寒い季節


D810 + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

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今朝は寒かった。
暑い季節の後に、ちゃんと寒い季節が来るのを見ると、少しほっとする。
いろいろあっても、季節が順に巡ることは変わり無く、まだ人類は生きていけるのだと感じるのだ。
とはいえ、急に冷えて少し風邪気味であるが・・・



フローシャイムのインペリアル・クオリティのケンムーア93606。
5アイレット・外羽根式プレーントゥの70年代頃のデッドストック。
フル・レザー・ライニング、ダブル・ソール、ストーム・ウエルト、V-プレート付きのレザー・ヒール。
素材はブラウンのコードバン、サイズは8E。

これぞ古靴の最高峰のひとつであろう。
王者フローシャイムの上級ライン「インペリアル・クオリティ」、しかもコードバンである。
僕の好きなプレーントゥであるところも、ケンムーアとしては珍しい。
古靴の終着点と言えるかもしれない。

ワイズは滅多に見ないEである。
足を入れてみると、あろうことか、ビスポークのようにピタッと収まった。
ビックリするほどピッタリだ。
シワひとつ無いコードバンは、ほとんど試着の痕跡が見られない。
40年間、この日を待ち続けていたかのようだ。



お店から、いいのが入った・・という電話をもらった時、探していたケンムーアのデッドストックがみつかったなと、すぐにピンときた。
しかし、まさかコードバンとは思わなかった。
しかもサイズもドンピシャリである。
僕の足に合うのではないか・・とお店のオーナーが気を利かせて知らせてくれたのだ。

インペリアル・クオリティの場合、デッドストックであるだけで十分有難いので、サイズに関しては、少々合わなくても贅沢は言えない・・とよく話していた。
だが、この靴に関しては、フィッティングまで完璧に近い。
足が綺麗に収まり、羽根もしっかり開く。
本当に、贅沢三昧である(笑)
急なことで、予算的にはちょっと困ったが、古靴の場合待ったなしなので仕方が無い。



アウトソールは、フローシャイムならではの木目プリント。
アウトソールもトップリフトも釘打ちで、ヒールにはV-クリートと呼ばれる三角形の金属プレートが埋め込まれている。
(これがよく滑るらしい・笑)
履いてしまうのが勿体無いほどだ。

オールデンの990が素足で逃げ出しそうだ。
革そのものの品質が違う。
恐らく現在では、これほどの革は作ることが出来ないのであろう。
ハノーバーやネトルトンのデッドストックのコードバンには、ホーウィン社のタグが付くことがある。
ところがフローシャイムでは見られないそうで、ホーウィン社以外の会社で製造された貴重なコードバンかもしれないという。



並べてみると、色はオールデンのカラー8より、かなり明るいのがわかる。
コードバンは当たる光によってコロコロと印象が変わるので、実際に並べてみないと、差がはっきりしない。
(上の写真の奥がオールデンの現行の990、手前がケンムーア93606)
非常に透明感のあるコードバンで、現行の製品とは革のクオリティに差がある。
ムラの少ない素晴らしい革である。

下の写真は、バリーラストの990と並べて上から写したもの。
(ヒールの後端を合わせて置いた)
ともにサイズは8Eであるが、990は僕の足には大きめで、一方ケンムーア93606はピッタリ。
バリーラストがハーフサイズほど大きいことは、周知のことであるが、それよりも形が特殊であることがわかって面白い。
こうして見てみると、オールデンの矯正靴メーカーらしい特徴が、一般向けといわれるバリーラストにも表れているのがわかる。



太陽光が当るとコードバンは豹変する。
オールデンのカラー8が紫がかって見えるのに対し、ケンムーア93606は鮮やかな栗色が強調される。
やはりケンムーアの透明感は圧倒的だ。
実は今回、何箇所かでプロの方から「このコードバンは透明感がすごい」と言われた。
当然ではあるが、持っている本人より、専門家の方が先に価値を見抜く。

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