オーナー


SIGMA DP1 Merrill

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工房が銀座の並木通り沿いに引っ越してから、某時計ベルト店に来店するお客さんは、カラトラバのオーナーが増えたという。
同じ通りに日本を代表する高級時計店があるからだろう。
50人来れば2人くらいはカラトラバだというから面白い。
もっとも皆さん正規ディーラー店で定価で購入し、かのナポレオンと並んで本国の顧客リストに登録されている方たちだ。
誰かのようにガード下の中古店で買った人とは訳が違うのであるが・・・(笑)

それにしても、わざわざ純正以外のストラップを求め、しかも自分の好みでデザインを決めるほどのこだわりを持つのだから、かなりの時計好きといえるだろう。
超高級車にジャージ・・みたいな変な格好で乗り付けて、一番高い時計を買っていく人とは、多分違う人種だ。
そういう人には好感が持てる。



今日の時計ベルト。
カラトラバ3923に、ジャン・ルソーのルイジアナ・アリゲータ・セミマットのブラックをつけた。

ドレス・ウォッチとしての決定版の組み合わせを目指し、ジャン・ルソーにオーダーしたベルト。
白い文字盤に黒い革ベルト・・という、正式なドレス・ウォッチの定義から外れないよう、ストイックに仕様を決定した。
ちょっと色気を出すと、すぐに外れてしまうのだ(笑)

革はアリゲータの腹部分の竹斑から選び、先端部に行くにつれ模様が細かくなる形にしてもらった。
なるべく竹の節のラインが水平になるようにしたかったが、この部位ではどうしても斜めになる。
ベルトの厚みは3.5mmとわずかに膨らみを与え、極端に薄くするのは避けた。
ステッチはもちろん黒糸の手縫いで、革の色に同化させ、カジュアルな雰囲気が出ないようにする。
裏材にも同社自慢のアンチスエット材のブラックを選び、全体を黒で統一し色を一切廃した。

サイズは17-14で、ベルト先端部を尖らせるデザインにしてもらった。
遊革は無くし、固定された定革の2連にした。(これは僕のお気に入りのパターン)
バックル穴は3個のみにして、自分専用の特別仕様であることを強調する。
コバは例によってカット仕上げだが、ジャン・ルソーの場合コバ塗りが恐ろしく丁寧なので、ちょっと見ただけではヘリ返しと見分けがつかない。

ベルトの左右の長さは、今回は両開き式Dバックルを使うことを前提に決めた。
ベルトの余った部分が、2連の定革にきれいに収まるよう、長さを微調整する。
先端部を尖らせると幅が狭くなる為、定革から飛び出す部分の見え方が通常とは変わってくる。
そのためにミリ単位で慎重に調整しなければならないのだ。
これはアトリエに実際に足を運ばなければ出来ないことである。



どこまでも地味に徹したベルトで、人を驚かせるような要素はほとんど無い。
17mmと幅が狭いこともあり、これ見よがしの迫力も無い。
しかし丁寧にカッチリと作られていることと、革の質が高いことから、見る人が見れば、並みのベルトではないことが伝わるだろう。

何といっても正統派ドレスウォッチである。
その使い道に於いては、これ以外の組み合わせは、ちょっと考えられない。
カラトラバを持つなら、必ずひとつ持っていなければならないベルトといえよう。
問題は使う機会が何回あるか、であるが・・・・(笑)

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