<51> カラスウリの実
烏瓜 婦人二人の 声の先
秋が深まって来ると、 カラスウリがほかの木にからんで橙赤色の実をぶら下げているのに出会う。 七、八月ごろに白い花を咲かせるが、 宵闇に紛れて開花し、朝方萎む一夜花のつる性多年草で、昼間に見ることはまずないので、レース編みのようなユニークな花にもかかわらずお目にかかる機会は残念ながらまれである。
で、 実が色づく秋になって「こんなところにカラスウリが生えていたのか」と思ったりする。そのカラスウリの実を自宅近くの散歩道で見かけた。 昨年は見なかったので、種子が何かによって運ばれ、 散歩道の傍に生えることになったのだろう。 カラスウリの名はこの実をカラスが好んで食べるからという説があるが、 唐(から)からの渡来を意味するものであるという説もあり、 定かではない。花の写真は以前のもので、ストロボを用いて撮った。雌雄異株の雄花である。では、なお、カラスウリの二句。 烏瓜 烏が食べる ものならん 烏瓜 花は見ずなり 散歩道