06W杯の組み合わせが決まった。開催国ドイツがクジ運に恵まれたのと好対照に、オランダは予選リーグから厳しい戦いを覚悟しなければならない。V候補アルゼンチン、ドログバを擁するコートジボワール、堅守を誇るセルビア・モンテネグロと同じC組である。E組のイタリアも安閑としていられない。世界ランク2位のチェコ、メキシコより上とみていいアメリカ、タレント軍団ガーナと、予選から息を抜ける試合はない。
日本はブラジル、クロアチア、オーストラリアと同じF組である。FWに人材を欠く現状では、予選突破はかなり難しいだろう。だが、自主性を重んじ、想像力と創造力の育成に賭けてきたジーコジャパンが、大舞台でミラクルを起こしたって不思議はない。ブラジルが日本との最終戦前に予選を突破していれば、ジーコの顔を立て、手加減してくれるかもしれない。
一つのチームに固執せず、「形」より「内容」を求めてお気に入りを変えてきたが、オランダ代表からは離れられない。1974年W杯で、その革新性と美学に打たれたのだ。決勝で開催国の西ドイツに敗れ、予定調和的なハッピーエンドに至らなかったことを、32年後の今も引きずっている。オランダが同じ舞台で雪辱を果たせば、呪縛から解放され、心からサッカーを楽しめるようになるだろう。
選手の疲労度とモチベーションの持ちようが、本大会の鍵になりそうだ。サッカー先進国では、選手もファンも代表より「オラがチーム」に忠誠を誓う。チャンピオンズリーグ(CL)で勝ち進んだチームの選手は、W杯開幕(6月9日)までの調整が難しい。その意味で、マンチェスターUのCL早期敗退は、イングランドファンやオランダファンにとって朗報かもしれない。
戦力比較なら、ブラジル本命は動かし難い。世界NO・1のロナウジーニョ、W杯の頃ピークを迎えそうなロナウド、進境著しいアドリアーノ……。攻撃陣の充実は群を抜いている。C組のオランダとアルゼンチンが対抗だ。オランダはイタリア戦の敗北で評価を下げたが、予選では世代交代が進み、チェコを一蹴した。アルゼンチンの層の厚さは脅威だが、拮抗する選手が多過ぎることがマイナスに作用するかもしれない。決勝はブラジル対オランダ、スコアは3対2というのが、願望を込めた予想である。注目チームはC、Eの「死のグループ」に振り分けられたコートジボワールとガーナだ。
次回からオセアニア地区がアジアに編入される。ヒディンク指揮下のオーストラリアは、プレーオフでウルグアイを破り、本大会出場を果たした。ニュージーランドも侮れないし、中国も臥薪嘗胆の心意気で臨んでくるだろう。日本の若い世代は、現代表クラスと比べて小ぢんまりしているという指摘もある。次期監督の手腕と思想にもよるが、舵取りを誤れば、W杯出場を逃す可能性もある。世界標準のストライカーを恒久的に望めないのなら、「無個性」と「組織力」を前面に、不気味さと守備力で勝負すればいい。社会も会社も、学校もスポーツも、日本の精神風土には「管理」が一番適しているのかもしれない。