酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

サスペンスドラマの未来は?

2006-07-13 02:33:53 | 映画、ドラマ
 退社(04年末)からこの2月まで、フクロウ生活が続いた。テレ朝の再放送帯(午後2~5時)に目覚め、朝昼兼用の飯を食う。おかずとして画面を眺めつつ、<21世紀はサスペンス受難の時代>と実感した。

 「CSI科学捜査班」でグリッソム主任は、「推理はするな。証拠がすべてだ」と言い切る。現場に残された汗一滴で犯人が判明してしまうからだ。関係者を集めての推理ショーも昔の話。携帯電話、インターネット、セキュリティー(防犯カメラなど)の普及も、サスペンスの成立を困難にしている要因だ。

 A社長が殺された。無関係に思える秘書で愛人のC子は、A社長によって自殺に追い込まれた男の娘だった……。過去に遡って動機に辿り着くのはサスペンスの常套手段だ。秘書ならともかく、妻のケースも少なくない。「それぐらい早く気付けよ」と言いたくもなる。

 犯罪の頻発地帯かと思えるほど、京都を舞台にしたドラマが多い。太秦に撮影所があり、ノウハウを熟知したスタッフが揃っているからだろう、警察ものでは<刑事=安月給>が相場になっているが、「非国民」(森巣博)などを読む限り、事情は異なる。警官は高給取りで、天下り先も用意されているようだ。

 <視聴率30%を誇る国民的人気シリーズ>などと銘打たれた欧州産ミステリーをスカパーで何本も見たが、ピンと来ないことが多かった。アメリカ産エンターテインメントに馴れた日本人は、重厚だがスピード感に乏しいドラマを受け付けないのかもしれない。

 サスペンス初体験はNHKの「人形佐七捕物帳」(65年、松方弘樹主演)だった。内容は覚えていないが、鮮やかさと恐怖が記憶の片隅に残っている。その後、「刑事コロンボ」、「シャーロック・ホームズ」(グラナダTV版)と続き、今は「CSI科学捜査班」、「相棒」、「名探偵モンク」が必須アイテムだ。

 先週、テレビ東京で放映された「追いつめる」(森詠原作)は、サスペンスとしては?だが見応えはあった。犯罪者カップルの深淵に老刑事の心の闇が重なり、やるせないラストも胸を打った。謎解きのタネが尽き、科学捜査も進歩した現在、サスペンスが生き残るには、<奥のある人間ドラマ>と<綿密なキャラ設定>を追求するしかないだろう。

コメント (2)
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