酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

安倍政権の卑屈さ、日本の孤立、民意の意味~名護市長選に感じたこと

2014-01-20 23:34:34 | 社会、政治
 <原子力産業に携わる人々の思想信条をチェックすることが赤狩りの端緒だった>……。広瀬隆氏は「億万長者はハリウッドを殺す」でこのように指摘している。赤狩りと軌を一に誕生したCIAの日本における最初のミッションは原発だった。正力松太郎(読売新聞社主)はエージェントとして辣腕を振るい、原発と巨人を武器に読売は部数を伸ばした。

 原発推進が社是の読売グループ本社渡辺会長が、赤狩りのDNAを受け継いだ特定秘密保護法の「情報保全諮問会議」座長に収まった。辺見庸氏は「おぞましい」とブログで吐き捨てていたが、歴史をひもとけば必然の成り行きか。俺にとって「おぞましい」もう一つのニュースは、次稿の枕で記したい。

 名護市長選挙で、普天間基地辺野古移設反対を訴えた稲嶺氏が再選を決めた。この結果に感じたことを以下に……。

 この間の経緯を見ると、安倍政権の卑屈さが浮き彫りになる。古賀茂明氏が年末の講演で指摘していたが、辺野古移設に向けた交渉で安倍政権はアメリカに対し、地位協定の改定を一切求めなかった。<国家としてのプライド≒ナショナリズム>の欠落に愕然とする。対照的なのがフィリピンで、恫喝にひるむことなく、米軍基地撤退を実現させた。

 上に卑屈な者は、下と見做す相手に高飛車に出る。選挙結果を踏まえ、自民党石破幹事長は名護市への振興基金をゼロベースで見直す旨を表明する。仲井真沖縄知事には移設と引き換えに毎年3000億円もの振興予算を計上すると伝えていた。札束で頬を引っぱたくというやり方だが、〝落ちてきた金〟は甘い毒で、地元を腐敗と衰退に導くのが世の常だ。沖縄も同様で、金武湾にCTS(石油備蓄基地)が建設された際、補助金を得て反対から離脱した自治体は自助努力を怠り、赤字に転落したという。

 麻生副総理の「ナチスに倣え発言」、安倍首相の靖国参拝に先進国から批判の声が上がったが、国内では両者への容認、支持の声が強い。内外のギャップが広まり、日本を異質な国と見做すムードが蔓延する中、海外の識者、文化人が<沖縄の海兵隊基地建設に対する非難声明>を出した。「私たちは沖縄県内の新基地に反対し、平和と尊厳、人権と環境保護のために闘う沖縄の人々を支持します」と冒頭に記され、ノーマ・チョムスキー、ジョン・ダワー、ナオミ・クライン、オリバー・ストーンらが名を連ねている。

 「標的の村」にも描かれていたが、10万人(人口の10分の1)が人間の鎖として基地を囲んだ。全41市町村首長がオスプレイ配備撤回、辺野古移設反対を求める建白書に署名したことが声明文に織り込まれ、日米両政府を厳しく非難している。賛同人の多くは「デモクラシーNOW!」の常連だ。メーンキャスターのエイミー・グッドマンが先週来日し、「安倍政権の危険な体質」「沖縄での闘い」「官邸前の反原発デモ」をテーマに3日間、番組を世界に発信した。

 「日本国憲法」のジャン・ユンカーマン監督は現在、沖縄をテーマに映画を作っているが、グッドマンの来日、上記声明の賛同人のメッセージも作品に収められるはずだ。反秘密保護法、護憲、脱原発、そして沖縄での闘いが<民主化を測るリトマス紙>になりつつあることを、当の日本国民は知らない。

 南相馬市長選で「脱原発をめざす首長会議」の中心メンバーである桜井氏が再選を果たした。脱原発に向け地方は動き始めているのに、安倍政権は再稼働に邁進している。暴挙を支えているのは見せかけの内閣支持率だが、NHKを筆頭にメディアは信用できない。かつて〝恐怖のイメージ〟だった「1984」(ジョージ・オーウェル)は、民意が顧みられない現在の日本でリアルな像を結びつつある。

 最後に、NFLについて。<AFCはブロンコス、NFCはシーホークスと今季の贔屓チームが決まった>と別稿(昨年10月)に記したが、その両チームがスーパーボウルで対戦する。いずれが勝っても〝終わり良ければすべて良し〟で、のんびり楽しむことができる。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする