酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

都議選を前に~アンチから見た石原都知事

2005-07-01 04:58:44 | 社会、政治

 都議選の投票が2日後に迫った。世論調査を見る限り、<自民―民主>の保守2党体制が都政でも確立されそうだ。石原慎太郎都知事の支持率も依然として高く、60~70%で推移している。俺はといえば、ガキの頃からアンチ石原で、今や肩身の狭い少数派だ。資格なしは承知の上で、的外れの石原論を述べてみたい。

 その①<人気を支える家族幻想>…作家から政治家に転じ、常に青さを滲ませる兄。不良少年から人気俳優になり、老成した雰囲気を漂わせた弟。裕次郎の死により、「理想の兄弟像」は色褪せることはない。石原氏の息子への溺愛、婚外子の存在も、人間臭さの表れと許されてしまう。家族に幻想を抱かぬ外れ者のみ、違和感を覚えるのだろう。

 その②<素はナイーブ?>…石原氏は一段高い所に立って他人と接している。持論を居丈高に述べ、気に入らないと怒り、逃げる。傲慢さというより、弱みを曝したくないという防衛本能が見え隠れする。氏が繊細であることは、話す時の神経症的な表情からも明らかだ。

 その③<石原氏は田中氏と似ている>…今春、「サンデープロジェクト」に出演した田中康夫長野県知事は、石原氏を知事会会長に推していた。両氏は同窓(一橋大)とはいえ、思想的には水と油のはず。それでも田中氏が石原支持を表明したのは、行政官としての手腕を認めているからだろう。この二人には個人主義者という共通点がある。登庁日数の少なさを批判する声になぞ、石原氏が拘泥するはずもない。

 その④<石原氏は真正右翼ではない>…野坂昭如氏との対談集「闘論」でも明かしていたように、石原氏は皇室崇拝者ではない。日本の伝統的な右翼に特徴的な資質が幾つかある。北一輝らが示した大アジア主義、三島由紀夫が体現した純粋さ、黒幕の鷹揚さや寛容さ、自己犠牲や和への執着……。これらはすべて、石原氏と無縁である。

 その⑤<無謬神話に基づく石原人気>…石原氏の政治的な傷といえば、新井将敬氏(故人)への選挙妨害、某ゼネコンとの強い結びつき、浜渦副知事の独断専行を許したこと……。これらについて側近は泥を被ったが、石原氏の責任を問う声は小さい。唯一、棘として刺さっているのが、同志(青嵐会)を裏切り、日中平和条約に賛成した経緯か。これも一つの政治的決断だが、「土壇場で逃げる男」という評価に苦しんだとされている。

 その⑥<石原氏を支える選民意識>…俺は万能だから、何を言っても許される……。石原氏とその支持者は、年月を掛けて<仮構の舞台>を作り上げた。女性蔑視発言など通常の感覚では許されないが、当の女性が不支持に回らないのだから仕方ない。最近目立つのは「三国人」などアジア関連の暴言だが、ボロクソなのは全方位で、以前はアメリカを遡上に載せていた。そのせいもあったのか、横田基地問題では、住民側の理解は得たものの、アメリカ側のは反応は冷たかった。

 その⑦<人脈の不思議な広がり>…共著もある中曽根元首相を除けば、石原氏が敬意を払う政治家は少ないはずだが、野中広務氏とは定期的に一席設けていた。野中氏といえば、石原支持者が蛇笏の如く嫌う<親中国、北朝鮮>の総大将だった。石原新党立ち上げも絡んでいたのだろうが、傍目には不思議なねじれである。石原氏は<リベラル>の代表格、菅直人氏とも親交があるという。そのせいか、後継都知事は菅氏との憶測さえある。

 肝心の政策だが、勉強不足ゆえ、福祉切り捨て、ディーゼル規制ぐらいしか思い浮かばない。<日の丸・君が代>を学校に導入しているが、教育現場で取り組むべきことが他にある。例えば、若年層の性感染症、薬物汚染の防止。確かに歌舞伎町は浄化されたが、<欲望のサイクル>を断たないと、汚れは低年齢層を染めるだけだ。

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