コピー戦争


D810 + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

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会社にA社のFAX兼モノクロコピー機と、B社のカラーコピー機が置いてある。
両方維持するのは無駄なので、統合して1台にすることにした。
A社の営業が積極的で、安くなるプランを考えて見積書を持ってきた。

実際に機械に触れてみたいと頼んだところ、車でA社のショールームまで連れて行ってくれた。
そこでオペレーションを見せてもらい、専門家から説明を受けた。
やはり時代は進んでいて、現在使っている機械とは性能が相当違う。

B社のカラーコピー機はリースの途中なので、処分するとなると、残債分を支払わなければならない。
A社の見積書には、その項目も明記されており、その分上乗せされた月々の支払額になってる。
それでも現在2台に支払っている金額よりずっと安い。

ところが、リース会社にリースの残回数を確かめたことが漏れたのか、慌ててB社の営業がやってきた。
たまたま僕が来客中で、仕方なく一度帰ったようだったが、翌日今度は上司と一緒に来た。
どちらもアポなしの一方的来社である。

もちろん用件は、A社の機械に統合して、B社を排除するのをやめてほしいということだ。
しかし、ここまで話が進んでしまってからではもう遅い。
今回はA社にするけれど、その代わり、次回また何かB社の機械を入れるから、それでいいでしょうと言った。
現に会社で使っている数台のパソコンとネットワークは、すべてそのB社の営業が導入したもので、十分B社経由の機械は入っているのだ。

ところが二人とも妙に粘り、帰ろうとしない。
あの機械には思い入れがあるんです。だから考え直してください・・などと、訳のわからないことを言う。
話が全然噛み合わないのだ。

途中からB社の営業が、では本音を言います、と切り出してきた。
実はコピー機の世界というのは特殊で、ライバル会社の製品が入り、自社の製品が無くなる・・というのは、大変なことなのだという。
ライバルの会社を追い出したことで、本社から褒賞のようなものも出るらしい。
逆に追い出された場合は、営業の首がかかってくるという。

それはコピー機に限った話で、代わりにパソコンやプリンターを入れると言っても、駄目なのだそうだ。
コピー機の世界だけ特殊で、ライバル同士で協調することはなく、他社の営業と街ですれ違うだけで火花が散るという。
それにしても、たかがコピー機1台で営業の首が飛ぶなんてことがあるのだろうか。
何だか変な話である。

付き合いというものはあるが、だからといって、それが理由で、この不況の時に金額を多く払うことは出来ない。
そう言うと、B社から新たな提案があった。

A社が新型を導入する際に、引き取り処分する予定になっているB社の旧型機を、引き取るのをやめてもらえないかという。
引き取り処分代金が浮いて、月々の支払額が安くなるはずだから、その安くなった差額と同じ金額で、B社ともリースを組んで、小型のFAX兼カラーコピー機を1台入れるというのだ。
そうすれば、万が一A社の機械が壊れた時の代用機にもなるでしょう、という提案である。

つまりウチの会社が払う額は一緒で、A社とB社の新型が両方入ることになる。
とにかくコピー機と名のつく機械が、ウチの会社に残りさえすればいいということらしい。
何だかおかしな提案ではあるが、ウチが損をするわけではなさそうだ。

仕方なくA社に再度引き取り機無しの場合の見積りを出してもらった。
A社は少しあきれていたが、最初に出した見積書の項目に嘘偽りはないらしく、計算書の項目から旧型機のリース残金を抜いただけの見積書を持ってきた。
当社は、おかしなことはいたしません・・とでも言いたげである。
あるいはライバルの提案しそうなことを心得ていたのかもしれないが(笑)、差額は数千円に過ぎない。

その金額を聞いて、B社が困ってしまった。
こんなに差額が少ないとは思っていなかったようだ。
これでは、小型機を一台入れるといっても、数十万円の機械を数万円で売るのに等しいことになるらしい。
これで決済がおりるのか、会社で相談してみると言って、B社の営業は絶望的な顔で帰っていった。
何だか知らないが、彼らの戦争に巻き込まれてしまった感じである。
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