もっとも、大きな声で話すので、見るまでもなく外国の人だとわかってしまう。

これだけ増えたのは、やはり円安の影響が大きいのだろう。
海外から来ると、日本という国は相当面白いところらしい。
文化も異質ではあるが、その上安全で、買い物が安く出来るとなれば、尚更であろう。

中国の人たちが、大きな声で話すのを見て、顔をしかめる日本人は多い。
しかし一方で、不況の時にお金を落としていってくれるのは、非常にありがたいことでもある。
内心どう思っているかは知らないが、お店としては、海外からのお客さんは大歓迎であろう。

先日、中国からのお客さんを、知人が銀座に買い物に連れて行った。
今や日本での買い物は、彼らが来訪する大きな目的なのだ。
某有名ブランドの建物に入ってみたが、驚いたことに、商品がほとんど置いてない。
聞くと、つい先程観光バスが数台乗り付けて、中国の人たちが根こそぎ買っていってしまったという。

お店に並んだ商品を総ざらいである。
この日の売上げは、一体いくらになるのか・・・
知人たち一行はがっかりして、別のお店に行ったという。

実はこれとそっくりなことを、かつて日本人がやっていた。
外交官の家族として、長年海外で生活してきた年配の女性の知人がいる。
もう何十年も前の話であるが、パリで暮らしている時、行き付けのブランドショップに行ったところ、日本の農協の団体が来ていた。

彼らは棚に置いてあるものを、全部俺が買うのだといって、端から端まで手で押さえ込んでいた。
高級なブランドショップで、まるでワゴンセールに群がるような状態だったという。
品質やデザインはよくわからないが、金ならいくらでもあるので、とにかく全部買ってお土産にするのだ・・ということらしい。
フランス人の店員さんたちは、困惑しながらも、一応笑顔で応対している。

知人は日本人として大変恥ずかしい思いでそれを見ていた。
すると顔見知りの店員さんが、知人に目配せして、こちらに来いと手招きした。
知人がついて行くと、店員さんは別の小部屋に案内してくれた。
「あなたには、ちゃんといいものを、こちらに取っておいたから・・」と言って、その店員さんは知人に商品を出してくれたのだという。

立場が逆になっただけで、今日本で起きていることと何ら変わりは無い。
むしろあの頃の、土地を売ってにわかにお金の入った、横暴な態度の日本人と比べると、階級がはっきりしている中国の人の方がジェントルかもしれない。
もう少し時間が経ち、西側の先進国の生活に慣れてくれば、金に任せて何でも買いまくる・・という行動は治まるだろう。

と思っていたら、早くもその辺の感覚が違ってきたという話を聞いた。
以前のように高いものを全て買いまくるのではなく、じっくり質を見極めて選ぶ傾向が出てきたという。
かつては札束を懐に入れてきて、何でも現金で買っていたが、今は彼らが使う専用のカードがあるそうで、カード決済で購入するようになったらしい。

もっとも、かの国で今までバブルがはじけそうではじけなかった理由は、すべて現金で取引しているからだ、という話を聞いたことがある。
彼らが盛んに日本の土地などを買い漁るのは、自国の通貨の価値が無くなる事を恐れて、とにかく物に換えておきたい、ということがある。
巷で言われるように、そろそろバブル崩壊間際の状況なのかもしれない。
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