大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2013年09月16日 | 写詩・写歌・写俳

<744> 台風一過の寸景

      台風の 一過の こころ模様かな

 台風十八号は十六日の朝、愛知県豊橋市付近に上陸し、日本列島を駆け抜けたようであるが、大和では真夜中から未明にかけて風雨が強かった。京都市辺りは浸水の被害が大きく、避難騒ぎにもなったようであるが、奈良県は大和川の増水が心配されたものの、氾濫には至らず、概ね無事に済んだようである。

 午前中は厚い雲に被われていたが、午後には晴れ間が広がった。大和川は天井川で、日ごろは流量の少ない川であるが、一旦雨になると大和平野や周囲の青垣の山々の水が集中し、直ぐに水嵩を増し、一昔前まではよく洪水を引き起こした。

 大きい支流をあげてみると、桜井市の初瀬川、寺川、天理市の布留川、奈良市と生駒市の佐保川、富雄川、竜田川、明日香村の飛鳥川、御所市の曽我川、王寺町の葛下川などがあり、これらの川がすべて大和川へ流れ込み、天井川で流量の能力に限界のある大和川は昔から中流域でよく氾濫した。

 最近は、河川改修が行なわれ、洪水も少なくなったが、土地の低いところでは浸かるところも見られる。で、台風などの激しい雨のときは心配になる。今回の台風も風より雨による被害が大きかったが、雲域が京都方面に少しずれていたため、大和にもかなりの雨量をもたらしたけれど、被害は最小限に止まったのであった。

                                    

 写真は、台風一過の大和川周辺の寸景。写真左は水嵩が増した大和川。後方は王寺、三郷町。高く見える山は信貴山。写真中央は冠水した田を見て回る農家の人。写真右は倒れたセイタカヨシに身を寄せて濁流から逃れるカルガモの群。(いずれも午前十一時ごろ撮影)